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 「まことに申し訳ございませんでしたっ!」



 今、目の前で土下座しながら辺境伯が謝罪している。尾行連中が何をやっていたのか、嫌がらせを本当にしていたのか。そういった事を無理矢理に聞き出したら事実だと認めたので、本当の意味で謝罪している。


 叩きのめした中に尾行していた奴等が居たので、そいつ等から聞き出した結果だ。俺が【念動】で吹っ飛ばした奴はドゥオリム男爵が辺境伯の所へ入れたスパイの様な者だったらしく、そいつが辺境伯の立場を悪くしようと画策していた。


 現在ヒュドラーの毒でもがき苦しんでいるため聞きだす事が出来ずに困っているので、【神聖八重浄化】を使いながら陰で【浄化】の権能を使い治した。ようやく痛みと苦しみから解放されたからだろう、若干放心しているが話は聞き出せた。


 取り巻き連中が語った通りドゥオリム男爵が送り込んだスパイ兼工作員であり、お尻の愛人だったそうな。そこは聞きたくなかったと、ここに居る連中全員が思っている。執事長もそうだったが、ドゥオリム男爵ってそういう奴だったのか?。


 殺しているのでこの世には居ないが、何を思って愛人を送り込んでいたのかは気になるところだ。辺境伯に何か失敗させたとしても、それでドゥオリム男爵家の爵位が上がる訳でも無い。功績じゃないからな。


 ドゥオリム男爵が何を考えていたのかは、結局分からなかった。尾行連中は他の兵士が捕縛して連れていったが、諸々の罪で処刑される様だ。もう1度ヒュドラーの毒ナイフを使っても良かったんだが、俺の顔を見るや怯えて逃げるので無理だった。


 ゴタゴタした中で夕食をとったので、美味しくも何ともなかったが仕方ない。そう思いながら宿へと戻った。部屋に入り送風機と冷房を設置して起動し、【冷風】を使い熱気を外に出して部屋を冷やした。やっとゆっくり出来る、今日は無駄に疲れたな。



 「長く仕えた部下や家臣だからと言って、妄信して良い訳じゃないんだけどね。特に辺境伯ともあろう者が迂闊に信じると、国を守るうえで問題にしかならないだろうに。あの女は大いに反省するべきさ」


 「確かに酷かったですね。辺境伯が駄目だったと言うべきか、ドゥオリムという男が上手くやっていたと言うべきかは、判断に迷うところではありますが……」


 「それでもよ。部下や家臣を信じたい気持ちは分かるけれど、それだけでは貴族なんてやっていけないでしょうに。あの辺境伯はちゃんとした教育を受けていないのかしら? 必ず親から教育される筈よ?」


 「その筈なんだけどね。ちゃんとした教育を受けていないか、先代の頃から入り込まれていたか……。何であれ、あの辺境伯が部下や家臣を信じすぎるというのは事実だね。あれは簡単には直らないよ」


 「そういう風に教育されている以上は、ふとした時に無条件に信じたりしかねないな。教育というか、そういう風に作られたと言うべきだろう。次の代の辺境伯に期待するしかあるまい」



 皆は色々話しているが、あの辺境伯に同情はしていない。当たり前だが責任は本人にあるし、教育の問題なら辺境伯家の問題だ。俺達には何の関わりも無い事であり、知った事ではない。



 「そういえば、ヒュドラーだっけ? あの毒ナイフは怖ろしい物だったね。とんでもない痛みだったんだろうけど、死ぬ事も無く苦しみ続けていたみたいだし。アレを見ながら思ったよ、あの毒を受けなくて本当に良かったって」


 「分かります。御主人様は【浄化】の権能があるから平気なのでしょうが、私達はそうもいきません。あの苦しみを受ける可能性があったというだけで怖ろし過ぎます」


 「何たって死なない毒だもんね。アレは拷問用の毒なのかな? 死ななくて苦痛だけを受け続けるなんて毒が、この世にあるなんて思わなかったよ。あの男も殺してくれって思ったんじゃないかな」


 「人前で殺したりなんかしたら犯罪者なんだから、そんな事をする訳がないさ。あんな毒だとは知らなかったが、死ぬ前に毒を消す気だったんだよ。まさか死なない毒だとは思わなくてさ、ムカついてたから1日ぐらい放っておこうと思って消すのを止めたんだ」


 「成る程ね。まあ放置しても死なない毒だってのは驚いたけど、アレって浄化魔法で治せるのかい? 何となく無理な感じがしたんだけど……」


 「無理だな。【神聖八重浄化】でも消えている感覚はまるで無かったから、【浄化】の権能じゃないと消せない毒だ。その事実が1番シャレにならないかもしれない」


 「治せない毒ですか……。死なない毒ですが、代わりに苦痛を受け続けると。何と言うか最悪の毒ですね。よくもあんな毒を神様は作り上げたものですが、何に使わせるつもりだったんでしょうか?」


 「主様に渡るようにしたんだから、反省しない奴に対するお仕置き用として作ったんじゃないかな? 死なないところが特にそう思う理由だよ。主様”しか”治せないからね」


 「ああ~、確かにそうね。誰がやっても治せずアルドしか治せないとなれば、そういう用途に使うのも分かるわ。でも聞いていた通りなら、神様がそこまで考えるかしら?」


 「適当に作りたい物を作って、どう使うも好きにしろと放り込んだ気はするな。それでも良いのではないか? 強力な武器が手に入ったと思えばいいだろう。死なないしな」


 「それがシャレにならないんだけどねー」



 本当にな。死なないものの、凄まじい痛みを受け続ける毒だ。死という救済を与えられない毒というのは、最悪の毒と言っても過言ではないと思う。反省させる目的で使うのが1番かな? とはいえ、俺が持っているとバレたしな。


 毒にして放置、そして助けてやって反省を促す。そういう形では使えないかもしれない。誰がやったかバレたら普通に犯罪だからなぁ……なら何に使おうかな? まあ、無理に使わなくてもいいか。


 そんな事を考えていると、俺の胡坐の中で丸くなっていたダリアは寝てしまったのでベッドへと連れて行く。ダリアを寝かせると直ぐに両腕を持たれ連れて行かれたので、【房中術】【鋭覚】【精気】で大満足させて女性陣も寝かせる。


 部屋と体を綺麗に【浄化】したら、俺もさっさと寝よう。それじゃあ、おやすみなさい。



 <異世界496日目>



 おはようございます。今日は観光と視察の日です。まあ、視察はちょっとしたところを見るだけだ。正式な皇女の視察なら何処でも見られると思うけど。何の権限も無く傭兵として見回るだけなので、視察と言う程のものでもない。


 そういった立場の者からどう見えるかというのも重要なのだが、その辺りを気にするようになるのは文化とか価値観がもっと成熟してからだろう。今の時代ではそこら辺を気にする事はあまりない筈だ。経済だって何となくだろうし。


 いつも通り部屋と体を綺麗にし、リンデ達の部屋と体も綺麗にしたら、椅子に座って冷たい神水を飲む。ボーッとしていると、久しぶりにダリアが早く目覚めた様で、俺に近寄ってくる。



 「おはよう、ダリア」 「ニャ~」



 水皿に神水を入れて冷やしてやると美味しそうに飲み始めたので、2人でまったりとした時間を過ごす。足をペチペチ叩かれたので床に座ると、ダリアは胡坐の中に潜り込んで甘えてくる。


 しばしダリアとゆったり過ごしていると皆が起きてきたので、2人きりのまったりタイムは終了だ。



 「「「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」」」


 「おはよう、皆」 「ニャ」



 皆と雑談をしながら部屋の中を片付け、終わったら宿の玄関へと出る。少し待つとリンデ達が出てきたので、忘れ物が無いかいつも通りチェックすると今日はあった。リンデ達に言って取りに行かせたが、パンツぐらいは気が付けよ。


 見つけた時に言うかどうするか悩んだだろう。せめて、そういう物ぐらいはキッチリ管理してくれ。



 ▽▽▽▽▽


 1069終了時点


 大白金貨44枚

 白金貨180枚

 大金貨985枚

 金貨1120枚

 大銀貨1131枚

 銀貨1477枚

 大銅貨1891枚

 銅貨448枚


 ヒュドラーの毒ナイフ

 神石の直刀

 神木の浄化棍棒

 神木の浄化盾

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 神石の勾玉

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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