1125
赤色の帯と青色の帯なんだが、とても薄くてそれなりに長い物だ。長さは2メートルで幅は20センチほどの、見た目には薄いだけの布。ただ、この布は身に着けると回復力を強化する。赤い布は気力を、青い布は魔力の回復力だ。
魔神が布状の魔道具を作れないかと色々試していたらしいのだが、途中からどこまで薄く小さく出来るかに挑戦したらしい。その結果、一見して魔道具とは分からない物が出来たと自画自賛していたのを覚えている。
両方身に着けて修行をすれば、相当修行の効率は上がるだろうけど、あまり教えると面倒な者まで来そうだな。……やはり出来得る限り、隠す方向でいこう。そんな話を皆にする。
「気力と魔力の回復力ねぇ……エゲツない効果だとは思うけど、アタシ達には必要無いし……。邪生の心臓を食べさせない奴等の修行用ぐらいしか、出番は無いと思うよ」
「そうですね。効果を考えたら凄いのですが、私達に必要かと言われたら、特に必要無いと言うしかありません。藤達も必要としないでしょうし」
「あの子達も普通の修行が必要であって、魔力や闘気が足りない訳ではないものね。私達もそうだけど、基本からちゃんとやり直さないと」
「足を掬われるどころではなく、その1回で殺されかねないからね。特に空を飛んで襲ってきた時には、内心ではパニックだったよ。今にして思えば、よく戦えたと褒めたいぐらいさ」
「確かにな。フワフワ浮いているかと思えば、凄い速さで接近してきたりしたのは驚いた。普通はあんな相手と戦う事は無いが、それでもダンジョンの最奥ではあるんだ。これからは対処方法を考えておかねばな」
「そうだね。人間種と変わらない姿で音もなく飛んでるんだもん、ビックリしたよ。腕輪とか足輪が鳴ってなかったら気付かない事もあったかも……。そういえば、何で音が鳴る物を身に付けてたんだろうね?」
「さて、何故なんでしょうね。初めて見ましたし、ああいう者だとしか分かりません。先ほど御主人様が仰っていた中には、4本の腕や、6本の足を持つ神様もいるそうですから……」
「それに比べれば、音が鳴る輪っかを身に付けているぐらい普通の事に思えてくるね。とはいえ、戦闘だと何故わざわざ音の鳴る物を身に付けるのか疑問だけど……。もしかして目立ちたいのかな?」
そんな事を考えてもしょうがないぞ。神様とか仏様はそんなもの、そう考えるくらいで丁度良い。どうせ考えたって無駄だしな。それに、この世界の神様かシステムに作られた、なんちゃって夜叉だったし。
それより、もう何も無いようだから帰るよ。俺が脱出紋に向かうと、皆も慌ててついてきた。外に出ると夕方前というぐらいの時間だったので、俺達は身体強化を全力で使いカニガワの温泉地へ帰る事にする。
無事に帰ってきた頃には既に夕日が出ていたので、さっさと夕食作りを始めよう。今日は米粉を混ぜたプレーンの饅頭と、各種の肉のバーベキューだ。各自の食べたい肉を自分のアイテムバッグから出してもらい、俺が解体していく。
その横で、メルに練ってもらって饅頭の生地を作ってもらい、フォルに骨から出汁をとったスープを作ってもらう。皆の肉が用意出来たら、庭に焼き場を作って焼き網を乗せ準備は完了だ。饅頭が蒸しあがるまで待ってくれ。
1度目の蒸しが終わったので肉を焼き始める。皆はグレイトシープを始め、確保していた肉を美味しそうに食べていく。俺は2匹の皿に焼けた肉を入れていく係だ。とはいえ、そこまで忙しくはない。
ダリアもフヨウも久しぶりに生肉が食べたくなったのか、出してやると喜んで食べているからだ。焼いた肉もいいが生の肉も好きらしく、結構な勢いで貪っている。やはり本能に訴える何かがあるんだろう。
そんな食事風景を見ながら食べていると、勝家君が林さんと一緒に訪ねてきた。昨日三河の戦が終わったところなんだけど、よく俺達がここに居るって分かったな。とりあえず訪ねてきただけか?。
「すまん、食事中だったか。実はな、明日ナコヤの城に来てほしい。殿が話したい事があるそうだ。内容は詳しく言えんが美濃の事になる」
「オレの責でもう少し言おう。実は美濃の北に居るという土岐が、殿に助けを求める文を出してきた。殿が仰るには、相当こちらを見下した内容だったらしい。呆れておられたぞ」
「助けが欲しい側が見下す文を書いたのか? あまりにも頭が悪くて呆れるくらいしか出来ないな。それで、信秀さんはどうする気なんだ? そんな事を俺に相談するような人じゃないだろ」
「うむ、当然だ。それは尾張の問題だからな。そうではなく、銭の改鋳や炭の事などを話したいそうだ。勝家はだいぶ端折って話してしまったがな。美濃の事も絡んではいるのだ」
「どういう事だ? 美濃の土岐と尾張の物作り。特に関わりそうな内容とは思えないがな。土岐が探っているとか、そういう事か?」
「それも無い訳ではないのだがな。それよりも、儲かっている尾張に兵を出せと言いかねん御仁が近江にいる。それに告げ口せんとも限らんのでな、今の内に更に稼ぎたいそうだ。戦がある事も考えておかねばならん」
「仮に告げ口したところで、肝心の近江は動きそうにない気はするけど? 近江の六角定頼って、西部さんが敵に回したくないって言うほどの人物だ。そんな人物がわざわざ尾張を攻めるかね?」
「分からん。だが、殿は攻めてくると考えて準備をしておられる。仮に攻めてこぬならば、更に守りを固めるとか何とか。難しい事は分からんが、そんな事を仰られていた」
「まあ、美濃と近江が手を組んで攻めてきたら、尾張にとっては厄介なんだろうけど……そうなると、俺が取ってくる所が増えるだけだしな。懐が暖かくなって、ありがたい限りだ」
「美濃や近江と言っても、奪われれば戦は出来んか。しかも奪われるのは神殿か神社か、それとも武士からであろう。美濃や近江が混乱せんならば、殿もとやかくは言われまい」
「流石に混乱すると流民が増えるからな。そして流民は往々にして豊かな所へ行く。尾張が豊かだとバレるのは色々マズいんで、そういう意味でも土岐が邪魔か……」
そんな話をした後、彼等は普通に帰っていった。また食事をしに来たのかと思ったがそんな事は無く、これから林さんに連れられて”遊び方”を習うらしい。人を集めてパーッとするだけが、遊女屋の遊び方じゃないと怒っていた。
何と言うか、堅物なだけではなかったし、昔ながらの古い武士なだけでもなかった。どうやら林さんは遊び人でもあったらしく、勝家君に遊び方を教えるんだそうだ。「銭に飽かせて遊ぶなど言語道断」って言われてたなぁ。
歴史好きに色々言われる林さんだけど、リアルだとこんな感じなんだろう。人がそんなに単純な訳がないし、色々な事の果てに信長を裏切るという結果になってしまうだけか。林さんも人だしな。
2人が帰った後、屋敷の戸締りをするついでに【浄化】していく。フヨウも屋敷の中を綺麗にしてくれているらしく、床や壁が綺麗になっていっている。女性陣には先に風呂に入ってもらい、終わったら俺と2匹で入ろう。
今日の疲れが全て抜けていくような、そんな心地良さを感じながら風呂を楽しんだ。こら、ダリア。お湯をこっちに飛ばすんじゃない。泳ぐのは止めなさい、のぼせるから。フヨウはフヨウで底でジッとしてるだけだし……。
結局のぼせたダリアを抱えて風呂を出る。体の水気を取った後、部屋に戻って冷たい神水を入れて飲ませてやると、どうやら落ち着いたようだ。それにしても、何やってんだかな。テンションが上がったんだろうけどさ。
ダリアは冷たい神水を飲む事で段々と熱が引いていったようだが、今度は眠たくなったらしく、布団の上にフラフラと歩いていき倒れるように寝転がる。フヨウもダリアの近くにいき、2匹とも直ぐに寝てしまった。
それを見た女性陣が襲ってきたが、丁寧に優しく撃沈し、今は綺麗に【浄化】しているところだ。……よし、終わったので俺も寝よう。それじゃあ、おやすみなさい。
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ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




