1139
那古野城の門番に話し掛け、帰ってきた事を伝える。案内の者が来たので、その者に従って進んでいるのだが、帰蝶だけは木馬に乗ったままにしてある。木牛は既に回収してあるが、信光さんも林さんも何か言いたい事があるみたいだった。
まあ、何を言われても答える気は無いし、答えようが無い。神木で出来ていて云々と説明する訳にもいかないので、適当にお茶を濁すくらいしか出来ないんだよな。まあ、それはいいとして、屋敷に上がる所まで来たので帰蝶を降ろす。
本人は楽しそうだったが、やはり頻繁に咳をしている。降ろした後で木馬を回収し、信秀さんや藤が居る部屋へと案内された。何で藤達が居るのかは横に置いておくとして、千代女が居るのは警戒しての事かな?。
部屋の中に入り、信光さんを先頭にして正式な作法で報告が始まる。俺達は1番後ろに居て、作法も何も無く座っているだけだ。そもそも作法を知らないんだからゴチャゴチャ言われる筋合いも無い。周りの武士もスルーしている。
報告は無事に終わり、最後に吉法師と帰蝶が挨拶をして終了となった。斉藤家は許婚の件を了承し、帰蝶をナコヤに送っているので信秀さんが受け入れて成立。2人の子供の挨拶で周知されたという形だ。
そろそろ昼なので、俺達は庭に出て焼き場やテーブルを作り料理を始める。何故か続々と庭に出てくる面々。いやいや、アンタ達には料理番が居るでしょうが。何でサラっと椅子に座ってるんだよ。
あっと、そうだ。帰蝶の事を言っておかないと。
「ふむ。確かにこの子は咳をよくしておるな。もしや何かの病気か? ……仮に病気だったとして、治せるのか分からんな」
「一応手は出さなかっただけだから治せるとは思うけど、問題は色々ある。仮に治しても一時的な可能性があるのと、根本的な治療が難しい場合がある事だ。どちらも似たようなものだが、非常に面倒臭い」
「それはどういう事なのだ? 一時的に治るだけと、治療が難しい場合。同じようには思えぬが……」
「一時的な場合で多いのは、生まれつき肺が弱いという事だ。仮に浄化魔法で綺麗にしても、生まれつき肺が弱いとまた咳が出るようになる。そして、生まれつきだから治療が非常に難しい」
そう言いながら、俺は【神聖八重浄化】を帰蝶に使い、裏でこっそり【浄化】の権能を使う。綺麗になったからか咳は治まったようだが、【空間把握】で確認するとやはり肺が弱い。吉法師と比べるとよく分かる。
「駄目だな。吉法師が居るので比べたからよく分かるんだが、帰蝶の肺は生まれつき弱い。というより、生まれつき体が弱いと言うべきか……」
乳母に信秀さんが聞いているが、乳母は生まれつき体が弱いのを認めた。斉藤家と言うか、マムシさんも小見の方も知っている事らしい。今回の事に関しては、小見の方はずっと反対していたが、マムシさんが強行したようだ。
理由は、美濃に居て良くならないなら、尾張に行った方が良くなるかもしれない。そういう親心かららしい。信秀さんも分かるのか神妙な顔で頷いている。結局、小見の方も信用出来る側仕えを付ける事で折れたそうだ。
俺は昼食を作りを他のメンバーに任せ、「ちょっと離れる」と言い城の外に出た。ある程度の距離を離れたら、邪生の心臓を取り出して皿に乗せ、刺身のように【分離】する。魚醤や甜菜糖を使ってタレを作ったら、城へと戻った。
庭に戻り、小さなテーブルと椅子を作ったら吉法師と帰蝶を座らせ、2人の前に邪生の心臓とタレを出して食べさせる。それを見た瞬間、知っている者は全員理解した。
「それは何だ? 穢れのような色をしておるが、食えるのか?」
「問題無く食べられる。それは非常に体に良いもので、体を強くしてくれる食べ物だ。俺達もそうだし、藤達も食べている。問題無いのが分かるだろ?」
「うむ。アルド殿の言う通りだ。むしろ子供達によく食べさせる気になったなと思う。余程の者でなければ、アルド殿が”ソレ”を食べさせる事は無いのだ。おそらく体の事を考えての事だろうが、2人は運が良い」
よく分からないが、口を挟まない方が良いと周りも理解したらしい。吉法師も帰蝶も嫌がる事なく、モリモリ食べているのはどうなんだろうと思うがな。4歳や5歳の子供には多かったのか、お腹がいっぱいになったらしい。
しかし、食べ終わった辺りから、2人は痛そうな顔をして俯いてしまった。体が猛烈な速さで改造されているようなものだから、痛いのは仕方がない。周りはパニックになり騒ぎ始めたので、【幻死】を喰らわせた。
もちろん2人の子供は除外しているし、ウチのメンバーや藤達なら特に問題無い。カサーラやメトムは大変そうだが、それでも腰を抜かす事も漏らす事も無い。痛みに呻いていた2人も、今は楽になったのかホッとしているようだ。
「とにかく面倒になると威圧するのは止めてくれんか? まあ、騒いだ我等が悪いのだろうが……。それにしても、何故2人が急に痛みに呻き始めたのだ?」
「敢えて説明しなかったが、アレは体を頑強にする効果があるものの、それは強引に行われる。普通ならあり得ない事を無理矢理している訳だから、当然痛みとして跳ね返ってくる訳だ。代わりに、あり得ないと言えるほど体は頑強になるんだがな」
「つまりは2人の子供の体は丈夫になったという訳か……。それは、どれぐらいなのか分かるのか? それと……藤殿も食べたと聞いたが、後で何かある訳では無いのだな?」
「まず体の強さに関してだが、当然限度はある。あるんだが、流行り病が蔓延している中で、何の病にも罹らなくなるくらいには強くなる。更に怪我を負い難くなり、傷が早く治るようにもなる」
「良い事しかないように思うが、何かしら損もあるのではないのか? そんなに都合が良いと怪しく感じてしまうがな」
「確かに損もある。普通の人より多く食べないと痩せていってしまうという損だ。頑強になった体を維持するには、それだけ多くの食べ物を必要とする。と言っても、こちらも限度はある。5人前とか10人前とかじゃない。精々1人前と半分ぐらいだ」
「何だそんなものか。多少、他の者より多く食べる程度で体が丈夫になるのなら、その方がありがたいに決まっておる。武士は強くあらねばならぬしな」
「結局のところ、邪生の心臓を食べようが修練せねばならん事に変わりはない。私とて、大陸の西側で修行をしていたのだ。どこかの誰かは、私の修行を放ったらかしにしたがな」
「それを言うなら足運びを始めとした歩法は出来るようになったのか? 全ての基本と言った筈だが……まだ出来てないんじゃないか。まずは歩法をやれ」
「ちょっと待て、邪生の心臓と聞こえたが……邪生とは<穢れ者>の事ではなかったか? それの心の臓だと?」
「そうだ、そもそもアレ等はそれだけの力を持っている。しかし、普通の者にとっては猛毒とも言えるのが邪気、つまりヤシマの国で言うところの<穢れ>だ。それを完全に浄化しきれば、その力を得られる。ほんの少しでも邪気が残っていたら邪生になってしまうがな」
「ちなみに言っておくけど、アンタ達はやらないようにね。世界広しといえども、完全に浄化出来るのはアルドだけさ。だからアタシ達も、アルドが浄化した邪生の心臓しか食べないんだ。まあ、沢山食べたから、もう殆ど効果は無いけどね」
「体が頑強になるだけではなく、体の成長も促されます。なので、あの子達は鍛えれば鍛えた分、強くなっていくでしょう。案外ヤシマの国で最強の夫婦になったりするかもしれませんね。私達には及びませんが」
「1つ聞きたいのだが、大島殿に食べさせたのもアレなのか? 何となく、そんな気がするのだが」
「当たり。潰れていた片目が治るくらいなんだ、どれほどの物か分かるだろ。後、大島さんは目が良くなっている筈だよ。本人も気付いてるみたいだけど」
「やはりそうだったのですな。何故か良く見えるので不思議に思っておったのですが……もしかして某も、鍛えれば強くなるのでしょうか!?」
「うん。まあ、そういう体になってるからね。5人張の弓も、修練すれば普通に使えるようになるんじゃないかな。せっかくだから、それ以上を目指してみたら?」
「5人張の弓以上をですか……某に鎮西八郎を超えろと申されるのですな! 必ずや超えてみせましょうぞ!」
鎮西八郎って、源為朝の事だったかな?。
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大海竜の半篭手
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王角竜の剣帯
王角竜の脛当
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