1105
ダンジョンの外へと出てきたが、まだ夕方にもならない時間だった。京のダンジョンを攻略したのは2回目だが、やはり1回目と違って相当難易度は落ちている。1度目が厭らし過ぎる気はするが、今回はボスが変な難易度だっただけだ。
落ちたら死亡というゲームみたいな場所だったが、それ以外はヤマタノオロチより楽だったと言えるだろう。攻略すれば難易度が下がるというのは間違いのない事だ。それはヤシマの国でも変わらない。
俺達は平氏の屋敷に戻り、少し早いが台所を借りて夕食作りを始める。今日の夕食はうどんだ。小麦粉と塩と神水を渡し、メルとフォルに練ってもらい麺を作ってもらう。その間に俺はシルバーチキンの骨から出汁をとる。
神石の寸胴鍋に神水を入れて、そこに骨から出汁を【抽出】するのだが臭味が全くと言っていい程に出ないな。神石か神水か、どちらの作用か分からないが、とんでもないとしか言い様がない。
十分に出汁が出たら野菜とかす肉を投入して少々煮込んでおく。麺の生地が出来たので、【変形】と【分離】を使って麺にする。後は鍋で麺を茹で、椀にスープを入れたら茹で上がった麺を投入して完成だ。
どんどんと作りさっさと食べて行ってもらう。台所の人達にも食べてもらっていると、匂いに気が付いたのか清常さんが来た。どうやら今帰ってきたばかりらしい。清常さんにもうどんを出して食べてもらっていると、突然話し出した。
「今日は昼から都の見回りをしていたのだがな、途中であの男が殺されている現場に出くわした。おかげで、何とも言えなくなってしまったな。そなたが怖い角を刺した奴な、男を襲って返り討ちに遭い切り殺されたのだ」
「あー……誰かを襲うかも? とは思ってましたが、そっちの奴だったんですね。いや、性欲が解消出来ればどっちでも良かったんでしょう。そもそも襲ったとしても股間に血が集まり過ぎていて、満足に動く事も出来ない筈ですし」
「もしかしたら家人はとっくに襲われていたかもしれんし、返り討ちに遭った後だったのかもしれん。それに、アレは細川家の者だ。こちらが関わると面倒事に巻き込まれる。放っておくのが1番よ。いい気味だがな」
「細川家って京の都に屋敷を持ってないんですか? 管領が出来るって事はそれなりの家なんでしょう? その割には将軍の近くに居ますし、今は逃亡して近江だ。自分の屋敷には帰らないんですかね?」
「細川の屋敷は京の都にあるものの、管領はそれを使わん。理由は、あの屋敷だと暗殺される可能性が高いからだ。管領はそこかしこで怨まれておる。誰かの近くでないと暗殺される可能性が高いのだ」
「それって将軍を盾にして暗殺を防いでいたって事かい? とんでもない男だね。アタシ等の国で言えば、暗殺されそうだから王を盾にするようなものだろ? 何でそんな奴が生きているのやら」
「細川京兆の力は強いのだ。それに色々なところに血縁があり、誰が味方をするか分からん。故に好き勝手をし続けた。ああ、コウカの三雲が暗殺を請け負ったりしていたのもあるがな」
「という事は、将軍という盾も、三雲という武器も失ったということですか。そのうえ三好とかいう復讐者に追いやられたと……」
「まあな。特に三好は細川の家臣だ。奴は細川の家を割ったと言ってもいい。少なくとも細川京兆の力は大きく減ったはずだ。そのうえ、三好が元の鞘に納まる事は無い。何と言っても父親の仇だからな」
「親の仇は許せないわよね。それこそ怨みと憎しみの相手だもの。手心を加える事も無いでしょうから、管領とかいうのは逃げ回るしかないでしょう。自業自得なんだから、誰も同情しないと思うけど」
「でも尾張の方に助けを求められると厄介だね。……いや、そうでもないのかな? 気付いたら管領とかいう奴は地面の下に粉になって埋まってるだろうし、特に問題無い気はするね」
「そうなる前に始末しそうな気はするが……どうなのだろうな? 尾張で死ぬと迷惑が掛かると言って、行く前に始末しかねないと私は思う」
「でも実際、尾張に来たら邪魔じゃない? その前に、特に美濃だっけ? そこで死んでくれると都合が良いよね。マムシさんに何とかしてもらえばいいし、僕達や尾張の人達が悩む必要なんて無いしね」
「お主等……滅茶苦茶な事を言っておるな。まあ、おそらくは可能なのだろうが、あんまり褒められた事ではないぞ? 暗殺など、すればするほど信用を失うからな」
「それは分かっていますよ。だからこそ、御主人様は反撃という形でしかされないのです。手を出してこない相手には何もしない。ですが、細川とかいう家の者が手を出してきたのでしょう?」
「まあ、それはそうだがな。だが、管領が指示したという証拠が無い。それが無い以上は言い掛かりになるぞ? ……そんな事をする奴は沢山居るがな」
「元々アルドがお金を沢山持ってるから手を出してきたんだろ? だったら管領とかいう奴も、同じ事で手を出してきそうだけどね。金寄越せって」
「それだけ聞くと、まるで蛮族だな……。いや、他国の者から見ればそんなものか。まあ、反撃ならば文句は少ない筈だ。それでも家の位が高いほど文句は言って来るし、暗殺者を嗾けてくるが……お主等なら問題あるまい」
夕食時にする話じゃなかったが、そんな話をしながらの食事は終わり、後片付けをして部屋へと戻る。布団を敷いていると、ダリアとフヨウがさっさと横になり目を瞑った。眠たいのかと思ったら、そうではない様だ。
どうやらパンパンではないものの、割とお腹が苦しいらしい。鶏の出汁が良く出てたから美味しかったんだろうが、スープがキツかったんだろう。結構飲んでたし。お腹が厳しくても仕方ない。
ゆっくりと過ごしながら京の都のダンジョンも攻略したし、この後どうするかを話し合う。……いつも通りヤるって、そういう事を聞いてるんじゃないよ。いや、分かってて言ってるんだろうけどさ。
「アハハハハ、ゴメン、ゴメン。でもさ、正直言って京で出来る事って特に無いんだよね。ダラダラするかダンジョンに行くかぐらいで、治安が悪いから出歩くと絡まれるだろうし。いちいち面倒臭いからダンジョン以外は行く気にならないね」
「まあ、そうですね。ヤシマの国は都の治安が悪いという珍しい国なんですよ。尾張ならまだブラブラ町を見て回っても良いんですけど、ここ京だとそれも難しいですしね」
「女性とみるや直ぐに絡んでくる者はどこにでも居るけれど、ここの場合は賊が普通に居るのよね。尾張だとそこまでじゃなくて、ガラの悪い傭兵程度で済むんだけど……」
「いきなり襲われた事は無いけど、それは私達が警戒しているからだしね。ここは入り組んだ街だから、そこかしこに影となる場所がある。連れ込まれて殺された者がどれだけ居たのやら」
「更に壁が壊れて中に入れるようになっていたりするしな。どこのボロ家が盗賊の拠点か分からないぐらいだ。荒廃した都というものが、ここまで面倒なものだとは。いっそ人の住んでない家は全て壊せばいいものを……」
結局ウダウダと愚痴を零したり、話がアッチに飛んで帰ってこなくなったりして、話し合いは何の実りも無く終わった。ダリアとフヨウが寝た事によって連れて行かれたからだ。
全員をキメて寝かせた後、銅鏡を取り出して邪気を吸引し【浄化】する。昨日も吸い込んだのに、それなりに吸い込むのは仕方ないんだろうか? 荒れている京の都だし、今が1番悪い時なんだから頑張ってほしい。
部屋と体を綺麗に【浄化】した後で藤達を確認してみると、どうやらもう眠っている。まだ2日とも言えるが、やる事も無くなったし、そろそろ何がしかの結論を出してほしいもんだ。
無意味にダラダラしたくないし、それをするとむしろ疲れるんだよ。何と言ってもやる事が無くて、逆にストレスが溜まる。……考えていてもストレスが溜まるだけか、さっさと寝よう。
今日も一日お疲れ様でした。
▽▽▽▽▽
1105終了時点
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銅貨408枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の浄化盾
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




