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 昨日の夜にあった事を皆に話すと、ちょっと微妙な雰囲気になった。非合法な物を売り捌いて儲けているだけなら悪党だと言って終わるんだが、復讐も含めてやっていて、やり場の無い思いを抱えたまま続けていたんだからな。



 「何だか微妙な話だねぇ。死に場所を求めている奴と、ちょっと似ている気がするよ。復讐は終わったんだろうけど、今さら止める訳にはいかなくて、どうにもならなかったんだろうけどさ……」


 「現実なんてそんなものですよ。物語とは違ってスッキリ終わるなんて事はありません。ダナも知っているでしょうが、そういうものとして諦めるしかない。としか言えませんね」


 「まあ、そうね。父親の復讐だったんでしょうけど、それが終わったとしても自分の悪事が無かった事にはならないし、作ってしまった非合法な組織が無くなる訳でもないわ」


 「それらに収拾を付けないと終われないんだけど、その人物は収拾が付けられなかったんだね。最初からどうするかを考えておかないと、綺麗に終わるなんて無理な話さ」


 「とはいえ、それを考えていても作った組織の奴等は激しく抵抗するだろう。結局は収拾が付かない気もするがな。かと言って、放り出してしまえば犯罪者が大量に散るだけだ」


 「そういう組織を作ってしまった以上は、誰かに潰されるまで立ち止まれないんだろうね。そして、そのボスはそれが分かっていたと。始まりが復讐だから、そうなったのかな?」


 「どうでしょう? 騙された父親が立派な方だったからこそ、復讐に狂っても捻くれなかったのかもしれません。よくある事と言えばそれまでですが、そういう人達の中からここまでする人が出てくるんですよね」


 「確かにね。だからこそ復讐心って怖いんだけど、馬鹿は復讐されるまで気付かないんだよ。だからこそ、いつまで経ってもこういう事って無くならないんだよね。あー、ヤダヤダ」



 何だか同情的ではないが、微妙な気分のままなので、部屋を片付けてさっさと食堂に行こう。皆には部屋を片付けている間に、杭と短剣を手に入れた事を伝えておく。壊した呪具は20以上あったが、大半が道具だったので壊して処理した。


 残したのは杭と短剣だけだ。この2つは武器だから残したんだが、他のは効果とかを確かめる気にもならなかった。特に日本人形のような奴とか、あからさまに危険なので1番最初に破壊したよ。怖いのは要りません。


 全て片付けて玄関に行くと、既にリンデ達が待っていたので合流し一緒に食堂へと行く。皆は昨日の従業員が居なかった事を訝しんでいたが、分からないのでスルーしたようだ。聞かれてもここでは答えられないので助かる。


 食堂に入り大銅貨10枚を支払って朝食を注文したら、席に座って雑談でもしながら待つ。食堂なので無難な話をしていると、近くに座った傭兵がヒソヒソと話し始めた。ちょっと【空間把握】で聞いてみよう。



 「昨日、大店で何かあったのか知らねえんだけどよ、今日あの屋敷に行った奴が言うには誰も居なかったんだとさ。おかしいだろ? 大店の裏の屋敷って、あの組織のアジトだよな?」


 「ああ。しっかし何で誰も居ないんだ? あそこは必ず組織の幹部が居て、町の領主を見張ってるんじゃなかったか? もし本当に居ないのなら、誰かに潰されたか……」


 「そんな事があり得るのかよ? ここの領主は代々武闘派だが、その武闘派領主でさえ歯が立たずに殺されたんで震え上がってたんだぜ? そんな奴等が逆に殺されるって事が本当にあるのか?」


 「分からねえけど、無いとは言えねえだろ。もともと武闘派領主に楯突くなんて馬鹿な奴だと言われてたろ? そしたら奴等に殺されっちまったんだ。その奴等に同じ事が起こっても不思議じゃねえだろ」


 「ああ、そりゃ確かにそうなんだけどよ……」



 強い奴が敗れるのが信じられないのか、自分より強い奴が敗れる事が信じられないのか、どっちかは分からないが片方の傭兵は納得出来ないらしい。


 世の中には自分より強い奴なんて居るし、そういう思いでいないと足を掬われる。自分に自信を持つのは大事だが、それに疑問を持たないようじゃ三流止まりだな。自分の力を妄信したり、弱い現実を認めない五流よりマシではあるんだが……。


 朝食後、食堂を出て町の門まで行く。登録証を見せて外に出たら、北にあるダンジョン街へと向かう。その道中で運良くオークを見つけた俺は皆に手を出さないように言って、1人で近付き石を投げて挑発する。



 「ブヒィッ!!」



 1体だけしか居なかったので都合が良かったんだが、逃げずに向かってきてくれたようで安堵する。逃げられたら実験が出来ないからな。棍棒を持って向かってくるオークの攻撃を避け、近付いてキマイラの短剣で腕を浅く切る。



 「ブヒヒヒヒヒ」



 俺の手加減で浅く切れただけなのだが、俺が弱いと勘違いしたらしく笑っている。とはいえ、実験としてはある意味成功だ。キマイラの短剣は”雄”のオークには効かないだろうと予想していたので、この結果にはむしろ納得している。


 次は山羊角の杭だ。これがサテュロスをイメージして作られているなら、雄のオークに効果がある筈なんだが……。



 「ブヒーッ!!」



 再び棍棒を振り下ろしてきたので、避けて腹に杭を突き刺す。といっても1ミリ刺さったかどうかの浅い傷だ。大怪我をさせる気は無いので、この程度の傷で様子見となる。その効果は俺が思うよりも遥かに早く現れた。



 「ブヒ? ……ブ、ブヒ………ブヒィーーーーッ!!!!」



 雄オークは蹲った後、今度は仁王立ちの様に立ち上がったのだが、その時には激しく屹立していた。何処が屹立しているかは言わなくても分かるだろう。猛烈に立って股間の布を押し上げているが、血液をとられているのか今度は蹲ってしまった。


 成る程なー。屹立し過ぎて動けないとは思わなかった。サテュロスはギリシャ神話に登場する、常に勃起しているという半人半獣なので効果としては納得である。


 目の前の雄オークは勃起しすぎて碌に戦えないみたいだし、止めを刺してやるか。そう思っていたら、こちらに走ってくるオークが2体居る。そのオークは俺と雄オークとの間に立ちはだかるようにして立ち止まった。



 「「ブヒ!」」



 仲間を助けようとしているのか分からないが、目の前のオークは両方雌のようだ。これって……まあいい、今は実験の続きをしないとな。俺は素早くキマイラの短剣で雌オーク2体の腕を浅く切る。すると此方も怖ろしい早さで効果が出た。



 「「ブ……ブヒン///………ブヒ? ……ブヒッ! ………ブヒーーーーッ!!!!」」



 物凄く欲情しているのだろう。肌が赤く染まった雌オーク2体は、疼きを堪えながら頷きあった後、雄オークを担いでこの場を高速で離脱していった。その速さは来る時の倍ぐらい速かったが、そこまでなんだなー。


 やった本人である俺が言うのも何だが、そこまでシたくなったのか? ビックリするほど置いてけぼりにされたが、アレって治るんだろうかね? 結局そこは分からないままになってしまった。


 溜息を吐いていると、突然ダナが肩に手を置いたので振り返る。すると、皆がとてもイイ笑顔をしていた。



 「アルド。何をしたのか聞かせてくれるよね?」



 そういえば杭と短剣の内容は話していなかった事を思い出し、慌てて皆に説明すると、微妙な顔をしながら杭と短剣を見ている。予想していた効果も合わせて伝えると更に微妙な顔になり、何とも言えなくなったらしい。



 「元々呪われていた物だから、そういう物も有るとは思うんだけどね。……それにしても、何を考えて神様はこんな物を作ったのやら。全くもって意味が分からないけど、コレって雄と雌ならどんな生き物でも効果が有るのかな?」



 何故か皆が真剣に悩み始めたが、とりあえずダンジョンに行こうか?。



 ▽▽▽▽▽


 1076終了時点


 大白金貨44枚

 白金貨208枚

 大金貨998枚

 金貨1332枚

 大銀貨1137枚

 銀貨1883枚

 大銅貨1811枚

 銅貨438枚


 ヒュドラーの毒ナイフ

 山羊角の杭

 キマイラの短剣

 神石の直刀

 神木の浄化棍棒

 神木の浄化盾

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 神石の勾玉

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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