1137
「守利、そなたが居ると言う事は親子で来たという事か。何故利尚と共に倒れて気を失っておる? そなたの子は何かしたのか?」
「申し訳ございませぬ。某にも何が何やら……。若様の元気が無いと聞きました守就は、若様のご機嫌伺いに行くと申しましたので許したのですが、某は与えられた1室に居りましたので分かりませぬ」
「そうか……。そもそも、そなたは何をしに来た? ワシからは呼んでおらぬのだから、そなたが来る何かがあったのであろうが、いったい何があった?」
「はっ。大島殿は戦には出られぬそうでございます。左目を失って以降、矢が狙ったところに当たらなくなったらしく……。既に田畑を耕すくらいしか出来ぬと言われました」
「そうであったか……あの戦では張り切っておったが、銀の髪の男を狙ったら矢を投げ返された……と………」
どうやら、あの時に左目を潰した奴は大島と言うらしい。聞いても分からないから興味も無いが、凄腕だったのは事実だ。それでも俺を狙った以上は反撃されるのは当然だし、死んでいないんだから他の奴よりマシだろう。
おっと、利尚と守就が起きたようだ。ウチの女性陣がずっと不機嫌で居るんだけど、今のところは誰も声を掛けていない。間違いなくウチの女性陣が何かしたんだと思うが……起きたから話を聞くようだな。
「利尚、そなたは庭で気を失っておったのだが覚えておるか? そこな安藤と共にだが、いったい何があった?」
「あ、はい。自分の気が落ちているとの事で、外に出て稽古でもした方が良いと言われました。それもそうかと思い、庭で稽古をしようと思ったのですが……」
「ですが?」
「尾張からの客が来ておると聞いた守就は見に行くと言い出しまして、止めたのですが勝手に入った挙句、部屋の中の女達に相手をさせてやると言って……。その後は分かりません」
「何をしておるのだ、この愚か者は………。利尚を庭に連れ出して稽古をするぐらいならば構わん。それを尾張からの客人に無礼を働き、美濃者として大恥を晒すとはな」
「結局、あのデカイ音はいったい何だったんだ? 間違いなく皆がやったんだろうけど、彼が言ってた事は正しいのか?」
「ああ、大体あってるよ。で、ムカついたアタシが、そいつを庭側に放り投げたんだよ。戸を派手に吹き飛ばしたけどね。殺されなかっただけ感謝してほしいところさ」
「しかし、アレだな。大陸の西側でもそうだが、どうして<剣の踊り子>とか<血狂い>と呼ばれている2人に喧嘩を売るんだろうな? 殺されても文句が言えないほど、実力に差があるって言うのにさ」
「……オレも知らなかったが、そちらの不老長寿の女性は、そんな二つ名があったのか。何か逸話があるんだろうが、どんな凄い事をしたのだ?」
「別に対した事ではありませんよ。ダナは1人で300人を切り殺したので<剣の踊り子>と言われていて、私は盗賊や犯罪者を殺す仕事をしていたのですが、相手を殴り殺すので<血狂い>と呼ばれただけです」
「「「「「「「「………」」」」」」」」
「それは横に置いておくとして、なぜ客人の部屋に勝手に来たのかしら? しかも私達に相手をしろとか言い出したのは、いったいどういう事? それは交渉を決裂させようとしているとしか思えないけれど?」
「「「「「「「「………」」」」」」」」
周りに居る奴等も全員が守就を見ているが、このガキは頑なに喋ろうとしない。1つ息を吐いた俺はヒュドラーの毒ナイフで浅く傷つけた。効果は直ぐに現れ、激痛に体が痙攣し始める。
「こ、これはいったい……。貴様、我が子に何をした!? その短刀でいったい何をっ!?」
「黙れ。ウチの女性陣に手を出そうとしたクソガキを殺さなかっただけ感謝しろ。それともここで親子ともども死ぬか? ……そろそろ、いいか」
俺は【神聖八重浄化】を使いながら、こっそり【浄化】の権能を使って毒を浄化する。終わったので【白痴】を使いながら安藤守就から聞き出していく。その結果、土岐に都合良く使われていた事が分かった。
ようするに、今回の事で斉藤家と織田家が繋がると今まで以上に不利になるので、この縁談は何としても破談にさせたかったようだ。それと、斉藤家と織田家の婚姻には反対だったらしく、守就自身も潰したかったらしい。
「愚かな事を。我が子をどこに嫁がせるかはワシが決める事だ。他の誰にも口を出す権利など無い。そなた等の婚姻とて、ワシは口を出した事など無かろう。にも関わらず、我が家の婚姻に口を出すとは……恥を知れ」
「申し訳ありませぬ。愚息には強く言い聞かせておきまするゆえ、どうかお許しを! ……お前も、頭を下げぬか!!」
「……申し訳ございませぬ」
「不満なら、もう1回毒を喰らっとこうか。ついでに治さずに放置してやろう。……勘違いしているようだが、俺は許してないぞ。勝手にもう終わった事にしているようだがな、俺がいつ許すと言った?」
「申し訳ございませぬ!! どうかお許しを!!」
周りの武士連中は心底呆れている。アレだけ不満だらけの態度をしておきながら、ヒュドラーの毒ナイフをチラつかせたら途端に態度を変えるんだからな。まあ、周りの連中はヒュドラーの毒ナイフの恐ろしさを知らないから、呆れるんだろうけど。
「皆、このクソガキはどうする? 俺は皆の決定に従うが、何も無く許すというのは無理だろう。そこをどうするかだが……」
「面倒臭いから、もういいんじゃないかい? どのみち尾張に帰ったら報告するんだし、そこで美濃に安藤というバカな家があるってバレるだろうしね。恥を晒すんだから、それでいいさ」
「武士は面目を気にするみたいですしね、そういう報復で引きましょう。どのみち、あっさり投げ飛ばされた雑魚でしかありませんし」
皆も容赦無いな。気持ちはよく分かるし、その報復が1番良く効くと思う。もしかしたら、この世界では安藤守就は家督を継げないかもしれないな。ま、俺にはどうでもいい事だし、勝手にしてくれ。
その後、改めて広間で会談となったのだが、いろんなものが吹き飛んでしまった所為で、緊張感も何も無くなっていた。明日、俺達が帰蝶とお付きの女性を連れて帰るだけだ。
本来なら行列をなして護衛し、それを見せ付けたりするイベントなのだが、土岐が狙っているので仰々しく出来なくなった。逆に、俺達なら絶対に守れるので、最小人数である4人にする事が話し合いで決まったようだ。
俺達は麓のイノグチの町で宿をとる事になったのだが、当然そちらに斉藤家の屋敷もあるので、明日は朝から斉藤家の屋敷に行き、そのまま尾張へと戻る事になった。
娘を人質にするようなものだが、マムシさんが決定した事なので誰も口を挟めなかったな。マムシさんにとっても、今は土岐をどうにかするのが先であり、尾張と敵対する訳にはいかないという事情がある。
それだけではなく、塩の融通を求めていたりもしていた。なので余計に周りは何も言えなかったらしい。勝家君が言っていたが、美濃者の塩への執着は本当に強いようだ。
俺達は部屋へと戻り、信光さんと林さんが着替えるのを待つ。昼をとっくに過ぎているので、2匹には干し肉などを与えている。女性陣も青豆なんかを食べていたようだ。皆、肉は持っているが、生肉でしかないからなぁ。ここで料理する訳にもいかないし。
しかし、これでようやく一息吐けそうだな。安藤なんていうイレギュラーも出てきたが、いい感じのクッションになってくれた。アレを最初から用意していたのなら流石はマムシってなるけど、【白痴】を使って吐かせたぐらいだし……流石にあり得ないな。
尾張と美濃の間は収まるだろうが、代わりに別の国が襲ってきそうな気もする。伊勢とか近江とか……そういえば駿河の今川はどうしたんだ? あそこは去年に弱体化した筈だが、甲斐が南進してないぞ?。
裏で取り引きでもあったかな?。
▽▽▽▽▽
1137終了時点
大白金貨46枚
白金貨219枚
大金貨694枚
金貨596枚
大銀貨546枚
銀貨598枚
大銅貨1377枚
銅貨469枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




