0112
まだ2匹は顔を押し付けてフガフガして遊んでいる。余程楽しいのか、場所を変えながら顔を突っ込んではハシャいでいて落ち着く気配が無い。放っとくか。
「今日はどうするんです?」
「ライブルも昨日の今日で、ここに来たりはしないだろう。調べる事も沢山あるだろうからな」
「なら、今日は1日中お休みね」
「良いねぇ! 偶には1日中爛れた生活をしても罰は当たらないさ」
「別にそれでも良いけど、昨日のギルマスが着けてたチェインメイルを調べたりするのが先かな」
「良い物だったんですか?」
「魔鉄で出来たチェインメイルを装備してたんだよ。俺に対してだったのか、他に命を狙われてたのか」
「あら、結構良い物をお持ちだったのね。宝の持ち腐れですけれど」
「ギルマスの家が分からなかったんで、そっちの家捜しは出来てないんだよな。もっと良い物があったかもしれない」
話の途中で大銅貨6枚を支払い朝食を注文する。話を再開する前に朝食が来た為、まずは食事が先だな。朝食後、宿へ帰る道の途中で昨日の監視者と擦れ違った。慌ててたが……?。
ギルマスが居ない事が明らかになったのか、何か理由があるのか。オレは部屋に戻ってチェインメイルの調整だな。ついでに残ってる黒い素材で何か作ろう。
部屋に戻って昨日ギルマスから分捕ったチェインメイルをアイテムバッグから取り出す。心臓の前が綺麗に壊れてるが、直さずに素材に戻し精錬する。
高品質の魔鉄にしたら量が半分近くまで減った。相当質が悪かったらしく、これじゃあチェインメイルは無理だ。代わりに別の物にするんだが、何を作ろう?。
3人に聞いてみようかと思ったら、もう酒を飲んでる。また朝から酒飲むの? 何か段々駄目人間になってきてないか?。
「精錬したら魔鉄がこんなに少なくなったから、別の物を作ろうと思う。何か欲しい物はある?」
「特には……魔鉄も錆び難いとはいえ、錆びますし」
「そうだね。アルドが魔物の素材で作ってくれるから楽なんだよね」
「確かに。今更ですけど、錆びる武具はちょっと面倒臭いですよね」
「持ってる物からすると、魔鉄自体が微妙だからなぁ……。先に真っ黒な素材をどうにかするか」
残っている量で作れるのは、指貫グローブぐらいだったので全員分作り渡した。後は骨と肉か……。内臓を餌皿に入れて出したら2匹の食いつきが凄く、あっと言う間に完食した。
更に余っている肉を入れてやると、これも嬉しそうに食べ始めた。残っている骨で何を作るのか悩んだが、金砕棒を作る事にした。ウォーハンマーが取られたので丁度いい。
長さは120センチにし、半分から先に突起を付けた部分を作る。全体を野球のバットのようにして、持ち手の部分を凹凸にして滑り止めを作ったら完成だ。
圧縮に圧縮を重ねた為に結構な重量になったが、鈍器なので丁度いい。だが、何故シュラが早速振ってるんだ? ウォーハンマーを持っていっただろうに……。
「これも中々良いですね、殴った時の感触が良さそうです」
「シュラ……流石に駄目だよ? コレも持っていくのは」
「そこまでは致しませんよね?」
「も、もちろんですよ。何故そんな疑いを?」
「既に1度、持ってったからに決まってるだろう」
「いえいえ、前のウォーハンマーの方が威力がありそうですからね。これは振ってみたかっただけです」
「それはそれで、どうなんでしょうか?」
そんな事を話しているとラーファンさんから来客を告げられた。流石にライブルが来るには早過ぎる気がするんだが。……となると一体誰だ? 検討がつかないな。
誰か分からず色々考えながら1階に下りると、そこには王女と王太子が居た。……何で王太子という立場の者がこんな宿屋にやってくるんだよ。
「こんにちは。今日はいったいどうしたんだ?」
「こんにちは。急に侍従長が、この世から居なくなってね」
「こんにちは。その事は陛下もご存知で、”どうでもよい”と仰っておられました」
「……すまない。結局、用件はなんなんだ?」
「私の武器を作ってもらいたいのと、前回の報酬を渡せていなかったものでね」
「こちらが前回の報酬の大金貨2枚になります」
「……前回の条件は呑むという事で良いのか?」
「ああ。あの条件はある意味当たり前の事だ。侍従長が下らぬ事を言った所為で流れてしまったがな」
「じゃあ、俺達の部屋に来てくれ。流石に王族2人がこんな所に居るのはマズい」
そう言って部屋に戻る。王太子と王女に飲み物を出そうと思ったが、2人とも酒に釘付けだ。こいつ等は本当にドワーフの血を継いでるな、酒に反応し過ぎだろう。
そして当たり前のように酒を出す3人と飲む2人。とりあえず作る物を聞いておかないと駄目っぽいな。ああ……もう、飲んでやがる。「美味い!」じゃねーよ。
「それで。何を、どんな素材で作ればいいんだ?」
「作ってほしいのは携帯に便利な剣と、妹が持っている二股の武器だ」
「二股……ああ、十手の事か。素材は?」
「素材は出来れば金属が良い。魔物の素材も悪くはないが、私は王太子だからな」
その後、剣の長さや重さなどを話し合って出た結論は打刀だった。早速作るのだが、魔鉄は鉄や鋼と違って硬さを変えるのが難しいので、圧縮率以外は全て同じ素材で作るしかない。
それでも十分良い物が作れる為、特に問題は無いだろう。各種部品も魔鉄で作り、持ち手と鞘は硬木で作った。十手も魔鉄で作り、これで完成だ。
「何とも簡単に作るものだ。それにしても……」
「傭兵に装飾を期待しないでくれ。どうせ王族御用達の職人が居るんだろ? そいつ等にやらせればいい」
「うむ。それは居るし任せるのだが、私が言いたかったのは硬木の事なのだ。中々手に入らぬ物だが良いのか?」
「迷宮の14層。サイクロプスの出てくる層に硬木は生えてるぞ?」
「なんと! 硬木が迷宮にあったのか! しかし、14層とは……」
「迷宮がどう変化するかは分からないが、到達する事を優先すれば行けなくもないだろう?」
「成る程な。そして硬木を伐って戻ってくれば良いという事か。王都の産物に出来そうだな」
「アルドさん。こちらが報酬です」
「こりゃ、また……。見栄もあるんだろうが、大金貨を貰うような物じゃないんだが」
「そうかな? これより遥かに悪い物を売りつけに来る者もいるがな」
「そりゃ、唯の詐欺師だろう?」
「ハハハハッ! 確かに。王族には物の価値なぞ分からんと思っている愚か者が多くてな、ウンザリしている」
「私の所にも、そういう者は来ます。適当にあしらうのも面倒で嫌になりますね」
「さて。美味い酒を飲んでいたいが、そろそろ戻らなくてはな」
「名残惜しいですが、仕方ありませんね……」
そう言って帰って行ったが、あいつ等どんだけ飲んだと思ってるんだ? 3分の一まで減ってるじゃないか。また酒作りか? 今日の内に終わらせよう、面倒臭すぎる。
昼飯が先だな、まずは食堂に行くか。大銅貨6枚支払って、ゆっくり……また早くきたな。直ぐに食べるが、何か急かされているようで落ち着かない。
昼食後、3人は酒の材料を買いに行った。俺は部屋に戻って、ゆっくりする。2匹と遊んでいると3人が帰って来たので酒作りの開始だ。
ブランデーにウイスキー。シードルにミード。今まで散々作ってきたので何の問題も無く完成する。
毎回思うが、地球ではこんな簡単に酒が出来たりはしない。自分でやってるんだが不思議な光景だよ本当。
3人は残っていた酒をチビチビ飲みながら見ていたが、酒が完成するたびに飲む量が増えるのはどうなんだ? 少しは飲む量を減らしなさい。落ち着いてゆっくり味わって飲むんだ。
これから、忘れていた”アレ”で鎧を作るんだから起きててくれよ?。
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0112終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨13枚
金貨50枚
大銀貨32枚
銀貨14枚
大銅貨62枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
真っ黒な金砕棒
剣熊の爪のサバイバルナイフ
オリハルコンの苦無
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
二角の革の帽子
剣熊と銅亀の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
剣熊の革の剣帯
剣熊の骨の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ