1131
その後、ちょこちょことした小さな事を話してナコヤの城を後にした。信秀さんも色々大変だなぁ。特に北の美濃にマムシが居て、定期的にちょっかいを掛けてくる。それを凌ぎ続けないといけない。
勝家君も言っていたが、美濃の連中が塩を諦める事は無いだろう。たとえ塩を安く売るようにしたとして、自分達で作ればもっと安く大量にと考えて攻めてくる。甲斐もそうだが、塩作りの大変さを知らないからなー。
だからこそ簡単に考えてしまうんだろうけど……元の世界の武田は、駿河を手に入れた後でいったい何を思ったんだろう。塩作りの過酷さか、それとも手に入れた喜びか。……結局、命じるだけで苦労とか知らなさそうだ。
温泉地に着いたので屋敷に戻る。今日はナコヤに行って帰ってきただけだな。まあ、色んな話が出来たし、今のヤシマの国の実情も何となく分かったけど。これからも戦国が続くというか、これからが戦国乱世の本番か。
近江は北と南で争いだろうし、越前と加賀はまた争うようだ。近隣で争いが無さそうなのは伊勢だけか。あそこはあそこで、厄介な伊勢神宮があるんだよな。お伊勢参りなんて言うけど、この時代の神社仏閣が力を持たない筈がない。
面倒なんで関わりたくないが、向こうから来ると面倒だな。それに、北伊勢の連中を1度は叩き返しているんだ。また性懲りもなく攻めて来るかもしれない。前の海戦で舟を大量に失ったから、次は慎重になるとは思うが……。
もうすぐ夕方というところだったので、思案を止めて台所へ向かう。シルバーチキンの骨で出汁をとり、多少味を整えたら御飯を出汁で炊く。御飯を炊きながらボーッとしていると、皆が部屋から出てきた。
俺が色んな事を思案している間、女性陣は酒を飲むか練習をしていたようだ。酒飲み組は台所に来ても続行しているが、その中でもメルとフォルは料理の手伝いに来てくれたものの、俺は手伝いの必要が無い事を言っておく。
そもそも今は御飯を炊いているだけで、それ以外は何もしていない。2人も不思議に思ったようだが、無理に手伝う必要も無い事を理解して酒を飲みに行った。蒸らしに入ったので、そろそろ角煮の用意を始める。
今回はデスボーアの肉を角煮にするのだが、コレはパパっと作れるのでさっさと終わらせる。それと並行して乾燥椎茸で出汁をとり、野菜で味噌汁を作れば完成だ。皆の所へ持って行き、早速食べよう。
「肉もそうだけど、脂がプルプルで美味しい。絶対に体に良くないって分かっていても、この美味しさには抗えないね。いやー、本当に美味しいよ」
「デスボーアですから、お肉も美味しいです。脂はプルプルですが、お肉もトロトロです。こんなに柔らかなのに、噛むと肉を強く主張してきますね。流石はデスボーアといったところでしょう」
「それにしても、この御飯は美味しいわね。シルバーチキンの出汁だからかしら? 前に食べたウィンドチキンなんかとは全くの別物ね。味が濃いのにクドくないわ」
「美味しい物と美味しいお酒は堪らないね。今日は1日話し合いばかりだったから、別の意味で疲れたよ。……そういえば、最初に馬鹿が居たのをすっかり忘れていた。彼も大変だね」
「そうだな。愚かな弟に足を引っ張られるとは。いや、始まりは父親が愚かだった事か。下らない者の所為で御家騒動などが起こり、多くの者が巻き添えになって争いに発展する。碌なものではないな」
「種族を気にしてっていうのは聞いたことがあるけど、そこまで狸人族が大事なら、狸人族の奥さんを妻にすれば良かったのにね。まあ、そこも政治的な部分だけどさ」
「そもそも自分の父親が狸人族だったとしても、母親によって違っていたでしょうし、祖父母によっても種族は変わります。それに両親の種族の特徴を持って生まれる場合もありますし、正直に言えば意味が無いですよね」
「本当にね。種族がどうかなんて、どうでもいい事だろうに。そんな事で目を曇らせるから、後に残る問題を起こし、家の評判が下がるんだよ。頭が悪いとしか思えないね」
「まあ、そいつは実験に使えたんでいいんだが、近江の揉め事が他所に波及しそうで恐いんだよな。具体的に言うと若狭とか伊勢に波及して、その結果どうなるのかが読めない。あの管領が何をするかによって変わるだろうけど」
「どういう事だい?」
「最悪は、六角が近江を荒らされるよりはと手打ちにして、京の都の三好を攻めかねないとは思っている。管領としては京の都に戻れれば何でも良いんだろうしな。しかし、京の都の公卿や公家が納得するのかね?」
「今や権威しか残っていない連中ですか。潔く明け渡せばいいのに、しつこく自分達の覇権を狙っている。最終的に、あの都に押し込められて、見向きもされなくなって終わりそうですね」
「実際にそういう歴史を辿る可能性は高いと思う。血筋や家柄に権威だけだからな。そういう奴等が出来るのは、精々誰かを煽る事だけさ。ただ、それもバレてしまえば聞き流されて終わる。管領と同じだ」
その時、屋敷の廊下がドタドタと音を鳴らす。誰が来たのか知っているので別に良いのだが、勝手に閂を開けて入って来る奴なんて僅かしか居ない。そして問題の無い奴等だ。閂はメトムが丁寧に直してくれている。
「今、帰った。すまんが再び世話になって良いか? 向こうでする事も無くなってな。父上のところには顔を見せたが、母上のところには顔を見せておらぬ。まあ、滅多に会う事も無いので別にいいのだが……」
「そう言っているので、私達が叱ったのですよ。流石にね、いつまでも親が生きている訳ではありませんから、今の内に会う回数を増やしておくべきでしょう。後悔は必ずしますが、少しでもマシな後悔にするべきです」
「私達が言わないと行かないのも、どうかと思いますけどね。まあ、話は聞いているので、気持ちは分からなくもありませんが。私達も、この国の仙女族がどんな所に住んでいるのか興味がありますし」
「さて、アンタ達が行っても良いのやら……。何か適当な理由でもつけて、捕らえようとされるかもしれないよ? 今はタイミングが悪いと思うけど、皆はどうだい?」
藤達は夕食をダンジョン前で食べてきているらしく、早速ツマミを出して酒を飲み始めた。そんな藤達に、今日ナコヤで聞いた情勢を教える。みるみる藤が不機嫌になったが、大陸の歴史には晴元クラスはゴロゴロ居るぞ?。
「そのような者が近江という所に居ると……。まあ、他者の力を利用して好き勝手にする者など、古くから沢山居たようですけどね。我が国にも複数の史書に登場する悪党が居ますよ」
「王を毒殺した者。賄賂を渡さなかったという理由で殺す者。自分は全てよりも優れるとして、気に入らない者を殺害していった者。王を篭絡し、好き勝手にし続けて国を滅ぼした者。数多の者が居ましたね」
「あの愚か者であれば、足利の家から居なくなった私など、利用する道具としか思うまい。今の近江に行っても余計な事になるだけか、もしくは敢えて囮をやるかだな。最悪、逃げる事は出来る筈だ」
「流石に比叡山には手を出せないと思うが、何をするか分からない奴みたいだしなー。京極の居る城から動けなくなってもらうか? 毒などを使わずとも、宦官になってもらえば1季節は動けないだろう」
「「「………」」」
宦官と聞いて、藤とラオとシェンが顔を引き攣らせている。そりゃねえ、股間のモノが切り落とされるとなれば、想像しか出来なくても恐怖は分かるんだろう。去勢するだけなら、たぶん夜中に木馬を使えば往復は可能だ。
「それは幾らなんでもやり過ぎだと思うぞ。アレが嫌いな私でさえ、そこまでしようとは思わん。それぐらい嫌いではあるがな」
夜中に行ってコソっと落としてくるだけの、簡単なお仕事なんだけど。
▽▽▽▽▽
1131終了時点
大白金貨46枚
白金貨219枚
大金貨694枚
金貨596枚
大銀貨546枚
銀貨598枚
大銅貨1377枚
銅貨469枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




