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1156




 千代女は伝える事を伝えると、昼食を食べて帰っていった。都合よく昼に来れるように調整してないだろうな? 先程の千代女を見た後だと、どうしてもその疑惑が拭えない。


 まあ、それは置いておくとして、藤は明らかに面倒臭そうな顔をしている。しているが、半分とはいえ足利の血を継いでいる以上はどうしようもない事だ。そこは本人も理解しているだろうし、諦めるしかないだろう。


 また五月蝿いだろうから、藤は今日から移動を開始するらしい。美濃の東山道を通って京の都に行く事になるので、今日の内から出ないと時間が掛かるとの事。まあ、ゆっくり行けばいいんじゃないかと思う。


 俺は那古野城に料理を教えに行けばいいだけなので、大変な事でも何でもない。鬱陶しい嫉妬は受けるかもしれないが、その程度の事でしかないしな。後片付けをしながら、そんな事を藤達と話していた。


 家の中を綺麗にして、皆に行ってくる事を告げたら家を出る。温泉地を出て那古野城へと走り、あっさりと着いた。門番に話すと、直ぐに門を開けてくれたので中に入る。直ぐに武士が出てきたが、勝家君だった。


 なので、料理を教えほしいと言われたから来たという事を話すと、直ぐに信秀さんに伝えに行ってくれた。その間、ダリアとフヨウと遊んでいたが、直ぐに戻ってきた勝家君に案内されて厨房に移動する。


 中には8人の料理人が居たが、こちらを敵視しているのが2人居た。なので、そいつ等はこの場から出すように言っておく。それが嫌なら教える気は無いとハッキリ言うと、勝家君はその2人を台所から叩きだした。


 俺はこの場に残った料理人に、悪意や敵意を感知できる技が使える事を教えてやり、それが少しでも感じられたら即座に叩き出す事を宣言する。流石に料理人達も、ここで学べないとどうなるか理解したらしく、素直に返事をした。


 そもそも吉法師や帰蝶が何に不満を持っているのか聞いたところ、肉の臭味ではないだろうかと考えているようだ。まあ、こんな事は本人に聞くのが1番手っ取り早いので、勝家君に連れて来てもらった。


 やってきた吉法師と帰蝶に、いつもの料理の何が気に入らないのか聞くと、臭味もあるが硬い事が大きかったようだ。なので適当に肉料理を作ってもらうと、早速駄目な部分を発見した。まず、無駄に分厚い。明らかに厚すぎる。


 料理の事を考えて肉の厚さを決めろと思いながらも見ていた。料理は単純に言うと具が少ない豚汁だったので、そこまで悪くなり辛いと思うんだが……。これは駄目だ。汁に臭味が出ているし、それが味噌と混ざって不味い。


 同じ食材で今度は俺が作る。薄切りにした肉を用意し、鍋で少し野菜を炒めた後で水を入れて煮込んでいく。肉は別の鍋で表面を焼いた後、煮込み中の鍋に入れて煮込んでいく。後は豚汁の作り方で終わりだ。



 「美味しい」 「これ美味しいね」


 「……まさか薄くしておく事と、先に焼くだけでここまで臭味が出ないとは。我等でさえ考えれば気付けた事の筈。こんな事も頭に浮かばぬとは、情けない」



 そういえば料理長のような人は、最初から敵意も悪意も無かったな。叩き出されたのも下っ端っぽい奴等だったし。普通は逆じゃないかと思うんだが、何か理由とかあるんだろうか? まあ、聞いても損しそうなんで聞かないけど。


 せっかくなのでアイテムバッグからヘビーブルを出して肉を切り出し、それを竜の脂で焼いていく。暴力的な香りが広がりながらヘビーブルに付いていき、いい感じに焼けたら全員に食べさせてやる。しかし重い肉だなぁ。



 「美味しい!」 「凄く美味しい!」


 「こ、これは凄い……」


 「ニャー!!」 「………………」



 何かダリアとフヨウの喜びようが凄いな。特にフヨウが、すっごいプルプルしてる。かなり気に入った時の仕草だが久しぶりに見たな。ガッツリ系の肉だったのが良かったのかね? でもなー、地形変わったら居なくなるし、手に入れ続けるのは無理だぞ。


 俺も一口食べてみるが、なかなか美味い。特に噛むとジュワっと肉汁が出てくるし、噛み応えはあるものの硬い訳じゃない。雄の成牛だと思って舐めていた。まさか、ここまで美味い肉質の奴だったとは……。


 吉法師と帰蝶がチラチラこっちを見てくるので足りなかったんだろう。代わりと言っては何だが、干し肉を渡しておいた。今は2人とも噛みながら味わっているのだが、足元から「寄越せ」という催促が五月蝿いのであげる。


 そうしていると匂いにつられて来たのか、信秀さんがやってきた。もはや逃げられない事が確定したので、牛骨を使って1品作る事にする。いつものように牛骨に【抽出】を使って出汁をとり、野菜と共に煮込んでいく。


 ある程度味がまとまったら、そこに練って作っておいた水団を入れて煮込んでいけば出来上がり。あえて味噌を使わなかったが、これで料理の意味が分かってもらえると思う。



 「これも美味しい!」 「美味しいー」


 「ふむ、随分味が濃いな。だが、美味い。小麦を練った物と野菜と骨か。たったそれだけで、これほどの味になるとは不思議なものよ」


 「贅沢をしなくたって満足出来る食事は作れるんだ。希少な物を使ったり、贅沢な品を惜しげもなく使う事が、必ずしも美味しい料理に繋がる訳じゃない。まあ、この料理も普通に作るなら贅沢なんだけども」


 「どういう事だ? 安いものばかりであろう。にも関わらず贅沢なのか?」


 「骨から出汁をとるのは相当時間が掛かるんだよ。その間は火を焚き続け、水を足し続けなければいけない。朝早くから作って、昼にようやく完成するぐらいだ。俺は【錬金魔法】を使ってズルをしてるけど、本来はそれぐらい大変なんだよ」


 「それは、また……。薪が幾らあっても足りんな。代わりとなる物はないのか?」


 「乾燥椎茸を細かく砕いて入れるとか、昆布で出汁をとるとか……後は、やっぱり味噌しかないんじゃないかな。俺は米味噌か麦味噌を買ってるけど、倹約するなら糠味噌しかないんじゃない?」


 「あれはなあ……簡単に腐らんのは良いのだが、代わりに美味くはないのだ。やはり美味くないものを食う気にはなれん。せめて豆味噌を多く作れるようにしていかねばな」


 「何でもそうだけど、大量に作ればその分安くなるし、大々的に奨励するべきだろうと思う。そのうち、尾張者は贅沢してるなんて言われるかもしれないけど、貧乏人の戯言だと思えばいいさ。それだけ尾張が豊かになった証なんだし」


 「そうだな。そなたらの御蔭で塩は大量に作れるようになった。後は麹も大量に作らせて、豆か麦の味噌を多く作らせよう。麦は粉にすれば食えるから、作るなら豆の味噌が良いな」



 名古屋の豆味噌かー。順調にそっちに向けて動いていくなぁ。これに関しては俺が方向を指示している訳じゃないんで、やっぱり理由があって名古屋は豆味噌になったんだろう。歴史的な必然ってヤツだ。


 でも名古屋が豆味噌になったのって戦国時代だっけ? ………まあ、いいか。ここ日本じゃないし、誰かに怒られる訳でもない。本来の歴史より早く豊かになるだけ……? いや、違う。俺は神様に呼ばれたんだから、コレが正式な歴史なんだ。


 何か頭がこんがらがってくるが、俺が歴史を歪めたりなんてしてはいない。単にヤシマの国に介入してるだけだ。そもそも俺が下界に降りるのは決まっている事なんだから、その後がどうなろうが正しい歴史だと言える。


 それも違うか、単に今を生きているだけ。それが正解だな。無駄にゴチャゴチャ考えた所為で思考がおかしな方向に行ったが、どうでもいい事は忘れて何か作ろうか。


 米を取り出して【粉砕】して米粉にする。次に魚醤に竜の脂と酢を少し混ぜて味を整えたら、米粉に神水を混ぜて練る。1枚を薄く円状に【変形】し、焼き網で焼いていく。


 引っ繰り返しながら小さなスプーンで調味液を塗って更に焼く。何度か塗りながら引っ繰り返せば完成。普通の醤油煎餅だ。ついでに塩煎餅も作りながら皿にあげていくと、どんどんと取られていく。


 子供達も信秀さんも遠慮なく取っていくんで、俺の食べる暇が無いんだけど? 仕方ないので、出来上がったものを齧りながら焼いていく。ダリアとフヨウは1枚だけ食べたが、後は要らないようだ。合わなかったらしい。


 全て焼き終わったので一息吐いたが、流石にそろそろ帰っていいよね?。



 ▽▽▽▽▽


 1156終了時点


 大白金貨46枚

 白金貨219枚

 大金貨745枚

 金貨655枚

 大銀貨546枚

 銀貨234枚

 大銅貨1551枚

 銅貨25枚


 ヒュドラーの毒ナイフ

 山羊角の杭

 キマイラの短剣

 神金のヴァジュラ

 神石の直刀

 神木の浄化棍棒

 神木の杵

 神木石の錫杖

 神木の浄化盾

 氷擲竜の棒手裏剣

 神石の勾玉

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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