0108
黒いオークも黒いゴブリンと同じく、解体して収納する。どちらも内臓から筋肉や骨に至るまで、全て真っ黒だった。烏骨鶏じゃないんだからさ、真っ黒は目立ち過ぎるんだよ。
流石にこの2体は解体所で出せない。何かに使うか【粉砕】して捨てるか、宿に帰ってから考えよう。鎖鎌だが、高品質のマナリアで出来ていて俺の物になった。
3人とも使いたくないそうで、面倒な武器は嫌だとハッキリ言っていた。……面倒だろうが、そこまで使い難い訳ではないと思う。とりあえず使ってみよう。
転移紋に乗り19層へと進む。光が止むと目の前は沼地だった。……急に難易度が上がったな。とにかく進み難いが【探知】と【空間把握】で調べていこう。
「歩き難いねぇ……。それにしても、まさか迷宮に沼地があるなんて……」
「そうですが、そもそもここは19層ですから、仕方がないでしょう」
「そういえば迷宮の最高攻略を達成したのよね? 実感が無いけれど」
「まぁ、秘匿するから最高攻略とか意味が無いけど」
「黙ってるのかい?」
「絶対に面倒な事になるだろ?」
「絶対になるわね。私は嫌だわ、面倒な事」
「アタシだって嫌さ。勿体ない気はするけど、面倒事が無いならそっちの方が良いよ」
そんな話しをしていると、カエル系の魔物が複数居るのを感知した。泥水の下なので非常に分かり辛いうえ、息を潜めている。1匹1匹どこに居るのか説明するのは面倒だな。
【土弾】を使って泥の中から叩き出す事にする。居る場所は分かっているので、ピンポイントに攻撃してカエルを泥から出しては始末していく。全て倒して【浄炎】で燃やしておいた。
調べながら移動していると、今度はトカゲが多く居る場所にきた。こいつ等も叩き出して処理し先へと進む。北東の方に転移紋を発見したので20層へと進んだ。
20層は1頭の魔物以外に何も無いし、何も居なかった。地形は草原で、トリケラトプスによく似た魔物が、遠くからこちらを見て警戒しているだけだ。体高は5メートル程ある。
あれって、もしかして……。
「竜だ! あれは王角竜だよ!」
「何故迷宮に竜が……」
「竜の攻撃を受け止めるのは無理ね……」
「そんな事より、来るぞ!!」
「グルルゥゥアアアーーーッ!!!」
流石に突進をされるとマズいので、持っていた鎖鎌の分銅で攻撃する。あっさり弾かれるものの、警戒したのか止まった。俺は鎖鎌とナイフと十手しか持ってない。どうしよう……?。
武器を取り出す前に鎖鎌を有効活用するか。再び突進しようとしてる竜の足に、鎖を絡ませる為に投げつけると簡単に絡んだ。鎖を無視して突進してくるのを回避したが、速い!。
思っていたより遥かに速く、3人も手が出せない様だ。俺がターゲットになってるので大丈夫だが、3人に向ける訳にはいかない。俺はアイテムバッグからメイスを取り出し構える。
相手の突進に合わせて頭を殴るも碌に効いていない。浄化が効いてないので迷宮の魔物かどうかすら分からないが、とにかく何とかしないと、このままじゃ殺されかねないぞ。
再び突進してきたので、武器強化と【怪力無双】を使って全力で頭をぶん殴る!。
「グルルルルォーーーッ!!!」
「ウォォラァーーーーッ!!!!」
形容し難い爆音が響いた後、腕がもげそうなぐらいの勢いで吹き飛ばされた。地面に叩きつけられた後に、激痛にのたうち回る羽目になったが無事に倒せた様だ。
竜を見ると頭が陥没していて、脳が潰れて目玉が飛び出している。あまりの凄惨な死体に何とも言えなくなってしまった。それにしても、竜って強すぎない?。
これだけ強ければ、もっと繁栄している筈だが? 【怪力無双】を使ってやっとのレベルって、尋常じゃない。
おぉぅ……今気付いたがメイスが凄い事になっている。今の内に直しとこう。
アダマンタイトがひしゃげて潰れる威力でやっと勝てるとか、絶対オカシイって。とりあえず浄化と解体をして収納しとくけど、いったい何に使おうかな? 困った……。
「アレ、普通の王角竜じゃなかったね? 凄く大きかったし」
「ですね。異常な強さでしたよ?」
「私は竜を見た事が無いから分からないわ」
「俺も初めてだから、あれが普通なのかと思った」
「あんなのが普通なら、1頭で国が滅ぼされるよ!」
「普通の竜すら、軍が戦うレベルなんです。先程の王角竜だと、軍が蹴散らされるレベルです」
「成る程なー。俺だって、竜って強過ぎるって思ったしなぁ」
「強過ぎるって……アレを一撃で倒したじゃないか」
「倒すのに使ったのは【闘気術】の奥義、【怪力無双】なんだよ?」
「あれは奥義を使ったら出来る事なんですか? そもそも私達には出来そうにないんですが」
「出来るよ。【闘気術】の奥義だから、かなりの修行が要るけどね」
「先は険しく、長そうね……」
「入ってきた転移紋しか無いって事は、この迷宮はここで終わりか?」
「迷宮は深くなったり、浅くなったりするからねぇ」
「今はここが最奥だと考えればいいんですよ」
「そういうものなのか」
「そういうものです」
脱出紋で迷宮を出ると、もう夜になっている。慌てて王都の入り口に行くと、まだ入る事が出来たので助かった。食堂はまだ営業していたので、大銅貨6枚を支払い夕食にする。
食後、部屋に戻って装備を外して浄化し、やっと落ち着く事ができた。3人も直ぐに酒を飲み始めて、2匹も酒を舐め始める。酒が結構減ってきたらしく、明日は酒作りになりそうだ。
2匹は疲れていたのか、酒もそこそこに寝てしまった。3人は昨日無かったので猛然と襲い掛かってきたが、【房中術】と【鋭覚】で返り討ちにしておく。
全て浄化して俺も休もう。今日も1日お疲れ様でした。
<異世界59日目>
おはようございます。今日は呪物を渡しに行くのと酒作りの日です。どっちも早くに終わってくれれば良いんだけど、どうなることやら。とにかく起きて浄化するか。
【浄化】も昨日の色々な経験の御蔭で成長できた。何と言っても強力な浄化の感覚は掴めたので、これである程度は自在に使える。すると、浄化に反応したのか2匹が起きてきた。
「おはよう。ダリア、カエデ」
「ニャーン」 「グルゥ」
2匹を撫でたりハグしたりとしていると、マッタリし始めた。いつもと違い、俺の近くでゆったりと寛いでいる。何か反応が違うな? 別に悪くは無いが、落ち着いているのは珍しい。
「「「チュッ! おはよう。アルド、ダリア、カエデ」」」
「おはよう、3人とも」 「ニャ!」 「ガゥ!」
「今日は呪物を届けたいんだが、王城に直接行って大丈夫か?」
「無理だろうね。まずはあの子に話を通せばいいよ」
「私も行きましょう。代わりと言っては何ですが、お酒をお願いします」
「どうせ酒作りはするつもりだったから特に問題は無いよ」
「私もお酒の買い物について行くわ」
浄化した後、食堂に行き銀貨1枚を支払って大銅貨14枚を受け取る。朝食を済ませたら、メルと一緒に食料店に買出しに行く。王都の食料店は流石に品揃えが豊富だった。
シードルを作るのに必要な、リンゴにそっくりなアルダもまだあったので購入する。ミードの為のハチミツも購入し、エールやワインを買って帰る。全部で大銀貨2枚支払った。
ついでに大銀貨1枚を銀貨5枚にしてもらい、銀貨3枚を大銅貨60枚に換えてもらった。宿の部屋に戻り酒作りを始めよう。
ブランデーとウイスキーを先に作る。といっても、いつも通りのなんちゃって蒸留をすれば出来るので簡単に終わる。シードルとミードも特に難しい訳でもなく簡単に終わった。
時間は掛かるものの、今まで何度も何度も作っているので、流れ作業で出来てしまう。ゆっくりしていると2人が帰ってきた。
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0108終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨10枚
金貨46枚
大銀貨32枚
銀貨14枚
大銅貨86枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
剣熊の爪のサバイバルナイフ
オリハルコンの短剣
アダマンタイトのメイス
マナリアの鎖鎌
風鹿の角の十手
二角の角の戦斧
二角の革の帽子
剣熊と銅亀の革鎧
剣熊の骨の半篭手
剣熊の革の指貫グローブ
剣熊の革の剣帯
剣熊の骨の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
剣熊と銅亀のブーツ
大型のアイテムバッグ