1102
どうやら門番が連れてきたのは、前にも取り次ぎなんかでお世話になった細川貴晴さんだった。何だか疲れたような顔をしているが、それは俺達が来たからじゃないだろう。おそらくは管領の所為だと思うが。
「姫、お帰りなさいませ。他国の見聞、お疲れ様でございます。上様が姫様から直ぐに話をお聞きしたいと申されておりますので、案内させて頂きます」
「うむ、すまんな。とはいえ、私は帰国の挨拶をしに来ただけなのだが、やはり父上も他国の事はお聞きになりたいのだな。仕方ない……そなた等はどうするのだ?」
「俺達はいつも通り、平氏の屋敷に厄介になるよ。たぶん清常さんも怒らないだろうし、土産を渡すから問題無いと思う」
「そうか。そなた等の事だから尾張に行くのだろうが、その際には私も行くので、すまぬが待っていてくれ。それまでは京のダンジョンでも攻略して暇を潰していてほしい」
「了解。まあ、ゆっくり待ってるけど、ある程度は早めにしてくれ。近江に逃亡したって人物が、また京に攻めて来るかもしれん。俺達は戦に関わる気は無いからな」
「分かった。その線で父上には話しておこう」
そう会話して分かれた俺達は、一路平氏の屋敷へと歩いて行く。久しぶりに小学校レベルの平氏の屋敷を見ると、本当にデカイのがよく分かる。初めて見たリューとエリアも驚くくらいだからな。これが平家の面目なんだぜ?。
見ると、維持するのにどれだけ大変かがよく分かる。見栄だけでこんなデカイ家を維持しなきゃいけないんだから、名門も大変だ。玄関から声をかけると家人が出てきたので、清常さんが居るか聞くと家に居るらしい。
外国人のアルドゥラムが来たと伝えてくれと言うと、困惑しながらも中に入っていった。前回の家人じゃないから知らないのかな? そう思っていたら、慌てた清常さんが玄関まで走ってきた。
「そなた等、久しぶりだな! 大陸に帰ると言っておったが再びヤシマに来ておったとは。早くあがれ、そなた等であれば泊まっていっても何の問題も無い!」
屋敷に入れてもらった俺達は、屋敷の一室に案内された。清常さんが言うには、本国に居る当主である兄から、外国人の俺達の接待を上手くやった事を褒める文があったらしい。外国との繋がりがあるというのは、見栄として十分なようだ。
つまり、「流石、平氏!」となるんだとさ。だから本国の兄も重臣も気分が良いらしく、京の都に居る自分への風当たりは弱くなったので喜んでいるみたいだ。気持ちは分かるが、そんなに五月蝿かったのか。
「ゴホンッ! ……まあ、色々あるのだ。平氏というのは名門だからな。古き時より我が家に従う者もおるし、その中にも名門はおる。そういった者ほどいちいち五月蝿いのだ。何もせん癖にな」
「クソ貴族みたいな奴等だねぇ。武士ってそもそも戦う為の者だろう? なんでクソ貴族みたいな者がいるのやら。偉そうに言う奴を戦いに出せばいいだろうに、偉そうに言いたければ功を上げろってね」
「それがな、外国のそなた等には分からぬかもしれぬが、祖先の功だけで威張り散らす者がおるのだよ。己には何も功が無い癖に……いや、無いからこそ、必死に祖先の功を振りかざすのだ」
「本当にクソ貴族そっくりですね。何も無いという事は評価も無いという事。言うなれば、戦いの場にすら立てていないという事です。恥も知らないのでしょうね、そういう奴等は」
「まあ、鼻つまみ者ではあるのだが、こういう奴は色々な所と関わりがあったり、神殿と懇意にしておって面倒なのだ。神殿を使って嫌がらせなどをしてくるからな。それも味方に対して」
「あら~、そんなの首を落とした方が早いでしょうに。何でしないのかしら? 早くしないとそれだけ足を引っ張られ続けるわ」
「そこまで強権を使うと、きっと反乱を起こすんじゃないかな? 馬鹿どもなんて所詮その程度だからね。私なら周到に準備してから反乱させて潰すけど、ヤシマの国ではそこまでしないんだろう」
「だからこそ馬鹿が甘ったれるのだと思うが、私の気のせいか?」
「………」
清常さんも色々思うところはあるらしい。味方に足を引っ張られ続けて上手くいかない。そんな事はよくあるけど、そういう奴は毎回潰していかないと他の奴のやる気を削ぐ。それに信用や信頼も失ってしまう。
まともな奴が離れかねないし、真面目な奴こそ我慢出来ずに裏切るかもしれない。碌でもない奴は極力排除しないと、どんな組織でも上手くいかなくなる。真面目に生きている奴の為にも、ゴミは切り捨てないとな。
清常さんの部屋を辞した俺達は、台所に行き昼食を作る。サーサを炊きながら今日は何にするかなと考えていたが、妙案が浮かばなかったので肉巻きおにぎりにしよう。鰐の肉はまだあるし、そろそろ使ってしまうか。
昼からはダンジョンに行って、とりあえず肉を確保してこよう。そう思いながら、薄切りにした肉を魚醤や甜菜糖に灰持酒を混ぜた調味液をかけながら焼く。終わったら、冷凍野菜のすまし汁を作ると、丁度ごはんが炊けた。
【念動】で肉巻きおにぎりを作るのだが、皿に置いたら直ぐに食べるの止めてくれませんか? 一向に増えなくて、あっと言う間に皿から無くなるんですけど? 顔を逸らすな。
結局、残ったのはおにぎり2つだけだったが仕方ない。ダンジョンに行く前に色々な物を買い足しておかないと、料理の幅が狭すぎてどうにもならないな。
皆を残して平氏の屋敷を出た俺は、京の都にある店に寄って買い物をする。米味噌を大銀貨1枚分、野菜を銀貨3枚分、更に濁酒を大銀貨2枚分買い、ダンジョンの方へと向かう。
随分賑わってはいるが、京の都の中なのでダンジョン街にはなっていない。周りに茶屋みたいな建物などがあって、ちょっと面白い事になっている。そんな中を歩いて行き、迷宮紋へと入った。……いつまで尾行する気だ?。
1層は草原だったので、人が歩いている方向である北へと走っていく。後ろの脱出紋から尾行していた奴が現れたが、俺が走っているからか慌てて追いかけてきた。怪しすぎてバレバレじゃないか。ちょっとは隠せよ。
素早く転移紋から2層へ、そして3層、4層と移動した。5層は疎らな森だったが、素早く北方向へと走って行く。おそらくは北東か北西だと思うんだが………あった、北西だ。
5層~8層を突破し、9層へと来たが、今度は海だった。海産物を【水魔法】を使ってゲットしたら冷凍して始末し、アイテムバッグに収納していく。その後西へと進み、転移紋で先へと進む。
9層~12層まで進み、次の13層へと移動すると、今度は山だ。ようやくスマッシュボーアやオークが出て来たので肉が手に入る。とはいえ、まだまだ先へと進めるので無視して先へと進もう。
13層~16層を突破すると、次の17層は洞窟だったので全力で駆け抜ける事に決めた。17層~20層まで突破し、21層に着くと何と雪山だった。ふざけてるのかと思いながらも熊のきぐるみを着込み、早速狩りを始める。
ホワイトオークやスノーベアはともかく、まさかのシルバーチキンとグレイトシープが居るとは思わなかった。王角竜のハサミを使って羊の毛狩りだ!! 新しい布団を作るにも要るんだから寄越せ!!
シルバーチキンをぶっ殺して肉と卵を確保し、グレイトシープは首を落とした後で毛を刈って肉を手に入れる。ホワイトオークやスノーベアは適当に倒し、テンションの高いまま暴れ回った。
正気に戻った時にマズいと思い、慌てて脱出紋に乗り外へと出ると夕方だった。迷宮紋から少し離れた後、熊のきぐるみを脱いでいると変な奴が騒ぎ始めたぞ?。
「あの男だ! あの男は許可も取らずに勝手に穢門に入って行ったのだ、間違い無い!! 皆の者、捕らえろ!!」
俺が騒いでる奴を見ると、そいつはニヤリと笑い俺を見下すような顔をしていた。……ん? アイツ俺の尾行をしていた奴じゃないか。俺は素早く【白痴】を使って嘘を吐けなくしてから話しかける。
「お前は俺を尾行してた奴じゃないか、急に騒いでどうした? 追いかけても追いつけなかった様だが、足が遅いと頭もおかしいのか?」
「何だと貴様!! 私を管領である細川様の家臣と知らんのか! これだからヤシマの外の野蛮人は困るわ。貴様の様な野蛮人の勝手など許さぬ! 周りの者ども、さっさと捕まえよ!!」
「自分でやれよ、馬鹿が。それに俺は、ヤシマの国の全ての穢門に入る許可を帝より賜っているんだが……お前みたいな下っ端は、そんな事も知らないのか? この紙に書いてあるだろう? 何人も妨げることを認めず……とな」
「き、貴様が勝手に作った偽の書状など知った事ではない!! さっさと捕「待て!!」まえ……」
急に止めた人物がいるんだが、その人物は「またか」と呆れている。
清常さん、俺から絡んだ訳じゃないんだけど?。
▽▽▽▽▽
1102終了時点
大白金貨44枚
白金貨208枚
大金貨598枚
金貨458枚
大銀貨431枚
銀貨465枚
大銅貨1192枚
銅貨408枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の浄化盾
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




