1084
「まあ、帝国魔剣流の話はそれで終わりだな。その後はリヴィが竜革の防具が欲しいと駄々を捏ねたんで、皇都の傍にあるダンジョンに行く事になった。別に竜革の防具を作る事自体は良いんだが、ダンジョン最奥に行くのが面倒臭いんだよなぁ」
「確かにねぇ……。25層~35層くらいだろう? 25層で終わってくれるダンジョンならいいけど、30層を越えると1層の範囲が大幅に増えるから、30層以降が最奥だと本当に疲れるんだよね」
「30層か……私などでは想像もつかない場所だな。リンデは行ったのだろう? どういう所なのだ? 特に最奥が気になるのだが」
「実は聞かれても困る事なんです。各々のダンジョンによって、更には最奥に居る者によって地形が変わりますのでコレと決まった場所ではありません。私も驚いたのは氷原であったり火山でしょうか?」
「出てきたのは氷擲竜と岩硬竜ですね。どちらも普通ならば会えない存在なんでしょうが、ダンジョンの最奥だと出てくるんですよ。結局どういう仕組みなのかはサッパリ分かりませんが」
「まあ、学者以外は気にも留めぬ事なので考えずともよいかと。それよりも、帝国のダンジョンも攻略されたのですかな? ……流石と言うか何と言うか、呆れてしまいますなぁ」
「皇都近くのダンジョンを攻略して岩硬竜の素材を手に入れて、アルドさんがリヴィの防具を作ってくれたのですが、岩硬竜が2頭だった事もありキューレの分も作っていましたよ」
「ハハハハ、竜革の防具が大量だな。今までなら国宝として死蔵されるだけだったから、それに比べれば良いのではないかと思う。実戦で十二分に使える物だという事も改めて分かるだろうし、劣化具合も分かるだろう」
「竜の防具も劣化は止められないからね、致し方ないことだけどさ。もし劣化が止められるなら、これほど優秀な防具も無いんだけど……。まあ、無い物ねだりかな?」
確かにそうだろうな。劣化しない防具なんて、神の金属製か神木製か神石製。そのどれかしか無い。どれにしても微妙だと言わざるを得ないが、それでも1番マシなのは神木製だろうな。
地球でも古くには木製の鎧とかが在った筈だし、金属よりも石よりも軽いだろう。他が重いとも言えるが、それでも防具が重くて動くのが大変ではな。戦闘では使い難い。そして使い難いと言う事は、役に立たないという事だ。
咄嗟に行動しなければいけない事もあるのに、使い難い防具など普通は使ったりしない。プレートアーマーなら攻撃から身を守れるかもしれないが、神の金属でも熱中症は防げないんだよ。
結局、軽くて動きやすい鎧に落ち着くんだ。それは地球もこちらも変わらない。原因が、プレートアーマーでは命を守れないという事である以上は、どうしようもないよなぁ。それこそ、着るロボットでも作られない限りは全身鎧には戻らないだろう。
拡大解釈と言えなくもないが、ロボットに搭乗するのって全身鎧を着けるのと変わらないと俺は思っている。パワードスーツとか見ていると全身鎧の系譜にしか見えないから、どうしてもそう思うんだよなぁ。
「皇都のダンジョンを攻略した後は、リンデが確認に行かなきゃいけないと言ったんで、東の辺境伯の所まで移動したんだ。そこで面倒なのに絡まれた訳だが……」
「アレって結局どうなったんですか? 私達は部屋の中に居たので詳しくは知らないんです。アルドさん達が騎士に捕まって連れて行かれたのは知っていますけど」
「「!?」」 「………」
「いったい如何いう事なんだ!? 彼が捕まるなんて失敗をする筈が無いだろう? ならば、ワザとか? …………何があったのか、話してくれるかな?」
「まあ、構わないが。でも大した事じゃないぞ? 宿の部屋に侵入してきた奴等を皆に任せて、俺は外で監視していた奴等を捕まえて町の外に出たら、吐かせた後で粉にして埋めて宿に戻ったんだ」
「アタシ達が宿に侵入してきた奴等を叩きのめしていたら、偉そうな兵士が宿に入ってきてアタシ等を連行していったって訳さ。アルドが大人しく従うって言うから、アタシ等も従っただけだよ。夜も遅かったしね」
「君は何故そんな事を? リンデの護衛だろう?」
「その時リンデと同じ部屋にはカイリが泊まっていた。皇女の権力でどうにでも出来ると思ったんで、今の内に処理しておくかと思ってな。それでワザと捕まったんだよ」
「成る程。それで私達の部屋にアイテムバッグを置いていった訳だ。気付いたら、何故か全員分のアイテムバッグが私達の部屋にあってビックリしたよ」
「いきなり独房に入れられたんだが、俺は直ぐに出て行動を開始した。尋問した時に侵入してきた奴等のアジトは吐かせていたんで、強襲して皆殺しにした。そこのボスが吐いて、辺境伯の所の執事長が黒幕だと分かった訳だ」
「黒幕が執事長だったと? 意味が分からないな、いったい何故そんな事を……」
「すまん、面倒なんで聞いてない。その後、共犯の兵士長も潰して、更に執事長の裏に居たドゥオリム男爵というのも潰してから独房に戻ったんだ。やる事が多すぎて、一晩での限界に挑んだ感じだったな」
「裏の組織、執事長、兵士長、男爵。ウロウロしながら最後は隣の町まで行って戻ってきたと。よくもまあ、一日でそこまで出来るね。流石のアタシでも呆れるよ」
「次の日に起きたら騒がしかったんで2度寝したら、その間にカイリが辺境伯の所に行ったらしく、辺境伯の屋敷まで行く事になったんだ。それぞれの奴が夜に死んだ時間、俺は独房の中に居た事になっている」
「”居た事になっている”って、居なかったって言っているのと同じですよね。いや、まあ、居なかったんですけど……」
この場の全員が俺を呆れた目で見てくる。結構前から仮面が剥がれたのか、最初に見下してた奴は普通の表情をしていた。どうやら見下すように見ていたのはワザとだったようだ。何か理由があってやってたんだろう。
王太子の性格だと、そういう姑息なのは命じたりしない筈。ライブルもそんな事はしないタイプなので独断か、それとも王の判断かだな。ま、どっちでもいいけどね。仮面が剥がれてるし。
「その後は辺境伯が遣わした護衛が、護衛を装って嫌がらせをしてきたんでダンジョンに行ったんだよ。アレは面倒臭かったな。観光というか視察も殆ど出来なかったし」
「そうでしたね。バレバレの場所で見ていましたし、周りを威圧し続けていました。アレでは護衛ではなく、ただの嫌がらせです。辺境伯は全く理解もしていませんでしたし」
「それはまた……。辺境の守り人として大丈夫なのかと言いたくなるな。我が国でも問題を起こした辺境伯は居るが、今は大人しく仕事に邁進している。本人いわく2度と喧嘩を売る気は無いそうだ」
「面倒な奴等から逃げる意味でもダンジョンに入ったんだが、そこの最奥に登場したのがヒュドラーだったんだ。とある神話で9つの首を持つ蛇とされ、その毒は不死の者以外を絶対に殺す猛毒といわれている」
「不死の者って、そんな奴が居るのかい!?」
「さあ? 神話の中の話だしな。ヒュドラーには<不死の首>という死なない首がある筈なんだが、何故かあのヒュドラーには首が8本しかなかったうえに普通に倒せた。おそらく不死はマズいとなって8本にしたんだと思う。誰かは知らないが」
「アレを倒した跡地に、今アルドが持っているナイフが落ちていたんですよね。毒性は神話の通りではなかったようですけど」
「そもそも神話の毒はヒュドラーの息にも含まれていて、それを吸い込むだけで死に到る毒だ。神話と同じ物は無理だろう。この<ヒュドラーの毒ナイフ>に付いている毒も、悶え苦しむだけで死にはしない。殺してくれとは言うだろうが……」
「「「………」」」
どうやら3人はどんな毒か、朧気ながらも理解したらしい。
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1084終了時点
大白金貨44枚
白金貨208枚
大金貨998枚
金貨1332枚
大銀貨1137枚
銀貨1882枚
大銅貨1751枚
銅貨408枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の浄化盾
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




