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「問題は六角殿がどうするかなのだが、あそこも少々面倒な家でな。六角家は家臣の立場が強いのだ。<六角の両藤>とも言われる進藤と後藤を始め、蒲生なども居る。家臣どもが騒げば六角は動くかもしれん」
「それで尾張へと攻めてきましょうか? 土岐の要請を請けて美濃へと攻め入りましょうが、果たしてあのマムシがただで転ぶとは……」
「ワシも思わんな。むしろ六角に西美濃をワザと獲らせて邪魔者を排除、その後に己の手で取り戻し、自らの直轄地を増やすくらいであろう。美濃は土地に対する執着が強い国だからな」
「尾張の場合は海がありますから良いですが、美濃は山が多く川しかありませぬからな。美濃者からすれば尾張に命を握られておる気分になるのでしょう。その不安を土地にしがみつく事で耐えておると思えば、分からなくもありませぬ」
「塩ですか……。某も、家の者が塩が安くなり質も良くなったと言っておるのを聞いて、初めて塩の事を考えました。それまで塩の値など考えた事もありませんでしたが、美濃に持っていくと高くなると聞きましたので、美濃は大変だな……と」
「うむ。美濃者が躍起になって攻めてくる理由の1つよな。もちろん尾張が米所である事もそうなのだが。とはいえ、奴等は尾張の暴れ川を知らぬから羨むのだ。どれほど川が暴れ、多くの者が死んでいったか……」
「まあ、どこの国でも領主は悩むものですし、苦労もそれだけしますよ。川が溢れるのを防ぐには、浚渫をするしかありません。川底を深く掘り下げる事で、水位が上がっても溢れないようにするぐらいですね」
「それは……オレでも分かるが、莫大な銭が掛かるんじゃないのか? そもそも尾張は川が多い。暴れるのはいつもの川だが、他の川だってどうなるか分からん。そんな銭が果たしてあるのか……」
「そなたが遊女屋で無駄使いした額では端な銭にしかならんな。それほどまでに莫大に掛かるであろう。情けない話だが、アルド殿が銭を作るようになって初めて銭の大切さを知ったわ」
「ほう、遊女屋な。勝家がか……ふふふふふ。堅物のようにしておっても、女子に興味があったか! これは、目出度い! ワハハハハ!!」
「と、殿!! 某は堅物などではございませぬ!!」
「ウハハハハハ!!!」
何か楽しそうなところ申し訳ないけど、また誰か来たよ? 信秀さんが笑いながら報告を受けていると、みるみる機嫌が悪くなっていった。空気がピリっとしたから、即座に林さんと勝家君は姿勢を正した。
「面倒な事になったぞ。六角は京の都に管領を戻そうと、裏で上様の側近衆と話し合っておったらしい。ただ、それを知るや、管領は北近江に逃亡したらしいわ。京極は愚か者だからな、六角殿より操りやすいとでも思うたのであろう」
「そもそも紅衆の京極は、現在兄弟で家督争いの最中ではありませんでしたか? 確か、その事で浅井の家臣の切り崩しが起きていた筈。あそこは大きな国人は殆どおらず、土豪の中でも力のあった浅井が上に立った土地」
「そうだ。だが、その浅井とてそこまで力がある訳ではない。1度、家督争いを利用して伸し上がろうとしたら、兄弟が共闘して叩いた筈だ。争っておる癖に、自分達以外の敵が出てくると直ぐに纏まる。愚かな事よ」
「そんな事してるから、いつまで経ってもヤシマの国って荒れてるんだろうに、それでも争う方が大事なのかねぇ。アタシにはまったく理解出来ないよ。自分の手で伸し上がってやろうとする方が、まだ分かる」
「我等もそんなものです。家督争いをしている者達は真剣なんでしょうが、周りの者からすればバカバカしいのが本音ですからな。ただ、負ければ本人だけではなく、側近連中も没落しますから。必死なのは確かです」
「そんなもので家が没落する方がおかしいと、そう思わないのでしょうか? 上が誰でも下は粛々と仕事をすれば良いだけでしょう。本人同士に武器を持たせ、殺し合いでもさせなさい。それで終わります」
「まあ、そうなのですがな。上が愚かだと下が困りますので……」
「家督争いをしている時点で愚か者だとは思えないのかしら? 本人達は思っていなさそうね。もし私が家督を継承出来ない立場なら、当主になった上の者を立てつつ失敗するように誘導するわ。そうすれば大失敗をして、自分の番になるでしょう?」
「「「………」」」
「何を驚いているのか知らないけれど、政の戦いとはそういうものだよ。頭が悪ければ当主の座を引き摺り下ろされる。当たり前じゃないか。戦うなら、そうやって戦えばいいんだよ」
「まあ、確かに愚か者では生き残れないようになっておれば、自然と田分け者の当主はおらなくなるか。引き摺り下ろされるからな。己の身ぐらい守れねば話にもならぬと言えば、その通りだ」
「あれ? 誰かまた来たね。何か多い気がするけど、色々動いてるみたい。尾張以外は大変だねー」
信秀さんが報告を少し受けたが、その後はじっと考え込んでいる。俺達は昼食を終えていたので後片付けをしていると、平手さんと小さい子が来た。アレがおそらく信長だろうけど、信秀さんもそうだが、顔が細面でシュっとしてるんだよな。
そしてイケメンに一歩届かない感じ。それが逆に安心感に繋がっている。説明し辛いが、そんな感じの顔だ。信長は早速テーブルの上を見渡しているが、特に何も無くてガッカリしてる。なのでチーズと干し肉をあげると、モリモリ食ってるな。
ついでにウチの2匹も寄越せと五月蝿いので渡しておく。そんな事をしていると考えが纏まったのか、信秀さんは口を開いた。
「まだまだ詰めきれぬが、皆に聞……吉法師か。そなたは何を………すまぬな。後で銭を払おう。それはともかく聞いてくれ。厄介な事は重なるが、加賀を乗っ取った神殿どもが、また越前に攻め込んだらしい」
「またですか……。ああ! 朝倉教景殿が亡くなったからですな! 加賀の者どもめ、これ幸いにと動き出すとは」
「あそこの者どもは碌な事をしません。己らの方が上手く統治出来ると言いながら、やっておるのは今までと変わらず略奪のみ。己らの手で穢れを増やしております。他の神殿の者からも蛇蝎の如く嫌われておるというのに、一向に止めませぬ」
「まあ、加賀の者どもの相手は越前だ。あれ等が何とか致すであろうよ。されど、これで越前も近江も美濃を攻める事は無くなった。この好機にマムシが何もせぬなどあり得ん。奴は何をする?」
「それは当然、尾張攻めでございましょう! 奴等が求めるのは塩と米に決まっております!」
その勝家君の言葉を否定するように、俺は信長を見つつ信秀さんにハッキリと言った。
「もしかしたら、婚姻を狙ってくるかもしれませんね。確か吉法師殿の1つ上の娘が居ませんでしたか? 人質に出すように送ってくるかもしれませんよ? こちらが信用していないのは分かっているでしょうからね」
「そ! そんな事を殿が受ける筈が無かろう!! 若様を利用しようとするなど許しがたき事ぞ! そんな事を「待て」言うてく……」
「ワシもそこまでは考えておらなかったが、マムシめは突然思いもよらぬ事をする事がある。それがマムシの底力とも言えるのだが、婚姻の可能性が無いとは言えん。言ってきたら、どうするか……」
「殿、もしかしてお受けになるので?」
「吉法師の歳では婚姻にはならぬ。許婚という形になるなら受けても構わん。破談になる事もよくあるからな。公卿や公家の家でもあるのだから、何かあっても織田の名が落ちる事は無い」
「許婚でございますか……。若には少々早うございませぬか?」
「政秀、心配致すな。こちらに送ってくるなら取り込むまでよ。向こうもまだ幼いのだ、織田の家を見せて此方に居た方が良いと思わせてしまえばよい。これから更に、尾張は豊かになるのだからな」
「案外、マムシさんはそれを見抜いているのかもしれませんね。前に尾張に攻めてきた時は、まだ今ほど豊かじゃ無かったので攻めた。では、これから豊かになっていくのなら?」
「成る程な。豊かになっていく尾張を見て、方針を変えたか。ワシもアヤツも乱世の成り上がり者とはいえ、ワシよりも鼻が利くらしいな」
これで信長と帰蝶の婚姻フラグが立ったかな?。
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ヒュドラーの毒ナイフ
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神木の浄化棍棒
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神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
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白い大型のアイテムバッグ




