1110
昼食後、話したい事も無くなったのか西部さん達は帰って行った。俺は後片付けの後でダンジョンに行って米をとってくる事を皆に言い、好きに過ごすように伝える。千代女は何故かこのままウチに居る気らしい。
俺は家を出てダンジョンに走って行き、迷宮紋に乗って中に入る。1層は草原だったので無視し、人の流れから東へ行くと転移紋を発見した。2層、3層と移動し、4層に進むと疎らに林があったが、どうやら竹林もあるらしい。
4~6層は南東の転移紋で移動し、7層に到着すると森だった。この辺りだと色々なキノコがとれるらしく、高値で売れる椎茸を巡って争いが起きている。そいつらを無視し、隠密の4つの技と全力の身体強化で椎茸を総取りしていく。
美味しいキノコは他にも沢山あるのだが、乾燥させても美味しいキノコが椎茸以外は分からないんだ。なので【乾燥】を使って椎茸を回収しながら、それが終わったら進んで行く。
7~9層の椎茸を回収したら10層へと進んだが、そこは再びの草原だった。1層と違うのは、ここには麻と葦が大量に生えている事だろう。正直に言って移動し辛い。それでも俺には問題にならない為、さっさと移動する。
10~12層を突破して13層に辿り着くと、やっと沼地であり米があった。殆ど手付かずという事は、おそらくだが麻と葦のコンボでキブアップした奴が大半なんだろう。俺は【念動】で米をどんどん収穫していく。
13層、14層、15層と収穫し、16層に進むと洞窟だった。そこで進む気を失ったので、とっとと帰る。3層分の米が採れたんだから十分だろう。それ以上は必要ない。
外に出た俺はゆっくりと温泉地の家に帰る予定だったのだが、18歳ぐらいの女性が襲われているところに出くわした。助けようかと思っていたら、その女性はあっさりと賊のような奴等を斬り殺してしまい、俺の出る幕は欠片も無かった。
なかなか優秀な人物だと思って素通りしようとしたら、向こうから声を掛けてくるとは……。嫌な予感がするからスルーしたかったんだが、仕方ない。
「申し訳ありません。私は虎と申しますが、この辺りに泊めてもらえる神殿か神社を御存知ありませんか?」
「いやー、申し訳ないけど知らないな。俺は神殿のクズどもが嫌いなんで、神殿には余程の事が無いと近寄らないし、神社はツシマとアツタに大きいのがあるくらいしか分からない」
「そうですか……。もしかして貴方は大陸の方ではありませんか? 確か、大陸の方の屋敷が近くにあると聞いたのですが……」
「泊めろって事ね。……多分だけど君は長尾景虎だろ? 尾張に来てるって聞いてたからな。ウチに泊めてもいいが条件がある。ウチで見た事や聞いた事は、なるべく誰にも話さないでほしい」
「なるべく、で宜しいので?」
「人の口に戸は立てられないのと、言ったところで多分誰も信じないだろう。そういう意味でも、話したところでそこまでの影響は無い。話せば君や越後が困った事になるかもしれない事は考えておいてくれ」
「………いいでしょう。案内していただきましょうか」
何で戦いに赴くみたいになってるんだ? コイツの頭の中では大陸の者の屋敷は伏魔殿か何かか? まあ、素直について来るならいいけどさー。そんな景虎を連れて、俺は温泉地の屋敷へと帰る。
温泉地に着くと景虎は辺りをキョロキョロしているが、俺は真っ直ぐに屋敷へと連れて行く。おかしな奴等に絡まれても困るからな。それと、忍者っぽい奴等が後ろを尾けてきてるし。多分、有名な軒猿だろう。
俺は屋敷に景虎を上げ、皆の下へと連れて行く。部屋の戸を開けると、凄い酒の臭いが漏れ出てきた。また昼間から酒を飲んでいたらしい。懲りない連中だな、まったく。
俺はさっさと部屋を【浄化】し、皆に神水を飲ませる。
「あー、一気に酒精が抜けていくねぇ……。ありがとう、アルド。ところで、その女は誰だい?」
「この女性の名は長尾景虎。昼までに話してた越後の白衆筆頭の当主だ。尾張に居るって聞いてたろ? おかしな連中に襲われていたが、自分の力で斬り捨てていたよ。泊まる所が無いんだとさ」
「ふーん……ところで人の家の下に潜り込んでいる無粋な奴等はなんですか? 殺していいなら、さっさと殺しますけど?」
シュラがそう言って殺気を放った瞬間、ドタドタという音がして慌てて逃げていった。3人居た軒猿と思わしき奴等を【念動】で止め、俺は家の表へと出る。潜んでいた3人に家に上がるように言い、先ほど居た部屋に連れて行く。
「申し訳ございませぬ。まさか我等の隠形がこうも簡単に見破られるとは思わず……」
「構わぬ。大陸の方は凄腕の者達だと越後でも噂があった。ただ、本物はそれ以上であっただけよ。申し訳ない、この者達は私の身を守る者で<軒猿>と申します。不躾な事をした事、謝罪させていただきます」
そう言って景虎は頭を下げたので、俺達はそれを受け取った。この程度ならいちいち目くじらを立てるほどでもない。それよりも、酔っ払っていた筈の藤が鋭い目をしているのが印象的だ。お前さん、元の世界じゃ謙信を評価してたろうに。
「家出をしてきたとか聞いたが、それは本心ではあるまい。そなた、いったい何が目的だ? 事と次第によっては容赦をせぬぞ」
「「「!?」」」
軒猿の3人娘が景虎の前に出て守ろうとするが、景虎はこれを制して頭を下げてから話を始める。
「流石は足利家の姫様……いえ、足利義藤様と申すべきでしょうか? 私は周囲には出奔したフリをしてきましたが、嫁いだ姉には事実を話しております。越後の者は好き勝手にする者が多く、また己の力を過信しておる者が多いのです」
「ふむ……つまり、そなたが居らねば越後は守れん。それを身に沁みて教えようという事か。まあ、そなたは戦に強いと聞くし、分からぬではない。だが、戻れなくなったらどうする?」
「それなら、それで構いませぬ。そもそも私は当主の座を継ぐべき者ではありませぬ故に。長兄が亡くなり、次兄は力が無く流されるのみ。また、父上が紅衆の上杉様を自害に追い込んだ事で越後内はガタガタ。ここまでせねば纏まらぬのです」
そう言えば、そんな事もあったなぁ。確か山内上杉だっけ? ……いや、それは兄の方か。という事は、普通に越後上杉家だな。
あんまり記憶に無いが、この世界では違うのだろうか? それよりも関東管領職が存在するのか疑問がある。この世界では関東に平氏も源氏も居るし、足利って元々源氏の家臣だし。
「関東管領か? おるぞ、名ばかりの管領が。関東の足利が古河城の辺りで睨みを利かせておる筈だが、確か関東管領は河越城辺りにおったと思う。まあ、関東の足利が睨んでおっても、誰も気に掛けまいがな」
景虎も軒猿3人娘も何も言えないようだ。足利の力なんて最早その程度、それは藤が1番よく分かっているだろう。だから笑い話のように言うのだが、周りはどうリアクションしていいか困っている。
上の人が茶化しても、下の者は茶化せない事はよくあるからな。何が地雷か分からないし。
それよりも、そろそろ夕方だから料理しないといけない。メルとフォル、それにカサーラとメトムを連れて台所へと行く。今日は野菜の味噌汁とシルバーチキンの唐揚げ、そして御飯だ。さっさと作ろう。
何故か全員が台所に来たが、俺達は気にせず料理をしよう。乾燥しておいた椎茸を出し寸胴鍋に神水を入れたら、【浸透】で神水を吸収させ【抽出】で椎茸の旨味を全て出す。その後、一旦引き上げて椎茸をスライスさせて寸胴鍋に戻させる。後は野菜と煮込むだけだ。
唐揚げは香辛料を振って馴染ませたら、竜の脂で揚げるだけ。シンプルながら暴力的な香りが辺りに広がる。俺は神石の土鍋で御飯を炊いているのだが、2つで16合炊くのが限界だ。前が炊きすぎだったとも言える。でもさ、全部食べる奴が居るんだよ。足元に。
久しぶりの唐揚げと御飯に待ちきれないのか、足元でプルプルしてるし「ニャーニャー」言ってる。急かしても早くはならないって言ってるんだから、飲兵衛どものところでツマミでも貰って食べてなさい。
そう、アイツ等また飲んでるんだよ。
▽▽▽▽▽
1110終了時点
大白金貨44枚
白金貨208枚
大金貨598枚
金貨457枚
大銀貨431枚
銀貨463枚
大銅貨1181枚
銅貨408枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の浄化盾
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




