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0109




 「ただいま。悪いんだけど、今から王城に行けるかい?」


 「酒作りは終わってるから問題ないな」


 「私も問題ありません」


 「では行きましょう。馬車が来ています」



 宿の表に馬車が来ていたので乗ると、前回と同じくライブルが居た。前回よりも危険な呪いなので、再び近衛の訓練場に行くそうだ。正直どこでも良いので、さっさと終わらせたい。


 訓練場に到着した馬車から降りると、前回と違い神殿の関係者は居なかった。面倒が多少減ったか……変わりに鬱陶しそうなオッサンどもがいるな。結局、変わらないのかよ。



 「呪物はどこに出せば良いんだ?」


 「それならば、この台の上にお願いしたい」


 「了解」



 俺は16層で手に入れた呪剣と呪斧を台の上に出して退がる。猛烈な呪いが、周りのオッサンどもに冷や汗を掻かせている。このまま放っておいて帰るのも良いな。



 「何をしておるか下民! さっさと浄化せんか!」


 「何言ってんだ、アイツ?」


 「申し訳ない。先程声を上げたのは内務卿だ」


 「呪いに何の関係も無い奴が来て、喚き散らしてんの? ……あんなのを何で呼んだんだ?」


 「いえ、この場には誰も呼んでいません。危険な呪いでもありますから」


 「つまり、呼ばれてもいないのに勝手に来て喚いてるって事? この国は大丈夫か? 軍務といい兵務といい、そして今回の内務。国が滅ぶ前兆のような気がするんだが?」


 「そのような事は……」


 「無いって言い切れるのか? あんなアホが居るのに? 貴族なのに呼ばれてもいない所へしゃしゃり出てくる、そういう恥を既に晒してるんだぞ?」


 「キッサマーッ! そこへ直れ! ワシが直々「黙れゴミ」に……」



 俺は毎回ゴミに威圧をさせられてるなぁ……。どうしてこう、面倒臭い連中は呼ばれてもいないのに絡んでくるんだ。いつものコンボで失禁という大恥を晒しているが、どうでもいい。



 「……で、どうするんだ?」


 「どうするとは? どういう事ですかな?」


 「あのなー。俺は浄化するとは一言も言ってないぞ? 取ってくる仕事は請けたが、浄化する仕事は請けてない」


 「えっ!? 浄化してもらえないのですか?」


 「だからー。俺が浄化するのなら、ちゃんとそれを仕事として依頼しなきゃ駄目だろう? タダ働きする傭兵なんて居ないぞ?」


 「ああ、確かに。では、呪物の浄化を依頼しますので、お願いします」


 「了解」



 俺は台の上にある2つの呪物に対して【神聖八重浄化】を使いながら、同時に【浄化】の権能で綺麗にしていく。今回は4分程で終了したが、早速学者が検分を始めた。



 「殿下! こちらの剣は魔鉄ですが、こちらの斧はマナリア製と思われます!」


 「まあ! またマナリアですか!? それは凄い!」


 「惜しいですな。斧ではなく、剣であれば……。陛下が持たれても、王太子殿下が持たれても、良くお似合いだったのですが」


 「仕方がありません。何で出来ているかは、浄化されるまで分からないのですから」



 そろそろ威圧を解除するか。アホは何を言ってくれるのかね? いつものパターンか、それとも……。



 「………」


 「卿? 大丈夫ですかな?」


 「ふんっ! 問題は無い。下民めが、覚えておれよ」


 「お前が覚えておけ。何故負け犬の顔をいちいち覚えておく必要があるんだ?」


 「キサマ! ……まぁ、いい。暗殺者に怯えながら生きていけ」


 「暗殺者? <死神の手>とかいう奴等か? そいつらなら皆殺しにしたぞ」


 「「「「は!?」」」」


 「皆殺しにした。と言ったんだが?」


 「何を愚かな事を。こやつは頭が狂っておるらしい」


 「いや、事実だ。近衛でも確認している。<死神の手>が壊滅している事は、近衛騎士団長ライブルが保障する」


 「「「「!?」」」」



 何かアホどもが急に去っていったな。<死神の手>が壊滅してると何かあるのか? 脅されたりしてたのか、それとも共犯だったのかもしれない。そういえばアイツ等、王城の見取り図を持ってたな。



 「一体どうしたのでしょう?」


 「貴族の中には、<死神の手>に脅されておった者もおりますので」


 「あの内務卿のオッサンは、そんな感じには見えなかったが……」


 「良くも悪くも<死神の手>を利用していた者もいるのだ。その者の場合は、これから報復をされるだろう」


 「成る程。暗殺組織を使って下らん事をしていたなら、当然の報いだな」


 「内務卿が、そのような事を……」


 「貴族の多くは知っておりますが、口には出せなかった事で御座います」


 「暗殺されてでも糾弾する。という気概を持つ奴なんて殆ど居ないさ」


 「嘆かわしい事です……」


 「それは違う。貴族だって家族は居るんだ。自分は良くても、家族を人質に取られたら屈しても仕方がない」


 「家族を犠牲にしろとは誰も言えないさ。そんな事を言う奴が居たら、そいつの方が問題だよ」


 「そうですね。他人に言う前に、まず自分の家族を犠牲にしてから言うべきです」


 「だからこそ、誰も言えなかったという事です。そこは考慮してあげるべきでしょう」


 「そう……ですね。命を懸けるのは難しい事。ましてや家族の命となれば、自分が決めていい事ではありませんね」


 「妹も良く学んでいるようで、何よりだ」



 何かキラキラしたイケメンが来た。間違いなく王太子なんだろうけど、面倒臭そうだな。そういえば王太子以外に、男の子供って1人しか居ないんだっけ?。


 女の子は3人居るのに、男は2人か……。人数的にギリギリだなぁ。普通は3人か4人だろう、それぐらい居ないと病気でバタバタ死んだら終わりだからな。



 「ところで君が呪物を浄化してくれたのか?」


 「いえ、私ではありません」


 「では、君か?」


 「ああ、俺だな。浄化したのは俺だが、取りに行ったのは皆で行った」


 「成る程、君は実力が有るんだな。迷宮の16層と言うのは、国を挙げての事だったと聞いているが」


 「そもそもの話、国の軍隊は他国の軍と戦う為にある。魔物と戦うのは傭兵の役目だ」


 「つまり、働く場所が違うという事か……」


 「まぁな。対人専門の軍と対魔物専門の傭兵。どっちが上とかじゃなく、経験と知識の違いだ」


 「確かに。軍に魔物討伐をさせても捗らぬし、傭兵に戦争をさせるなど以ての外だ」


 「そういう事」


 「ところで君が妹の武器を作ったのかな?」


 「本当に聞きたかったのはソレか。……俺が作った事に間違いは無いな」


 「そう警戒しないでくれ。私にも作って欲しいだけだ」


 「正直断りたいんだがな……絶対に面倒な奴等が嘴突っ込んでくるだろ? その時点で既にマイナスだ。報酬以上に損をするのが分かり切っている」


 「あの、私からもお願いします」


 「私からも、お願い致します」


 「むーん………鬱陶しいのをそっちで止めてくれるなら、作っても良いんだが……」


 「キサマッ! 先程から聞いておれば、何様のつもりだ!」


 「ハイ終わり。この話は無かった事にしてもらおう」



 横に居たオッサンが誰かは知らんが、俺はさっさとその場を離れた。面倒な事に関わる気も無いし、そもそも作る気が殆ど無いんだから、ナイスアシストとしか言えない。


 馬車に乗る気も無かったので、歩いて帰る事にする。3人も直ぐに俺の意図を理解して後ろをついてきてるし、ダリアとカエデは先導するように前に居る。


 後ろで揉めてるっぽいが知った事じゃない。アホの相手ばっかりでウンザリする。そもそも傭兵って自由民なんだよな。つまりは貴族とかの命令って、聞く必要が全く無いんだよ。


 後ろ盾が傭兵ギルドのみになるが、代わりに自由が手に入る。それが元々の傭兵なんだという事を、忘れてるのか無視してるのか。


 まぁ、貴族なんぞどうでもいいし、さっさと帰るか。



 ▽▽▽▽▽


 0109終了時点


 大白金貨1枚

 白金貨2枚

 大金貨10枚

 金貨46枚

 大銀貨32枚

 銀貨14枚

 大銅貨86枚

 銅貨5枚


 ヒヒイロカネの矛

 アダマンタイトの小烏丸

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 オリハルコンの短剣

 アダマンタイトのメイス

 マナリアの鎖鎌

 風鹿の角の十手

 二角の角の戦斧

 二角の革の帽子

 剣熊と銅亀の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 剣熊の革の指貫グローブ

 剣熊の革の剣帯

 剣熊の骨の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 剣熊と銅亀のブーツ

 大型のアイテムバッグ


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