1083
貴族街への門を抜け、王城への門を越えて城へと近付いていく。近衛の本部を横目に見ながら城の中へと進むと、執事のような人物がいて先導される。連れて行かれたのは、周りからの防聴が施された部屋だった。
中に入ると王太子とライブルに、もう1人見た事の無い人物が居た。澄ました顔でいるものの、目が完全にこちらを見下している。何故こんなヤツが居るのかは知らないが、適当に相手をすればいいか。
人間で言うと30~35歳ぐらいの見た目だが、人間かどうかは分からない。少なくとも首から上に種族を現すパーツは無いので、見た目は人間と同じだ。
俺達は挨拶をした後でソファーと椅子に座り、早速とばかりに話を始める。と言っても旅の話をするだけなので、そこまで大袈裟なものでも無い。
「まずは王都を出て東の辺境伯のところまで行き、帝国へと入った。特に何も無く旅を続け、皇都まで辿り着いたな」
「何も無かったのかい? ……帝国の諜報員はそこかしこに居た筈だけど、手を出さなかったのか。まあ、リンデが居て君が居るんじゃ、絶対に手は出さないだろうけど」
「ですな。手を出せば反撃されるのが分かっており、その1回で全滅する可能性が高い。迂闊に手を出せぬ事は帝国の方が良く知っておるでしょう」
そんな話をしていると部屋の扉がノックされ、王太子が許可するとメイドを先頭にしてキューレとカイリが入ってきた。そのままキューレとカイリは、ソファーに座るリンデの隣に座った。ちなみに、ザラとエイルズは椅子に座っている。
「そういえばカイリを見て思い出したが、皇都に入った後でカイリに会ったんだったな。俺達が観光してたら大きな声でリューの元の名を呼んだんだが……面倒な感じだったよ」
「面倒とは酷いな。まあ、確かにあの時は行方不明になっていたリューを見たので驚いてしまったのだ。だから大声で呼んでしまった。今ならあんな事はしない」
「それは当たり前の事では? 驚いても、まずは堪えて冷静で居なければならないのは、王族や皇族に共通した事でしょうに……」
カイリが言い訳っぽい事を言ったら、キューレから正論のようなツッコミが入った。確かに、上に立つ者ほど冷静なフリをしなきゃいけない。内心どれだけ驚いていても、それを表情や態度に出してはいけないからな。大変だ。
「話を戻すぞ。皇都でデルなんとか子爵とかいうのが難癖をつけてきたんだが、そいつはカイリが追い返した。ところがその子爵を利用して俺達にちょっかいを掛けようとした侯爵家が2つあってな。その当主を潰した」
「はっ!? え、当主を潰……ゴホンッ! つまり、この世から居なくなったという事ですな?」
「そういう事だ。他にも<死の番人>とか言う暗殺組織も使ってたんで、コイツ等も纏めて潰しておいた。俺達を暗殺しようとしてきた以上は、そいつ等には殺される覚悟があると俺は見做すんでな。当然殺す」
「やっぱりそうだったのか。皇帝陛下に反発するヴェクリオ侯爵と、常に日和見のクロンヴァル侯爵が揃って行方不明だったからな。怪しいと思っていたが、何の証拠も無いので捕縛すら出来なかった」
「流石に捕縛するにも理由が必要です。目撃証言があれば何とか、落としていった証拠でもあれば確実に捕縛できるでしょう。どちらも無しでは不当な捕縛にしかなりません。そういった事を無くす為に法がある訳ですけど……」
「まあ、リンデの言うとおりだ。とはいえ、証拠を残さず完璧にされると如何にもならない。本来なら犯罪なんだけど、証拠がないうえに反撃だ。手を出した者が悪いと言えば終わってしまう」
「あの帝国の2派閥の長をですか……。相変わらず滅茶苦茶だと言えばいいのか、それともこれがアルド殿だと言えばいいのか。何とも判断に困りますなぁ」
皆が呆れたような視線を向けてくる。そんな中で表情を一切変えずに聞いている知らないヤツ。コイツが何故ここに居るのか未だに分からんが、反応を示さないんで無視するか。
「その次の日だったか? 次の次の日だったか忘れたが、帝城で皇帝用の酒を作って渡したな。何故か花が咲き誇る庭園でやらされたが」
「あの酒は皇帝陛下が喜んでおられたぞ。今までに味わった事がない程の香りと味で、コレを飲んだら他の酒を飲めんと怒っていたぐらいだ。まあ、それを私に言われても困るのだがな」
「まあ気持ちは分かるけどね。そういえば、その後バカに喧嘩を売られたんじゃなかったかい? 帝国魔剣流のアホどもがやってきてさ。ボコボコにして叩きのめしてやったけど、帝国魔剣流ってのは駄目だね」
「確かにアレは話になりませんでしたね。アルドも言っていましたが、アレは初見殺しに近い技で、一度見られれば対策をとられてしまいます。そのうえ、魔力をハッキリと感じられる私達には初見殺しにすらなりません」
「帝国魔剣流の事は聞いてはいたが、そんなものだったとはな。幸い、我が国の近衛にも魔力や闘気を感じられるものは増えてきた。剣と魔法を組み合わせたものと聞いているが、魔法が来ると分かっていれば対処も出来るか……」
「ですな。アルド殿は剣は剣、魔法は魔法でやるべきだと言っていましたが、どっちつかずでは大したものには成らぬのでしょう。どちらかをハッキリしておいた方が、騎士達も分かりやすくて良いかと」
「うむ。騎士達には浄化魔法を中心に覚えさせているが、これも継続した方が良いな。武具で戦う者は浄化魔法を中心に、魔法士達はそれ以外の魔法を訓練させるか」
「話しを戻すと、帝国魔剣流の者達とは試合という形になった。正確には俺以外が試合で、俺は殺し合いだ。皆は出てくる帝国魔剣流の者を簡単に叩きのめしていたし、戦いに特に語るべき部分も無かった」
「一応補足しておきますと、私達から見てもお姉様方が簡単に叩きのめしてしまわれたので、大して見るべきものもありませんでした。ただ、相手は青銅のプレートアーマーで、お姉様方は練習用の刃引きされた青銅製武器でしたが」
「「はぁっ!?」」 「!!!」
今まで表情の変わらなかった奴までビックリしたみたいだな。青銅とはいえ、金属製のプレートアーマーを着ている相手をボコっていれば当然の反応か。実際はそこまで難しい事をしている訳じゃないんだがな。
「正しい身体強化を使えばそこまで難しい事でもない。刃引きされてはいるが青銅製なんだ。鈍器として使えば問題無いし、プレートアーマーと戦うのに鈍器を使うのは普通の事だ。隙間を狙って刺突を行うか、鈍器で殴りつけるかぐらいだからな」
「まあ、それが1番簡単な勝ち方だし、わざわざ難しい方法で勝つ意味なんて無いからねぇ。敵なんて倒せれば良いんだし、最も重要な事は勝つ事さ」
「その勝つ事で、最後は斜めに両断されていましたよ? 確かランザスという者でしたか。帝国魔剣流の天才グライバの恋人でしたっけ?」
「確かそんな事を言っていたね。アルド殿を怨んでいたのも、グライバという奴が殺されたからだった筈。たださ、グライバという奴は皇帝に命じられて暗殺に来て、返り討ちにあったんだよ。怨むのは筋違いだと思うんだけどね」
「怨みや憎しみを持つ者なんていうのは、そんな者ではありませんか? 理不尽な怨みだと思っていても止められないのでしょう、きっと」
「ぶつけられる方にとってみたら堪ったもんじゃないと思うけど、仕方ないのかな? いや、仕方なくはないか」
「そうですね。仕方ないで済ませていい事ではありません。ただの理不尽なんですから、それは否定しないといけない事です」
まあな。それが罷り通るんじゃ法も何もあったもんじゃない。そもそも俺は返り討ちにしただけで、襲ってきたのは向こうだからな。その俺を怨むってのも意味が分からない。
まあ復讐者の頭の中身なんて、理解する気も無いんだけどさ。
▽▽▽▽▽
1083終了時点
大白金貨44枚
白金貨208枚
大金貨998枚
金貨1332枚
大銀貨1137枚
銀貨1882枚
大銅貨1751枚
銅貨408枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の浄化盾
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




