1168
あまりにも真剣に話を聞いていた御台所に対して、将軍が疑問を持ったのか聞いているが、少し悩んだ後で諦めるように口を開いた。
「表では話さないで下さい。実は、歴代の帝の中でも脚気になって亡くなられた方は居られるのです。その脚気は怖い病だと知られていましたが、まさか<贅沢病>と言われるような病だったとは……」
「「「「「「「「あ~……」」」」」」」」
まあ、帝が<贅沢病>で亡くなったと庶民に知られたら、どうなるかは分からんわな。天子様だから仕方ないと思うのか、それとも贅沢しやがってと思われるのか……。まあ、9割は後者だろうなぁ。
俺が生きていた日本でも、首相が数千円の昼食で叩かれてたもんなー。端から見たら、叩いている奴等はバカ丸出しだったけど。首相がどんな昼食を食おうが本人の勝手だろうに。首相には昼食を選ぶ権利も無いのかよ。
元の世界は置いておくとして、上の方が贅沢で亡くなったというのは、確かに印象が良くない。それは、いつの時代でも変わらない事だろう。だから言い難そうにしていたんだな。納得したけど、これから先も口には出さないよ。
「しかし、出汁を使って炊いてあるが、麦とはそこまで美味しくないのか? ワシは麦の混ざった食事など初めてだから、こういう物だとしか思えんのだが……」
「まあ、あまり美味しい物ではありません。私は特に気にしませんが、気になる者は気にするでしょう。特に公卿や公家の方は、下賤な者の食べ物とでも思っているでしょうから、その思い込みで余計に不味く思うのかもしれません」
「成る程のう。とはいえ、長く生きる為には食した方が良いならワシは食すがな? それでも駄目な方も、世には居られるのであろう……やはりか」
将軍が御台所の方を見ながら話すも、御台所は藤の言葉を肯定した。世の中には病気になっていても、美味しい物しか食べないという人は居るしなぁ。そういう人は死ぬまで放っておくしかないと思う。矯正は無理だよ。
将軍家の夕食が来たので、既に食事を終えていた俺達は部屋に移動する事にした。宛がわれた部屋でゆっくりしていると、誰かが床下に潜ってきたぞ? 即座に【衝気】で気絶させて床板を外し、引き摺り上げて床板を戻す。
手枷と足枷を嵌めた後で【止音】と【白痴】を使って聞き出すと、何か弱みを握って来いと側近に命じられたらしい。俺はソイツを連れて藤の居る部屋に行き、藤達を連れて将軍の部屋に行く。
驚いた側近連中と、俺が担いでいる奴に厳しい視線を送る将軍と御台所。そんな部屋に入り事情を説明すると、将軍は心の底から呆れた溜息を吐いた。
その側近は必死に言い訳をしているが、俺も聞いた事の無い名前だったので木っ端な奴なんだろう。こういう奴が欲を出して下らない事をするんだよ。ちなみに忍び込んできたのは、コイツが雇った下人だった。
それが決め手となり、俺の御仕置きが認められたので、俺は手枷と足枷をバカな側近に嵌める。次に庭へ叩き出して【光球】で照らしたら、ヒュドラーの毒ナイフと山羊角の杭を取り出す。その瞬間、藤達の顔が引き攣った。
俺は側近を褌一丁にし、ヒュドラーの毒ナイフと山羊角の杭を浅く刺す。5秒ほどで屹立し、僅か30秒で恥を掻いた。……あれ? 早くね? ……あーっと。つまりコイツは、”早く漏れる人”だったのかな?。
新しい発見だが、そんな発見はしたくなかった。次々に恥を掻いて褌を濡らしているが、流石に速度は緩やかになってきたな。この場に居る知らなかった者達は全員、ヒュドラーの毒ナイフと山羊角の杭の効果に顔が引き攣っている。
特に藤が懇切丁寧に説明しているからだろう。何でわざわざ詳しく説明するのかは知らんが、藤はとても楽しそうに説明してるなー。アレは放っておこう。庭で1晩放っておいて、明日の朝には治してやるか。
俺はそろそろ部屋に戻ろう。何故か分からないが、藤の説明に男はドン引きしたままだが、女は興味津々なんだよ。そう、この場で山羊角の杭を知らなかった女性は、御台所とその側付きだけだ。後は、分かるな?。
宛がわれた部屋に戻ってきた俺達は、ようやく一息吐く事が出来た。そう思った矢先、御台所と藤が来て<最高級精力剤>を売ってほしいと言ってくるとはな。仕方ないので容器に移し、半分ずつくれてやった。
そもそも俺には必要ない事と、単に余っている物だから気にせず持っていくように言う。というか、ゆっくりさせてくれよ。後、何があったか知らないが、妙に仲が良くなってないか? 猥談して仲良くなるって、どうよ?。
「まあ、義理だからね。同じ趣味の同士だったのか知らないけど、仲が悪いよりは遥かに良いさ。それよりも、あの精力剤を本当に渡しても良かったのかい? あれは幻の薬と言ってもいいくらい貴重な物だろう?」
「とはいえ、俺が持っていても使わないしなぁ。何より、たまたま素材が揃ったから作っただけで、目的があって作った物じゃないんだ。誰かの役に立つなら、それでいいさ。何より、苦労するのは俺じゃない」
「あの薬が無くなった後ですか? ……そうでしょうね。あの薬が無くなり、元に戻った場合に耐えられるのかは少々疑問があります。不満を持たなければいいのですが」
「仮に持ったとしても、アルドの所為では無いのだから良いじゃない。薬を使った所為だもの、甘んじて受け入れるしかないわ。それか、仙女族に頼めば良いんじゃないかしら?」
「ああ、そういう事か。仙丹にも精力剤はありそうだし、そっちに言って作ってもらえば良いだけだね。ただ、主様の作られた薬には敵わないけれど」
「そこは本当に知った事じゃないと思うよ。そもそもあそこの仙女って、闘気の直接操作が出来てるか疑問があるし。出来ないなら、その分効果は低くなると思う」
「それでも薬が作れるだけ立派ではあるのですが……。御主人様の薬と比べてしまうと、どうしても劣ります。それに、どうしたって比べられるでしょうし……」
「まあ、そうだろうね。特に女としては効きが良いかどうかは直ぐに分かるから、不満を溜め込むという気持ちは分からなくもないよ。金を貰ってた時には、下手な奴も含めて色々居たからさ」
猥談に移行し始めたのでダリアとフヨウと遊ぶ事にした。<防音の魔道具>を使っているから良いが、泊めてもらっている所で話す内容か? と俺は思うんだが、気にしちゃいない。終わるまで、ゆっくりしていよう。
2匹が寝た頃には皆のトークも止んだが、今日は出来ないのが分かっているので文句を言いながらも布団に入る。俺は<浄化の三道具>を取り出して邪気を吸引し、【浄化】をしていく。
邪気が吸い込めないほど【浄化】したので、皆を綺麗にしたらさっさと寝よう。今日も一日お疲れ様でした。
<異世界542日目>
おはようございます。今日から将軍達を近江のクツキまで送って行かなければいけません。面倒だけど、受けた以上は仕事はキッチリ熟す。一応、俺は傭兵だからね。元々依頼なんて殆ど請けた事がないけどさ。
朝の日課を藤達の分も終わらせたら、台所に行き朝食を作る。今日の朝はレッドカウの角煮まんだ。全粒粉と米粉を混ぜて塩と神水で練っていく。生地が出来たら【熟成】し、寝かせている間に角煮を作っていこう。
魚醤と少しの酢、ハチミツと灰持酒を混ぜ合わせた調味液を作ったら、レッドカウの肉を漬け込んで【浸透】させる。十分に浸透させたら寸胴鍋に入れて煮ていき、十分火が通ったら完成だ。
これだけでも美味しそうだが、さっさと包んでいこう。【分離】した角煮を生地で包み、蒸篭で蒸していく。後は完成まで放っておくだけだ。メルもフォルも居るし、カサーラもメトムも居る。
それ以上に藤が居るので、台所の奴等もこちらに文句が言えない。こいつ等、自分勝手な料理を押し付けてくるだけだしな。プライドがあるのか知らないが、昨日ヤシマの国の料理が遅れてると言われたのが腹立たしいのか?。
何でもいいが、面倒な奴等だ。
▽▽▽▽▽
1168終了時点
大白金貨46枚
白金貨219枚
大金貨747枚
金貨656枚
大銀貨540枚
銀貨545枚
大銅貨1539枚
銅貨25枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




