1160
吉法師や帰蝶よりも先に、土田御前と思わしき人物の横の女性が毒味をしようとした。だが土田御前はそれを制すると、吉法師や帰蝶と共に食事を始める。いきなり来て勝手に食事をするというマナーの無さは、どうにかならんのか。
雰囲気を悪くする訳にはいかないので言わないけどな。平手さんがチラチラこっちを確認してくるが、別に怒ってはいない事を雰囲気で伝えておく。俺は家に帰って食事をするので食べていないが、吉法師と帰蝶の雰囲気が硬いのが何とも言えない。
そう考えていると、台所の扉が開き信秀さんが入ってきて開口一番、なぜ土田御前が居るのかをお付きに聞いた。どうも吉法師と帰蝶を探していたところ、台所に行ったと聞いてやって来たそうだ。
吉法師と帰蝶が食事をしていたので、無作法ではあるものの台所での食事を自分もしている。それで終わりの筈なんだが、こっちをチラリと見ているぞ? いったい何なんだ?。
「おかわりぐらい直ぐに察しなさい! お前は新入りですか! 直ぐに新しいのを入れて持って来るのですよ! まったく、そんな事も分からないとは使えない……」
俺は大変イイ笑顔で膳を受け取ると、俺を小間使いにしようとした女を蹴り飛ばした。扉に叩きつける程度で済ませてやったんだから感謝しろよ? そう思ったら横の女どもが騒ぎ始めたが、信秀さんが一喝して止めた。
「お前達は何をやったか理解しておらんのだろうが! 黙っておれ!! 不老長寿の方を小間使いにしようなど、普通は首が飛ぶものぞ。蹴り飛ばされた程度で済んだのだ、むしろ感謝するべきであろうが」
「「「!!!」」」
土田御前も理解したらしく、慌てて平身低頭の謝罪を始めた。俺は直ぐに、「飯が不味くなるから止めろ」と言って止めさせた。そもそも俺が昼食を作ったのは吉法師と帰蝶の為であって、勝手に来て食う礼儀の無さは何なんだ? と言ってやった。
すると、蹴り飛ばした奴が、台所の者が料理を作っているので土田御前の分だと勝手に言い出したらしい。相手が土田御前だと黙るしかないとでも思ったのだろう、あの女は似た様な事を今までにもやっていたようだ。
台所の者達からは嫌われていたのか、ボロボロ出てくる身勝手の数々。何でも土田御前が輿入れする時の付き人の1人で、それ故に好き勝手をしていた様だ。信秀さんは「実家に戻せ」と言い、土田御前も受け入れた。
輿入れの時からという事は信用していたんだろうが、好き勝手をするような奴は置いておけない。どんなスパイ行為をするか分からないからだ。この辺りは元の世界の戦国時代と変わらない。正妻は他家のスパイでもある。
だから側室に入れ込む武将が多かったりするんだよな。正妻は家と家を繋ぐ女性であり、同時に実家の為に情報収集をしている訳だ。信秀さんが帰蝶を受け入れた理由でもある。
小さい頃から尾張や織田家で育てば、スパイ行為を行う可能性は減ると考えた。多分だけど、そんなところだろう。そんな矢先、自分の正妻の側付きが好き勝手をしていた事が発覚。頭が痛いだろうなと少し同情する。
とはいえ俺には関わりの無い事なので、そろそろ帰らせてもらうよ。食事代? ああ、要らないよ。子供達の為に作ったものだから流石にな。それじゃあ、俺はこれで。
面倒な事になりそうだった台所から逃げ、さっさと那古野城を後にする。まだ雨は降っているが、朝と同じく雨足は弱い。そんな中を走って帰り、温泉地の屋敷に戻る。家に着いたので門を跳び越えて中に入り、玄関で服を【乾燥】させた。
皆は居ない様なので、台所へ入り1人分の食事を作り始める。自分の分だと簡単な物で済ませられるな。そう思い、土鍋で押し麦を炊いていく。米は一切入れていない。そこまで大麦の味は嫌いじゃないんだよな、俺。
玉子焼きを焼きながら貝の味噌汁を作り、終わったら蒲鉾を出す。土鍋で押し麦が炊けたので早速食べていこう。
「アレだ、俺だけなら押し麦オンリーでも問題ないな。普通に食える。それにしても肉類が無いが、大して気にならないのは俺が日本人だからか?」
玉子焼きや蒲鉾に魚醤を掛けて食べているが、特に肉類が欲しいとは思わない。というより、肉類を食べないのは久々かもしれない。まあ、蒲鉾は魚肉だと言えば、それまでなんだけどさ。それにしたって珍しいな。
そう思いながら食事をしていると、皆が帰ってきたらしくドタドタ音がする。雨が降っていたから濡れてるだろうし、後で皆が使った布を【乾燥】させておくか。そんな事を考えながらも食事の手は止まらない。
「ニャー!!」 「………」
食べている俺の足をペシペシ叩きながら、私にも寄越せと言っているダリアさん。仕方ないので、シルバーバッファローの生肉を出してやると、猛烈な勢いで噛み付き始めた。フヨウはプルプルしながら溶かしている。
「あれ? 帰ってきてたんだね。もしかしたら入れ違いになったのかも。アタシ達はダンジョン前の食堂にお昼を食べに行ってたんだよ。もうちょっと遅ければアルドが帰ってきてたのに、早く動きすぎたかねぇ」
「そんな事はありませんよ。アルドは遅かったですけど、また何かあったんですか?」
「ダンジョンに行って米を採ってきた後、ツシマで買い物してから帰ってたんだ。そしたら4人組の奴等に襲われてな。叩き潰して尋問したら、信秀さんの名前を出したんだよ。コレは怪しいってなって調べたら、管領の細川晴元だった」
「つまり濡れ衣を着せようとした訳か……。とはいえ、そんな事をしても主様には効かないのにね。却って真実が暴かれるだけさ。でも、なぜ細川という奴は主様に手を出そうとしたんだろう?」
「殺してしまうのなら、三好? とかいう者じゃないの? 少なくとも、アルドはそこまで関わりは無い筈よ。京の都から管領というのを叩き出したのは三好でしょうに。アルドは……お金ぐらいかしら?」
「でも、それだと変だがな? アルドに金を出させたいのならば尚の事、命を狙っては駄目だろう。そんな事をされて金を払う者が居る筈がない。むしろ敵対するだけだ」
「暗殺者を送られたくなければ金を寄越せ……これも無いだろうね。何がしたいのか理解できない……それってもしかして麦だけ? よく食べるねー、そんなの」
「分かりませんよ? もしかしたら粥にするよりは美味しいのかもしれません。どろどろにする訳じゃありませんから、粒のままだとそこまで悪くはないのかも……」
「どのみち米と一緒なら問題なく食べられるんだから、気にしなくていいと思うけどね。あたしも麦だけで食べられるかは分からないけど、米と一緒なら問題ないから気にしないかな?」
「さっきの話の続きだが、襲ってきた奴等を那古野城まで連れて行って引き渡してきたら、吉法師と帰蝶の顔を見ていってくれと言われてな。その後、料理を作って帰ってきた。麦飯を鶏出汁で炊いたが、2人とも美味しそうに食べてたな」
「ああ! 炊くならスープで炊けば良いのね! 確かにそれなら麦の粥よりも美味しく食べられるわ。粒が残っているから食べ応えもあるでしょうし、色々広がりそうな料理ね」
そんな話をしながら昼食を終えた俺は、片付けをした後でゆっくりと休む。今日も雨なうえ特にやる事も無いので、ボーッとしていると眠たくなってきた。少し悩んだが、ダリアとフヨウと一緒に昼寝をする事にする。
何と言うか、パチッと覚醒したので目を開けると、下半身の方で銀髪の頭が動いていた。銀色の髪は俺とダナしか居ないうえ、この感触はそういう事だろう。ダナの頭を撫でて止めさせる。
「ん……チュッ。起きたのかい? もうちょっと楽しませてほしかったけど、起きたなら仕方ないね。夕方だし、丁度良かったのかな?」
何かサラっと流されたぞ? 掘り下げても誰も得をしないから掘り下げないけどさ。台所で寝たままだったので、全員を【浄化】したら夕食を作り始めるか。
皆、ここに居るし。
▽▽▽▽▽
1160終了時点
大白金貨46枚
白金貨219枚
大金貨747枚
金貨657枚
大銀貨541枚
銀貨545枚
大銅貨1551枚
銅貨25枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




