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 傭兵ギルドに入り王太子からの依頼達成の証明書を出す。受付嬢は手際良く、王太子から請けていたリンデ達の護衛依頼を達成した事を記録する。今回の依頼達成では誰のランクも上がらなかった。


 ただの護衛依頼と言えばそれまでだし、それを1回達成しただけでランクは上がったりしない。そのうえランクが上がるのはエリアぐらいで、キューレは護衛される側なので査定の対象外だ。


 カイリに関しては護衛依頼中にチームに加入しているので、依頼に何の関わりも無い。まあ、ランクを上げたいのであればこれから頑張ればいいさ。俺達はランクを上げる気など無いし、興味も無いので最低限でいい。


 今回の依頼達成で、当分ギルドに来なくても登録証は維持できる。最早、身分証明以外に然したる価値が無いなぁ。とはいえ、こんなものと言ったらそれまでか……。宿に帰ろう。


 宿の部屋に戻った俺は【冷風】で部屋の中の熱気を外に出しながら、送風機と冷房を設置して起動した。いつも通りキンキンに冷やした神水を入れて使っているのだが、何故かラーファンさんが部屋に居る。



 「いやー、申し訳ありません。今日は特に暑くて、少し涼んだら出て行きますので……」



 見ると顔色が若干悪いような……。俺は神水と魔豊蜂の蜂蜜と塩を混ぜた物を作りラーファンさんに飲ませると、「美味しいですね」と言ったので脱水症状が起きていたんじゃないかと思い、丁寧に説明する。


 経口補水液モドキを飲みながら聞いていたラーファンさんは、「今日は確かにお水を飲んでないかもしれません」と言い出したので、それがどれほど危険かを説明していく。ついでに【浄化】すると、何故か大喜びした。


 命の危険があったんだと自覚してほしいんだが、脱水症状も相まって頭がボーッとしている様でまともに聞いてくれない。これは時間をかけて回復させないと、どうしようもないな。


 ラーファンさんには引き続き、おかわりの経口補水液モドキを渡して飲ませる。モドキでしかないし吸収されるのに時間がかかるので、今はまだ回復までには到っていないが仕方がない。


 冷房の効いた部屋の中に居れば回復するだろう。暇なので部屋の中や、宿全体を【浄化】して暇を潰す。そうしていると段々回復してきたのか、ラーファンさんも少しずつ現状を把握し始めた。


 客の部屋に涼みに来て、飲み物を出してもらった挙句ボーッとしていた。慌てて謝罪し始めたが、俺達はもう1度熱中症の事を説明していく。俺達の話を聞いて、初めて自分が熱にやられていたんだと自覚した様だ。やれやれ。


 送風機や冷房はともかくとして、こまめに水を飲んでいれば熱中症になるリスクは下げられるので、暑い日は意識して水を多く飲む事が大事だと説明しておいた。これでおそらく大丈夫だろう。


 その後、回復したラーファンさんは謝りながら仕事に戻っていった。俺達は雑談などをしながら過ごし、夕方になったので隣の食堂へ夕食を食べに行く。


 食堂に入り大銅貨10枚を支払って夕食を注文し席に座って待っていると、近くの席から面白そうな話が聞こえてきた。



 「なあ、今日表通りで獣人の子供が馬車に撥ねられたのを知ってるか? その馬車の貴族は子供を置いて逃げて行ったらしいんだが、近衛の騎士様にとっ捕まったらしいぜ?」


 「知ってるけど、捕まったのか? 珍しい事もあるもんだ。貴族ってのは俺達平民の命を何とも思ってねえからな。いつものようにお咎め無しなんだとばかりに思ってたぞ」


 「見てたのが多かったし、紋章も見られてたからな。多くの人に見られてたんじゃ誤魔化せなかったんじゃねえか? 何にせよ、その貴族には撥ねちまった親子に慰謝料を支払わせるんだと」


 「どれぐらいなんだ? 大銅貨1枚か? それとも2枚か?」


 「相変わらずの貴族嫌いだな。気持ちはよく分かるけどよ。俺が聞いた話じゃ、金貨を支払わせるそうだ。どうも、王都内を決められた以上の速さで走らせていたのが原因らしい。馬車の速さが決まってるって初めて聞いたけどな」


 「ふーん、つまり決められた速さ以上で走ってたのと、子供を撥ねちまったからの慰謝料か。その子供は大丈夫だったのか? たとえ金を貰ったところで子供が亡くなっちまったら怨み骨髄だろう?」


 「それがな。子供がグッタリして動かない時に助けた奴が居るらしい。その子供を助けた奴は、お礼も貰わずに去って行ったんだとさ。どうやって治したかは知らねえけど」


 「へー、なかなかの奴も居るもんだ。子供が撥ねられちまったが、助かったし儲かったんなら良かったじゃねえか」


 「お前、そういう言い方すんなよ。子供だって助かるかどうか分からなかったんだぞ。たまたま助かっただけかもしれねえだろ」



 本当にな。2人組が話してたんだが、片方の奴は随分捻くれてる奴だ。それはそうと慰謝料が支払われるなら良かった。あの親子の生活も多少は楽になるだろう。金貨1枚でも平民にとったら大きい金額だからな。


 夕食後、部屋に戻った俺は皆から離れた位置で、銅鏡を使って邪気を吸引する。勾玉と違ってなるべく小さな力でゆっくりと使用しながら、吸引と【浄化】を行っていく。それでも広範囲から高速に吸引するのだから、こっちは大変だ。


 ウチの女性陣も若干ながら引いているくらいの速度と範囲で吸引するので、相変わらず【浄化】が追いつかない。今回は勾玉を使わずに慣れようと思っていたが、小さい力で使用してもこれなのだから本当にシャレにならないな。


 文字通り、根こそぎと言っていいレベルで吸引するので、勾玉と比べても段違いに綺麗に出来る。出来るのだが、【浄化】の権能を持つ俺でも満足に使い熟せない物を作らないでほしい。冗談じゃなく。


 それでも時間をかけて邪気を吸引出来なくなるまで使い、やっと一息吐く。皆は引いていたものの、俺が使えるレベルでゆっくり使っていたのを理解したのか、無茶ではないと分かってからは落ち着いていた。



 「それ、エゲツない吸い込み方するね? 確か神木で作られた馬と同じダンジョンで手に入れた物だと思うけど、冗談でも何でもなく、邪生製造の道具だと言われても信じるぐらいに酷い代物だよ」


 「本当にそう思います。幾らなんでも滅茶苦茶だとしか思えません。確かに根こそぎ邪気を集められるんでしょうけど、アルド以外の誰が使っても邪生にしかならない超危険物ですよ。ソレは」


 「それは、そうなんだけど……それを使って下界を浄化しろっていう神様の意思を感じる物よ? 使わなければ、もっととんでもない物を送ってこられるかもしれないじゃない?」


 「それを言われると返す言葉は無いね。冗談でも何でもなく、本当に神様方なら作りかねない。いきなり先程の銅鏡以上の物を送ってこられると危険過ぎるから、あれで慣れておくしかないんだと思うよ」


 「あの銅鏡以上の物となるとアルドでも危険だな。先程も全力では使っていなかった様だし、それでいて凄い速さの吸引だった。おそらく範囲も相当なんだと思うが、知りたくないような気もする」


 「知ったところで意味無いしね。それよりも吸引は終わったみたいだし、そろそろ行こっか?」



 そう言われて気付いたが既にダリアは寝ていたらしく、フォルに腕をとられて連れて行かれた。いつも通りに皆をキメて寝かせ、部屋と肉体を綺麗に【浄化】する。


 【探知】と【空間把握】を使い異常が無い事を確認していると、スラムの方で若干揉め事か何かが起こっているのを確認した。【空間把握】で詳しく確認すると、男性が女性に尻の穴を掘られていた。


 聞いてみると、男が金も払わずにヤッた事にキレてそうなっているらしい。張り型をケツにブチ込まれているが、自業自得なので放っておこう。ついでに、あの姉弟も確認しておくか。


 ………おいおい、自分で解消してたのかよ。息も絶え絶えになりながらも、それでも止める事が出来ないらしい。現在どちらも全く治まる気配が無いが、明日【浄化】してやれば大丈夫だろう。


 そろそろ寝るか。今日も一日お疲れ様でした。



 ▽▽▽▽▽


 1087終了時点


 大白金貨44枚

 白金貨208枚

 大金貨998枚

 金貨1262枚

 大銀貨1137枚

 銀貨1882枚

 大銅貨1731枚

 銅貨408枚


 ヒュドラーの毒ナイフ

 山羊角の杭

 キマイラの短剣

 神石の直刀

 神木の浄化棍棒

 神木の浄化盾

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 神石の勾玉

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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