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1181




 亀肉の鍋がようやく煮えたので皆の前に出す。無作法だが俺達が食べる場合はこんなものだ。自分の好きな具や汁を、自分で好きに取って食べればいい。麦飯を茶碗に入れて、後は大きな椀を出したら自由に入れていく。


 神石の鍋2つと神石の土鍋2つで作ったから、量は十分ある筈だ。麦飯は神石の土鍋3つで炊いている。俺達に藤達、平氏の2人に公卿や公家と帝。十分に食べられる量はあると思うんだが……まあ、足りなきゃ追加で作るか。



 「おぉ……亀の肉とは美味であるな。良い出汁が出ておって、素晴らしき味である。この麦飯とやらも、特に避けるような味でもない。これで脚気にならずに済むなら十分であろう。朕もこれからは食すとしようぞ」


 「ふむ。確かに米のみと比べれば美味しゅうは無いが、かと言って不味いとは思わぬ。麦が入っていても十二分に食せるの。これならば続けていけるのではないかな?」


 「確かにそうですな。これならば特に問題ありますまい。しかし、麦を食す方が体に良いとは……。他にも体に良いものは様々ありそうですな」


 「そういえば、アルド殿は小麦を使う際に全粒粉を使うという。あれも健康の為と聞いたが、やはり食べる物で病気にならずに済むのであろうな。他にもあるのか?」


 「大きいのは野菜だろうな、それも生野菜。塩漬けにしたり、火を通すと失われる栄養があるから、生で食べないと意味が無いらしい。【清潔】の魔法を何回か使って綺麗にしてから食べる事を、俺はお薦めするけどな」


 「まあ、肥料にしているのがアレだからな。水で洗っても綺麗には取れまい。【清潔】の魔法を使えと言うのも良く分かる。しかし、野菜を生でか……」


 「魚醤や濾した濁酒などを混ぜて火にかければ良い。ある程度沸かせば酒精は飛んで消える。そういったドレッシングというかソースを作って、かけて食べれば良いんだよ」


 「成る程。野菜のまま食う必要も無いのだな。……アルド殿、銭を支払うので魚醤を作ってはもらえぬだろうか。カサーラかメトムに渡しておいてほしい。いつ離れるか分からんしな」


 「それはいいけど、たぶん尾張でも作ってるからそっちで買ってもいいと思うがな? もちろん俺が作る物とは違うだろうが、それが本来の魚醤とも言えるからなぁ」


 「言いたい事は分かるが、それでも美味しい方がいいものだ。誰しもそうだが、理由が無ければ不味い物を食べたりせぬよ。この麦飯は問題ないし、亀の鍋は非常に美味いがな」


 「亀の肉の中には非常に精が付くものもあるしな。美味くて精が付くなら十分なんだが、それがどの種類なのか詳しくは知らないんだよ。これは美味いから食べてるが、亀の魔物の中には、魔物でさえ食べないぐらい不味いのも居るし」


 「カッパータートルかい? アレはマズくて喰えないどころか、捨てて埋めるしかないゴミだよ。甲羅が硬くて有効活用出来るからいいけど、出来なきゃ傭兵も狩らない魔物になるね。そういうのが増えると、ギルドとしては困りものさ」


 「あっ!? そういや鮫を追加で3匹捕まえたのを忘れてた。アレも後で蒲鉾にしておかないと。アイツは死ぬと身にアンモニア臭が移って、マズくて食えなくなるからなぁ……。【浄化】して蒲鉾くらいしか有効活用出来ない」


 「鮫も食べるのか? いや、食べられるなら何でも食べれば良いと思うのだが……。襲われたら喰われるしかないと言われる鮫ですら、そなた等にとっては食べ物でしかないのだな」


 「まったくだ。上総でも、毎年のように鮫に喰われたという嫌な話を聞く。それが不老長寿の前では食い物にしかならんとは。流石と言うか、何と言うか……」



 そんな話をしている横で、クニはなるべく存在感を消して食事をしている。必死すぎて笑いそうになるが、帝が居るんじゃ仕方ないか。と思っていたら、帝がクニに話し掛けているよ。一瞬でカチコチになったな。


 周りに居る公卿や公家の3人も、守る事ではなく苦笑いしか出来ない。当然3人とも護衛の為に居るのだが、そもそもクニが帝を害するとは思っていないし、緊張し過ぎていて警戒する相手に含まれていない。


 そんなクニから話を聞き、何とも言えなくなった帝。遠く出雲から勧進を求めて都に来たら、妙な事に巻き込まれて騙され、あわや捨石にされるところだった。出雲大社と言えば大国主を祀る神社だ。怒らせると厄介な事になる。


 そういう意味でも帝と3人の公卿や公家は、今回の事を重く見たらしい。少なくともクニは出雲大社の巫女で間違い無いからな。4人の心中は「余計な事しやがって……」という感じだろう。


 考えを纏める為に黙った隙を突き、俺はクニに話しかける。流石に緊張が酷くて可哀想なので、【心静】を使いながらリラックスさせる。



 「で、クニの方はどうなんだ? 勧進を集める為の目途は立ったか? 俺としては賑やかに音を鳴らしながらでいいと思うんだが、1人では難しいか。何人かで騒いだ方が注目は受けやすい筈だが、そもそも楽器を使える奴がなぁ……」


 「川原者の中には楽器を使える者も居たりするので、そういった者を集めてやってみようと思っています。服や楽器など、集めなければいけない物も色々とありますので、何処までやれるか分かりませんが」


 「必要なら追加で支援してもいいぞ? 腐った奴が多くてな、そいつらを潰す為にゴッソリ頂いてくる事が多いんだ。だから金は余ってるんで気にしなくていい。何処かで世の中に還元しなきゃいけないからな」



 そう言ったのだが、そもそも大金貨なんて簡単に使える物じゃないと断られた。普段の買い物で金貨を使う俺は、やっぱりズレているみたいだ。とはいえ、9人と2匹だから食べる量も多いんだから、沢山買うのは仕方ないだろう。


 説明すると納得しているが、それでも金貨は……という感じのようだ。俺にはよく分からないが、色々あるんだろう、色々。そういえば腐った云々で神殿や神社を名指ししたらギョッとしていたな。


 腐った事をしていなければ、いちいち相手にしたりなどしない。俺が金をごっそり奪った神社や神殿は、暗殺をしようとしたり、戦に金を出したりした所だ。おかしな事をしなければ、そもそも何もしない。


 そう言うと、クニも安堵したようだ。流石に出雲大社が潰れるとかは嫌なんだろうが、おかしな事をしなければ根こそぎ奪ったりなどしない。俺は殆ど反撃しかしないんだが、誤解されている気がする。


 そんな話をしていると考えが纏まったのか、帝や公卿や公家は帰っていった。まあ、もう夜だったし、早めに動いた方がいい事なんだろう。考えながらも、食べたいだけ食べていったしな。


 帝が帰ってようやく一息吐いたのか、藤は酒を出して飲みながら食べている。本当に面倒だったと愚痴を零しているが、これは九条と一条に対してだ。そもそもの発端は九条の正妻であり、先代一条の娘である。


 その癖、自分達は悪くない、お前達が悪いだ。「子供かお前らは!」、そう言いたくなるのも分かる。清常さんも清澄さんも苦笑いしているだけだから、本心は同じなんだろう。誰が見ても、そうとしか思わないだろうしな。


 今は全員ゆっくりと食事を楽しんでいる。亀の肉は精が付くと言ったが、実際には蛇肉も変わらない。蛇と亀に特に多い感じはするが、その辺りはどうなんだろうな? マムシとスッポンって両方効くイメージがあるけど……。


 まあ、気にしなくていいか。既に泥酔しているみたいだし。今夜は飲んでないディルだけで済みそうだ。台所の人達は飲んでないので、清常さんと清澄さんを運んでいった。カサーラとメトムも飲んでおらず藤達を連れて行ったので、後片付けをするか。


 後片付けをするのだが、残った物は全てフヨウに食べてもらう。椀や箸などを【浄化】して綺麗にしたら、アイテムバッグに収納し、皆を【念動】で運ぶ。


 部屋に着いたら皆を寝かせ、ディルをキメて撃沈したので俺も寝よう。今日も一日お疲れ様でした。



 ▽▽▽▽▽


 1181終了時点


 大白金貨46枚

 白金貨219枚

 大金貨737枚

 金貨656枚

 大銀貨529枚

 銀貨541枚

 大銅貨1539枚

 銅貨25枚


 ヒュドラーの毒ナイフ

 山羊角の杭

 キマイラの短剣

 神金のヴァジュラ

 神石の直刀

 神木の浄化棍棒

 神木の杵

 神木石の錫杖

 神木の浄化盾

 氷擲竜の棒手裏剣

 神石の勾玉

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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