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現在、林弟を捕らえて尋問中です。とはいえ、興奮しているのと【白痴】の御蔭でペラペラと驚くほどに喋る。もちろん俺が喋らせているんだが、そのあまりの喋りっぷりに周りの武士も呆れている。
おそらく、コイツは自分の喋っている事が分かっているのか? という心境だろう。俺も第三者ならそう思っただろうけど、自分がやらせているので何とも言えない。しかもコイツ、自分が喋っちゃマズい事を話している自覚が無い。
【白痴】といえども素直に喋らせる効果しかなく、頭を悪くする事なんて出来やしない。つまり、この頭の悪さは天然だという事だ。あまりにも堂々とペラペラ喋るので、痛めつける必要も無い。
「殿! 細川様が仰っておられるのですぞ! 今すぐ土岐か斉藤めを倒し、細川様の覚えを目出度くするべきです。何故、美濃を攻めぬのですか!? 某にお任せ下されば、直ぐに蹴散らして御覧にいれましょうぞ!!」
「何を田分けた事を抜かしておる。おのれなんぞにワシらが従うとでも思うておるのか! 戦をするという事は我等を使うという事ぞ! おのれにそんな才や能がある訳がなかろうが!!」
「某が大将に命じられれば従うしかありますまい。その大将を決められるのは殿であり、家臣ではありませんぞ? 殿が命じられれば従わねばなりますまい。従わねば謀反と変わらぬ」
「確かにそなたの申す通りなのだがな、そなたのような田分けを大将に任ずる訳が無かろうが。おのれのような者に大将をさせれば、勝てる戦でも負けるわ。頭を冷やせ、愚か者が」
「何を仰るのですか! ここで土岐か斉藤を叩かねば、尾張者は腰抜け扱いされるのですぞ!? 天下万民にそのような扱いを受けても良いというのですか!? 細川様も危惧しておいででしたぞ!」
「成る程。京で三好にやられ、上様から見捨てられ、近江に逃亡した腰抜けの管領にそう言われたか。実に愚かよな。ここで尾張が動かずとも、誰も腰抜けなどと思わぬわ。腰抜けの管領に騙されるとは、真の愚か者とはこんなものか。秀貞も可哀想にな」
「あの男の事は言うな!! あんな愚かで役に立たぬ者が、何故兄だというだけで当主なのだ!! 当主は優秀なオレが成るべきであろう。父上もそう言われておったというのに!!」
「ああ、そういう事か。弟の方を溺愛するあまりに、嘘ばかり教え込んだ先代が原因か。林家の者が嘆いておったわ。おのれが産まれるまでは優秀であったのに、おのれが産まれてから間抜けになったとな。その所為で秀貞は苦労をしておった」
「まったくですな。先代殿は何故あんな事をしておったのか知りませぬが、兄である秀貞の方が優秀なのは誰でも分かるでしょうに。家臣も皆、秀貞を当主に望んでおったと聞いております」
「ワシも同じです。ここの兄弟は驚くほど違いますからな。優秀な兄と、愚かな弟。秀貞が乞うたからこそ殿の下に出仕できたというのに、愚かな弟はそれも知らぬようで……。秀貞が乞わねば、おのれなどが出仕できる筈があるまい」
「な!? お、おのれぇーーーーっ!!! どいつもこいつもオレを虚仮にしやがってぇーー!!!」
「殿。管領とはいえ、他家の者の甘言に乗った者をこのままには出来ませんぞ。秀貞は居りませぬが、今すぐ罰を与えねば舐められまする。如何いたしましょう?」
「厄介な事をしてくれるわ。林家は西部織田家の古参ぞ。これは管領の離間の計ではありませぬか?」
「いや、それはあるまい。向こうはこちらを田舎と思うておる。こちらの内情も知っておらぬであろう。おそらくコウカか伊賀から情報を買い、都合の良い者を甘言で騙して嗾けただけだ。成功しようが失敗しようが、管領にとってはどうでもよかろうよ」
「でしょうね。管領にとっては適当に煽る文でも書けばいいだけだ。そんな紙1枚で騙されてくれるんだから、笑いが止まらないだろう。そういう頭の悪いのを騙して<神神の乱>を起こした奴だと聞くし」
「うむ。まったくもって、その通りだ。だからこそ、誰も管領の言葉になど取り合わぬ。アレの言葉を聞くなど愚か者のする事よ。おそらくは京の都に戻る為に越前の朝倉を使いたいのだろう。その為には騒いでいる土岐が邪魔だ」
「だからこそ、土岐か斉藤に我等を嗾けようと? ……相変わらず、己以外は駒としか思うておられぬのでしょうな。そして、そんな者に騙される間抜けがここに」
その時、襖が開いて林さんと勝家君が入ってきた。どうやら案内されてきたみたいだけど、弟が捕らえられているのを見て何かを悟ったようだ。信秀さんの前に出て、即座に土下座した。
「何があったかは存じませぬが、おそらくは愚かな弟が大きな失敗をしてしまったのでしょう。父上との約定にて西部織田家に出仕させましたが、やはり愚か者は愚か者だったようです。誠に申し訳ございませぬ」
「秀貞の所為ではあるまい。元服しておるのだ、責は己でとらねばな。ちなみにだが、コヤツは管領の文に騙されて、我等を土岐か斉藤に嗾けるつもりであったそうだ」
「な!? ………何と愚かな事を。管領などヤシマの国で1番信用出来ぬ者。そんな事も知らぬとは……。もう何も申しませぬ、如何様な罰でもお与え下され。某にも救いようがありませぬ」
「こういう奴って何回も同じ失敗を繰り返すから、放っておくとずっと敵に利用され続けるよ。今の内に始末しておいた方がいい。アタシ達はそういう奴を山ほど見てきたからね」
「ええ。反省する事もありません。甘やかされて育てられたのですから、行き着く先は破滅です。貴方の家である林家も一緒に行くのか、この愚か者だけ行かせるのか。どちらかを選ぶしかありませんね」
林さんは表情を一切変えずに「お任せ致します」と信秀さんに言った。信秀さんはしばし悩んだが、磔刑にする事を決めたようだ。
いわば公開処刑だが、コイツには妻や子供が居ないので、そこまで後味の悪い事にはならない。もし妻や子供が居る場合、連座で処刑されるからな。
林弟は牢に連れて行かれる際にも、醜い事をギャーギャー喚いていたが誰も取り合わない。それが全ての答えなのに、まだギャーギャー言えば済むと思っているようだ。林家の先代は何故あそこまで甘やかしたんだろうか?。
「秀貞よ、何故先代はアレを甘やかしたのだ。アレでは林家が傾くのは誰にでも分かるであろうに。何より、林家の家臣でさえそなたを当主にと思うておる。先代とアレだけがおかしい。父上に従い、多くの事をやってきた先代とは思えぬがな」
「それは………某が人間族であり、弟が狸人族だからです。父は狸人族であり、母は人間族でした。某は母の血が濃いようでして、父上は狸人族の後継ぎが欲しかったようです」
「「「「………」」」」
「何と愚かな事を。家にとって大事なのは、家を繁栄させる事が出来る後継ぎぞ。出来得る限り長子に任せるが、長子が無能であれば変えられるは必然。されど長子が優秀であるならば、誰からも文句など出ぬ。それを種族だけで選ぼうとは……」
「祖父も狸人族でしたが、曽祖父は人間族でした。だから家臣達も某で問題など無いと言ったのですが、父上は最後まで抵抗されておりました。それでも弾正様の口添えがあり、最後には父上も折れたのですが……」
「弟は当主の座を奪われたと思うようになった……。奪うも何も、当たり前のように手に入ると思っている事がおかしい。でも、ああいう奴はおかしいとは思わないんだよなぁ。なんでだろう?」
「愚か者の事なんて考えても無駄さ。アレ等は常に現れては周りを不幸にしていく。対処方法はたった1つ、殺す事しかない。息の根を止めないと、周りが延々と不幸になり続ける。そして、アレ等はその事に何の疑問も抱かない」
「「「「「「………」」」」」」
アルメアの重過ぎる言葉に、部屋中が静まり返っている。
ハッキリ言うと、覇王のオーラが出ていて威厳があり過ぎるんだ。<女帝>という言葉が相応しいんだけど、初めて見たな。
▽▽▽▽▽
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