1138
イノグチの町で宿をとろうと思ったんだが、接待用の宿は既に確保されていたらしく、タダで泊まる事が出来るようだ。相手が用意したところなので危険な気はするが、この好意を拒否するのも問題なので泊まるしかない。
その宿に行く前に、食堂で昼食を食べてからにする。流石に殆ど何も食べてないし、使者の任を終えたからかお腹が空いているのを自覚したらしい。信光さんも林さんも賛成したので食堂に入る。
時間が時間なので中には殆ど客は居なかったが、左目が潰れている男が食事をしていた。その男は俺を見た瞬間ハッとした表情になったが、直ぐに表情を消した。どうやら大島という人物らしいな。
俺達はスルーして昼食を注文し、大銅貨18枚を支払って昼食を注文する。昼食を食べ終わると、片目の男がおずおずと話しかけてきた。名前は大島光義といい、美濃では弓の上手な者として知られていたらしい。
そこで調子に乗ったのが運の尽きだったと、本人は語っている。まだ25になったばかりで、これからどうしていいかも分からない。戦場の事なので恨みは無いが、戦えない武士に居場所は無い。
そんな事を延々と言っている。気持ちは分かるが、俺にどうしろと? と言いたくなる。すると、信光さんが突然言い出した。
「なあ、何とかしてやれんか? さすがに美濃の大島と言えば、オレでも知っているくらいだ。マムシでさえ安藤に声をかけさせた程なのだからな、尾張に来てもらえるとありがたい」
「まあ、治せるでしょうし、無理なら片目でも弓を使う方法はありますからね。それを教えれば済む話なんですけど……全てを捨てて尾張へ来る覚悟はある? 裏切り者と謗られる覚悟が要るけど?」
「ハハハ、今さら問題にはなりませぬ。既に弟に家督も妻も奪われた程度の男ですからな。お前に子供が出来なくて良かったとまで言われ申した」
「何だ、それは!? それが家族のやる事か! あまりにも、あまりではないか!?」
こういう話だと怒るのは信光さんだと思ったんだが、林さんが憤慨してるよ。あんなポンコツ弟でも、一応は何とかしてやろうとしていたぐらいだし、元々家族思いなのかもしれないな。
「俺達は明日美濃を出発するから、今日中に話をつけるのは無理だろうし……どうするかな?」
「問題ありませぬ。片目を失って以来、大島家の田畑を耕しておったのですが、それすらも不要だと放り出されましてな。戻る所はもうありませぬ」
「……何という事を。情も何も無いとは、この事ではないか………」
その後、気を取り直して話を聞くと、俺達と同じ宿に泊まっている事が分かったので、明日一緒に出発する事になった。なかなか波乱万丈な人生だが、片目を復活させるのはそこまで難しく無い。取り出されていたら無理だったろうが、未だに目は残っている。
矢で貫かれて見えないだけだ。相当の痛みだったろうが、耐えたんだから今がある。俺達は宿に戻り、ゆっくりとする事にした。といっても、信光さんが暇だと言うのでリバーシを出したらハマってしまい、3人で順番に対戦してるよ。
夕方まで対戦していたようだが、夕食なので一旦止めただけらしい。どんだけハマったんだよ。呆れながら食堂に行き、大銅貨19枚を支払って食事にする。夕食後は部屋に戻ってダリアとフヨウの相手をした。
2匹が眠ると襲われたが、優しく丁寧に撃沈し今は綺麗に【浄化】している。<浄化の三道具>を出してイノグチの周辺を綺麗に【浄化】したら、隠密の4つの技を使って外に出る。
木馬に乗り、杵を持って勾玉を使いながら【浄化】していく。邪気を感知したのでそちらの方向に向かっていると、邪生になった鹿がいた。素早く【浄化】したら心臓を取り出して壺に入れ、後は穴を掘って処理する。
再び邪生を探して西に向かうと、山の近くに邪生を発見した。大きな猪の邪生が2頭居るが、とっとと【浄化】して先程の邪生と同じ処理をする。更に邪生を探すものの、それ以上は見つからなかった。残念。
イノグチの宿に戻った俺は、もう1度綺麗に【浄化】して寝転ぶ。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界530日目>
おはようございます。今日は帰蝶とお付きの3人を尾張に連れて行く日です。ついでに大島さんも連れて行く日だった。俺の所為とはいえ、片目を失って以降の不遇は俺の所為じゃない。
流石にちょっとアレ過ぎるんで、助けてやりたい気持ちはある。元の実家とは精神的に縁は切れているだろうし、後で【白痴】を使って確かめよう。
皆が起きたので朝の挨拶をし、少し雑談などをして時間を潰した後、俺達の部屋に大島さんだけを連れてくる。俺はアイテムバッグから壺を取り出して、邪生の心臓を無理矢理食べさせていく。
皆にも手伝ってもらって無理矢理食べさせた結果、大島さんは激痛にのた打ち回っている。痛みが引いた後で確認すると、しっかりと目が見える事に大喜びしていた。少しの間好きにさせ、治まったら信光さん達を呼ぶ。
「おお! 目が治っておるではないか! 良かったな!! これで、家の者を見返してやれるぞ。そなたには弓の腕前があるのだ。まだまだ活躍の場は幾らでもある。期待しておるぞ!」
「ハッ! この御恩を返す為にも、必ずやお役に立ってみせましょう。もはや美濃に心残りはありませぬ故に、宜しくお願い申し上げます」
「大島殿……良かった、真に良かったな………」
何で林さんが泣いているんだろう、護衛の君等もだけどさ。泣き過ぎで、大島さんが若干引いてるじゃないか。ほら、そろそろ食堂に行くよ。
食堂に行き大銅貨19枚を支払って食事をする。終わったら斉藤家の屋敷に行くのだが、大島さんを連れてかー……。まあ、いいか。そう思い斉藤家の屋敷に行ったのだが、安藤父から若干睨まれている。
「大島殿。先日某が行った時には、色よい返事が貰えなかった筈だが? 何故、尾張の者と一緒に居るのだ?」
「某は、尾張は織田家に仕える事に致しましたので、ここにおっても不思議ではありませんな。何より目を治していただいた御恩がある」
「「「「「!!!」」」」」
「何と……確かに治っておる。おそらくは不老長寿の方が治されたのであろうが……いや、再び武者働き出来るようにしてもらったのだ、その恩は簡単には返せまい。致し方ない」
「それもありまするし、家の者にはほとほと愛想が尽きておりましたので、今さら美濃の為には働けませぬ。あの愚か者どもを使えばよろしい」
「………」
どうやらマムシさんはともかく、安藤父は大島家で何があったか知っているようだな。何も言えなくなったのが証拠だ。その後、帰蝶と側仕え3人が来たので、挨拶もそこそこに尾張へと帰る事になった。体の弱そうな子だが、大丈夫か?。
俺は斉藤家の屋敷を出た後、アイテムバッグから木馬と木牛を取り出してダナとシュラに任せる。ダナは木馬で帰蝶と乳母を、シュラは木牛で側仕え2人を後ろに乗せて進んで行く。唖然としてないで早く行くよ。
大島さんは護衛の馬の後ろに乗っているので、速いペースで進んで行く。途中で襲われる事もなく進んでいたが、国境の付近で10人ほどに襲われた。面倒だったので鳩尾を突き上げて悶絶させ、その辺に転がしておく。
子供が居るので殺せない。流石にショッキング映像を見せる訳にもいかないしね。尾張に入ってからは襲われる事もなく、ナコヤの城まで帰ってくる事が出来た。やれやれ、これで俺達の仕事は終わりだな。
そう思っていたら、何故か那古野城に藤達がいた。何か理由があって居るのか、それとも暇潰しで居るだけか……。まあ、どっちでもいいか。それよりも、帰蝶が頻繁に咳をしていたのが気になる。
【浄化】しても良かったんだが、勝手にするのも気が引けるので何もしていない。これは信秀さんに言っておいた方がいいな。病気だと困るし。
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1138終了時点
大白金貨46枚
白金貨219枚
大金貨694枚
金貨596枚
大銀貨546枚
銀貨598枚
大銅貨1331枚
銅貨469枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




