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 食堂に入り大銅貨10枚を支払って朝食を注文する。席に座って一息吐き、冷たい神水をコップに入れて飲んでいると、近くの席に傭兵が座り大きな声で話しているのが聞こえてきた。



 「昨日、急にダンジョンの地形が変わったけど、お前等は大丈夫だったか? 俺達の方は無理せずに切り上げたが、奥に行こうとしていた奴等の中には帰ってこないチームもあるらしい」


 「オレ達の方も危ない事はせずに切り上げたよ。そもそも地形が変わって直ぐに深層に進もうとするなんて、ただのバカか自殺志願者ぐらいだろうよ。幾らなんでも頭が悪すぎる」


 「だよな。しかも妙に水で濡れている部分が多いし、泥濘の地形も多かった。俺達も慎重に進んでいったけど、13層の洞窟を見た瞬間に全員が駄目だと言って帰ってきたぜ」


 「そこまで行ったのか。オレ達は10層の湿地帯でこりゃ駄目だとなって帰ったよ。水とか泥の所為で足がとられるし、余計に疲れるんで困ったもんだ。かといって他に移動するのもなぁ……」



 成る程な。あのダンジョンの地形は物凄く大変だったが、あの日急に変わったのか。通りで今までは普通に傭兵が挑んでた筈だ。あの難易度によく挑戦し続けるなと思ってたら、あの日………ん? もしかして俺達が入るから変えた?。


 いや、そんなまさか。……あり得るのか、そんな事? 攻略出来る俺達だからこそ、なるべく高い難易度にして邪気を大量に浄化させる……。可能性としては無い訳じゃないだろうが、結局システムがやっている事だからなぁ。よく分からん。


 朝食後、再び全員で領都を見回る。前回見られなかった所をフラフラ見ながらウロウロしていく。今回も護衛というか尾行連中が居るが、前回と違い邪魔はしていない。流石に王族と皇族が居て、護衛の1つも出さないのは大問題だからしょうがない。


 本来は傭兵だから出さなくてもいいんだが、馬鹿どもの所為で立場を明かす必要があったのでこうなってしまった。それでも昼まで領都を回り、大半の場所は見終わった。後は辺境伯の屋敷と兵士の宿舎ぐらいだが、見に行く気は誰にも無い。


 食堂に行き大銅貨10枚を支払って昼食を頼む。席に座ってゆっくりしていると、3人ほどの男が店に入ってきてカイリの下に歩いていった。近くのテーブルだから聞こえるが、どうやら昨日捕縛した尾行連中は昼前に処刑されたらしい。


 代わりに家族への連座はさせないらしく、皇女であるカイリに了承してほしいとの事だった。カイリが俺達の方を向いたので、「俺達はどうでもいい」と言って好きにさせる事にした。


 新しく執事長となった奴は最後まで俺達の方を見ようともしなかったが、その事でカイリが怒り注意したにも関わらず適当な謝罪をして去っていった。辺境伯家は本当に部下や家臣に恵まれていないな。



 「申し訳ない。まさかあれだけ恥を晒したというのに、またあんな者を寄越すとは……。あまりにも頭が悪くてどうにもならん。その事も含めて陛下と宰相には情報をあげておこう」


 「まあ、俺達としてはどうでもいい。死ぬまで苦痛に苛まれたいらしいから、存分に味わってもらおうじゃないか」


 「「「「「………」」」」」


 「私は何も見なかったし、何も聞かなかった。それが皇女としての答えだ」



 どうやらカイリですらOKを出すほどだったらしい。半分冗談で言ったんだが、まさか皇女公認になるとはな。実際は公認ではなく知らないフリをしてくれるだけだが、それで十分だ。ヒュドラーの毒の実験にはなるだろう。


 惜しむらくは実験の推移を自分で見れない事だが、そこは仕方がないな。結果ぐらいはどこかで聞けそうなので、それさえ知れればどうでもいい。調子に乗った阿呆の末路というものを教えてやるか。


 昼食後、部屋に戻って送風機と冷房を設置して起動し、【冷風】を使って部屋を冷やす。涼しくなったのでダリアとリバーシでもしながら過ごそう。リンデもカイリも見るべき所は見回ったので、後は西に戻るだけだ。


 皆と相談し明日には出発する事にした。今なら1日でドルクス山も越えて皇都まで進めるかもしれない。領都に来た頃はとりあえず走れるようになっただけだったからな。カイリも身体強化に慣れてきたようだし、一気に進めるだろう。


 そんな話をしながら過ごし、夕方になったので部屋を片付けて食堂に移動する。中に入って大銅貨10枚を支払い夕食を注文したら、また相席を頼まれたのだがモヒカンだった。いい加減にしろ!。


 またモヒカンの所に誘導しやがったのは同じ女だ。ここの従業員はどうなってるんだ? 客で妄想するのを止めろと教育できんのか? 本当に碌なもんじゃない。モヒカンはモヒカンで、今日も泣きながら友情を確かめ合ってるし。


 ここにオレを持ってくる必要性は欠片も無いだろう。こうなったら何も考えず無心で食事をし、さっさと店を出よう。ここまで食事の味を気にしないのも珍しいが、モヒカンとの相席は嫌だ。


 夕食後、足早に店を出て外で皆を待つ。ダリアと遊んでいると皆も出てきたので、揃って宿へと歩いて戻る。理解のあるフォルでさえ「2度目は悪質だよ!」と怒っている。


 ああいう趣味の人がやっていいのは1度だけらしく、2度目は故意と見做されるらしい。悪質な場合は、そういう趣味だと周りにバラされたりするので普通はやらないそうだ。


 部屋に戻り送風機と冷房を設置して起動したら、椅子に座ってゆっくりと寛ぐ。無駄にストレスの溜まる食事だったので、頭の中を空にしてボーッとしたい。そうしているとダリアが膝に乗ってきたのでブラッシングをしてやる。


 ブラッシングをしながら【浄化】していると、直ぐに瞼が下がってくるのは変わらないな。そう思いながら、ダリアが眠るまでブラッシングを続けた。ダリアをベッドに寝かせた後、皆もキメて寝かせていく。


 女性陣を全員寝かせたら、隠密の4つの技を使い窓から外に出る。目指すは辺境伯の屋敷だ。1度行っているので問題無く向かうのだが、屋敷の表にも裏にも兵士が居る。つまり昼のアレは、俺を誘き寄せる為の挑発だった訳だ。


 それでも甘いとしか言えないんだが、俺の実力を知らない以上は仕方ない。俺は”2階”にある窓から中へと侵入する。どうやって登ったかって? 自分を【念動】で引き上げればいいんだよ。簡単な事だ。


 当主の執務室に辺境伯と新しい執事長と、知らない顔の偉そうな兵士が居る。そいつ等は顔を突き合わせて話をしているらしい。【空間把握】で聞いてみるか。



 「もし何かあればワシが責任をとりましょう、このままでは舐められたままになります。貴族として、何より辺境伯家として、舐められたままでは今後の施政に影を落としかねませぬ」


 「私も先代兵士長殿と同じ意見です。たとえ不老長寿といえども所詮は平民、貴族とは違うのだという事を教えておかねばなりません。でなければ、やがて他の愚かな平民とて、おかしな事を始めるでしょう」


 「うむ。その通りだ」



 俺は聞くに堪えないゴミどもを含めた3人を【衝気】で黙らせ、【昏睡】を使って眠らせる。その後、部屋の鍵を外して侵入した俺は、ヒュドラーの毒ナイフでゴミ2人の足を僅かに切り、外へ出て鍵を閉める。


 やるべき事は終わったのでさっさと脱出し、宿の部屋へと戻った俺はベッドに寝転がる。明日には領都を出るが、最後の最後まで俺達の邪魔をしてくれたな。本当に碌な事をしない奴等だ。


 明日、また俺達に絡んできたら、次は無いと教えておくべきだな。「調子に乗っていると死ぬぞ?」と教えてやった筈なんだが、馬鹿なんで理解出来なかったんだろう。ホント、馬鹿に物事を教えるのは難しい。


 そんな事を考えていたら眠くなってきたので、このまま寝よう。明日も朝早いし、起きてても何も無いからな。


 今日も一日お疲れ様でした。



 ▽▽▽▽▽


 1070終了時点


 大白金貨44枚

 白金貨180枚

 大金貨985枚

 金貨1120枚

 大銀貨1131枚

 銀貨1477枚

 大銅貨1861枚

 銅貨448枚


 ヒュドラーの毒ナイフ

 神石の直刀

 神木の浄化棍棒

 神木の浄化盾

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 神石の勾玉

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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