1122
結局、敵軍の大将は藤が討ち取ったらしい。大半の兵は降伏したので討ってはいないが、抵抗した者は当然討ち取っている。戦国時代だから当たり前だし、降伏して大人しくしていれば害される事は無い。
もちろん武士は違う、降伏したとて命が助かる場合と助からない場合がある。それは織田家と松平家に反抗的か否かだ。これから先の統治に邪魔な奴は当然潰される。というより、潰さないと延々と反抗し続けるので潰すしかない。
そこは俺達には分からないのでスルーだ。藤は敵軍の大将を倒したが、その割には不満が隠しきれていない。何故だと思って聞いてみたら、自分の方に逃げて来た奴を斬っただけで、まともに戦っていないからだそうだ。
そんな藤は横に置いといて、戦の結果はどうなったんだろう。そう思っていたら、敵兵は200人ほど死んだらしく、こちらの兵の損害は30人ほどらしい。敵軍は後ろから攻撃されていたのでパニックになり、味方に殺された者も居たそうだ。
武士も多く討ち取っているので、結果は西三河の完全勝利と言っていいだろう。皆は喜んでいるが、俺達は死体の処理中だ。兵の中にも手伝ってくれる者がいるので、どんどん穴に放り込み【浄炎】で焼いていく。
それなりに死体は出たものの、シュラとアルメアも手伝ってくれているので早く終わった。そもそも勾玉を使って吸引と【浄化】をしていたので、邪生などは一切生まれていない。戦場ではあるが、村とか町よりも清浄だからなぁ。
死体の処理も終わり、東三河から攻めて来た兵は多少の食べ物を与えて帰す。普通は食べ物を渡す事などしないのだが、武具を取り上げているので代わりに渡している。まあ、もう1つの理由は、少しでも恨みを減らす為だ。
こんな事でも、やるのとやらないのとでは違う。更に言えば、兵の大半は農民だ。彼等は命じられているのと略奪出来るから来ているだけで、当然の事だが死にたくなんてない。
武士を討っても大した褒美が貰える訳でもなく、褒美の大半はその村を支配する武士が持っていってしまう。彼らからすれば、そこまで戦に参加する理由が無いんだ。その彼らを懐柔する米でもある。
まあ、西部さんもやらないよりはマシだからやっているんだし、彼らも米を貰ったからといって大人しくなる訳でもない。ただ、反乱した時に鎮圧する言い訳にはなるんだよ。これが割と重要だったりする。
恩を仇で返したと言える訳だ。こういう事で、将来の鎮圧を正当化する下地を作っていく。政治って本当に面倒臭いね。あんな大変な事よくやるよ、としか思えない。真面目にやると大変だ。
「しかし、誰かがやらねばならん事でもある。広忠も必死になって色々覚えようとしておるな。前の戦いは己の城を取り戻す戦いであったからそれどころではなかったが、今は白衆筆頭の当主になろうと励んでいる様で何よりだ」
「自分の離れたものだから、何か思うところがあるのかい? まあ、何も無いとは言えないだろうけどね」
「そうだな。とはいえ、我が足利家の内情はあれよりも遥かに醜いものだ。あの程度ならやっても構わんのだが、征夷大将軍をする気にはならんな。己で何も出来ん御輿など御免被る」
「そんな状況だと、誰かが代わりになろうと立ち上がったら一気に崩れそうだね。今までにも色々な所で沢山あった事ではある。ただ、普通なら国が滅びるんだけど、ヤシマの国では頭が代わるだけだろう」
「確かに姉上の仰る通りでしょうね。この国は奇妙な構造ですから、国が滅ぶというところまでは行かなさそうです。帝という者がいる限り、この国は本当の意味では滅ばないのでしょうね」
「「「………」」」
藤は何か考えているが、ラオとシェンは少し思うところがあるらしい。多分だけど、大帝国を築いた皇帝か、それよりも古い時代に皇帝は居たんだろう。ただ、その皇帝はもう居ない。
自分達の国に皇帝の血筋が残っていたら……と考えているのかもしれないな。ちなみに大陸の大帝国の皇帝は、今のセキタウ辺りに宮殿があったそうで、墓所もセキタウにあるらしい。
そんな話を聞きながら岡崎城に帰ると、木刀を持って稽古をしている横で酒を飲んでいる2人が居た。呆れてくるが、この2人はこんなものか。放っておこうと思ったら、晴信が明日帰ると言いだした。
「そもそも元々は、強いと聞いた広忠殿に会いに来るフリをした三河の視察だったのです。不老長寿の方々が居らずとも手強い事は分かったので、十分目的は果たしたと言えるでしょう」
「私の方もそろそろ越後に帰るか、近い所までは帰っておかねば。あまり遠い所まで行っておると、姉上に怒られてしまうからな。子供の頃の事を言いだされると、未だに頭が上がらぬ」
「「「………」」」
軒猿3人娘が横を向いて震えている。虎は子供の頃に何かやらかしたのか? 何かそんな気がするな。自分の事を毘沙門天の化身とか言い出す人だし。俺が生きていた時代なら厨二病だと言われて終わる話だな。
「……まあ、その者達は横に置いておくとして、私も明日には美濃か信濃に向けて移動します。ここでお別れという形になりますが、少なくとも不老長寿の方々とは敵対したくありませんね」
「それは、こちらも同じ。あの、男をおかしくする角や、話に聞く短剣とやらを使われたくはありません。しかも広忠殿よりも遥かに強いとなれば、敵対していい相手とは思えない。多数の兵で襲う前に、こちらの武士の首がとられてしまいます」
俺達は戦争に参加したものの、魔法を撃っていただけなので対して仕事をしていない。カニガワの屋敷を維持してくれていたようなので、その費用と相殺という形にしておいた。
西部さんは払おうとしていたんだが、流石にあの程度でもらう訳にはいかない。どうせ藤に結構な褒美を渡さなきゃいけないんだし、「俺達の事は気にしなくていいよ」と言って話を終わらせる。
ちなみに藤達は武具を褒美に貰うのは断った。今さら鉄の武具を貰っても仕方ないというのが理由らしい。気持ちはよく分かるので、西部さんも困ったようだ。
俺達と同じように屋敷でも与えたら? そう言うと藤も乗り気になり、その褒美で十分だと言いだした。金は自分達で幾らでも稼げるからなぁ、自分達では手に入れるのが大変なものを貰った方が価値はある。
藤にとってみれば、室町第ではない自分の屋敷だ。自分の好きに出来る屋敷だと思えば十分な褒美になる。ちなみに屋敷は温泉地か、ツシマかアツタに欲しいそうだ。
褒美の話も終わり、夕食の時間となった。俺達は戦の最中に干し肉やチーズを食べていたが、それでは足りない2匹が騒ぎ始めたんだ。焼き場やテーブルなどを再び作り、さっそく料理を始める。
クレイジーバッファローの肉を少し焼いて食べてみたが、思っているよりも美味しかった。なので、今日はもうバーベキューで終わらせる事にする。土鍋2つで御飯を炊き、その横で肉を焼いていく。
一応野菜たっぷりの味噌汁を作り、残っていたクリムゾンクラブの肉も全て出した。海産物もついでに出すと、さっそくとばかりに酒を飲んでいく。何か、駄目人間の見本を見ている気になってくるんだが……。
御飯が炊けてから食事を始めると、絡まれていた広忠が何とか逃げてきた。大久保と本多が絡んでいたのだが、あいつら酔っ払うと自分の武功をしつこくアピールするように絡むらしい。本当に面倒な奴等だな。
半蔵が無理矢理飲ませてダウンさせてたけど、これを機に少しは家臣らしくなるかね? 何故か武功が無いと舐められると思う奴が多いんだよな。上の者からすれば、実はそこまででもない。
大体は譜代の家臣だったりが居る訳で、武功があれば成り上がれる訳でもなかったりする。だから成り上がった者は有名になりやすい。攻撃する相手としてもだ。醜い嫉妬だなとは思うが、それが戦国の現実でもある。
そういう意味では西部織田家は有利な立場だ。新興の家だからこそ、その辺りは勝手に出来ると言ってもいい。有能な家臣だけを集めたくなる気持ちはよく分かるな。
そいつらも、やがては嫉妬塗れになるけど……。
▽▽▽▽▽
1122終了時点
大白金貨46枚
白金貨219枚
大金貨694枚
金貨596枚
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銀貨598枚
大銅貨1377枚
銅貨469枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の浄化盾
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




