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 辺境伯の屋敷への道をゆっくりと歩いて行く。そういえば、今日はこの街を観光する予定だったのに大幅に狂ったなと思いながら、それも俺達らしいかなと何処かで納得もしている。


 幾ら片方が平和や平穏を願っても、もう片方が当たり屋のように襲ってくるのだからどうにもならない。平和なんてものが成立しないのがよく分かるし、平和が作れるのは脳内の妄想だけだ。


 辺境伯の屋敷の前で兵士に止められたが、「独房に捕まっていた」と言ったら通された。どうも、その一言だけで通す事が決まっているらしい。良いのか? とも思うが、辺境伯の屋敷に入るのに、たとえ嘘でも独房の話はしないかと考え直す。


 中に入ると執事のような人物が来たので案内を頼み、皆が居る大きな部屋へと案内された。中にはウチの女性陣とリンデ達、そして30代半ばの女性とメイド数人が居て話をしていたらしい。


 一斉にこっちを向いたが気にせず中に入り、メイドが引いてくれた椅子に腰掛けた。どうやら俺とアルメアが最後の様だが、さっきまでは雑談をしていたみたいだ。これからが本番か?。



 「では、全員が揃った様なので始めさせていただきます。まずは昨日の夜の事なのですが、突然襲われたと聞きました。それに間違いはありませんか?」


 「間違い無いね。正しくは宿の表と裏の両方から、6人ずつが攻めて来たんだよ。3人1組が2つあって、それが2チームあったのさ。そいつ等が攻めて来たって訳だ」


 「話を聞く限り、攻めて来るまでに全て分かっていたかの様な言い方をされていますが、そこは事実ですか?」


 「ええ、事実ですよ。そもそも気配を把握出来れば難しい事ではありません。その気配の把握は修行をしないと身につかないのですがね」


 「そうですか……。話の腰を折って済みません、続きをお願いします」


 「その後は襲ってきた者達を迎撃していただけよ。なるべく殺さない様に倒すのが面倒だったけれど、叩き伏せておいたわ。攻めて来た連中は誰も死んでいない筈」


 「その後、この領都の兵士連中が来て、私達を囲んで連れて行った訳だ。有無を言わせず独房に入れられたがな」


 「それは謝罪をいたします。申し訳ございませんでした」



 立ち上がった辺境伯は頭を下げて謝罪をしたが、周りの執事やメイドは固まってしまっている。おそらくだけど、そういう事をするような人物ではないのだろう。皇女であるカイリも居るし他の国の王族も居る。ここで謝罪をしないとマズい事になるという判断は出来るようだ。



 「まあ、そんなのはどうでもいいよ。それより、急に僕達を解放したのには何か理由があるのかい? 勘違いしているかもしれないけど、キミ達がグルでない証拠なんて無いんだ。信用なんてされる訳が無い」


 「貴方がたを解放するのはドゥオリム男爵と執事長、兵士長と<黒の墓標>との繋がりが判明したからよ。貴方がたを襲ったのは<黒の墓標>という帝国では有名な裏の組織なのだけど、そいつ等はアジトで皆殺しにされていたわ」



 フォルが牽制したらあっさりと素を出してきたな。信用を得る為なのか、猫を被るのを止めただけなのか。どちらかは知らないが、俺達の敵になるなら処分するだけだ。



 「アジトで? ……<黒の墓標>のアジトは、ここ辺境伯領にあったのですか。どうりで見つからない筈です。わざわざ山を越えて皇都に来ていたとは……無駄な労力とは言えませんね。上手く隠れられている訳ですから」


 「リューは知っているのか? その<黒の墓標>とやらを。生憎、私は初めて聞いた名なのでな、おそらく報告は受けていないと思う。どんな組織なのだ?」


 「<黒の墓標>というのは帝国国内では有名な組織で、何人もの有力な人物を殺害してきている組織です。この組織の仕事の仕方は非常に荒く、何が何でも標的を殺そうとするので有名なのです」


 「何が何でもって事は、周囲を荒らしてでも殺すって事かい? それはまた……本当に荒い連中だね。それでよく潰されなかったもんだ。って思ったんだけど、もしかして……」


 「ええ。エリアの思った通りです。貴族が複数、後ろ盾になっていると言われていますね。その所為で取り締まりの情報が筒抜けになっており、私が元居た所にも調査の命令が下った事があるんですよ」


 「一応、言っておきたいのだけれど、私は<黒の墓標>とは関わりが無いわよ? とある商店の中から異臭がすると騒ぎになっていて、調べたら母屋の方から死体が見つかったと報告を受けたのよ。それで調査させたら発見したというわけ」


 「それが信用出来ないと言っているんだけど、理解しているのかな? まあ、どちらでもいいと言えばいいんだけども。それより、今後私達をどうするつもりかな? 事と次第によっては容赦しない、と先に言っておくよ」


 「もちろん釈放するだけよ。そもそも何があったのか聞いているだけだし、重要人物は殺されているか行方不明だもの、真相が何も分からないのよ」



 そう言いながら辺境伯は俺の方を見てきた。「お前が殺ったんだろ?」と言わんばかりだが、俺が反応する訳が無い。ジッとこっちを見てくるので、そのまま無視し続けていたら鼻で笑いやがった。


 何かを口にしようとしたが、魔力と闘気の威圧で黙らせた。辺境伯にのみピンポイントで行っているので、他のメンバーや執事やメイドには効果は及んでいない。


 『あまり調子に乗ると死ぬぞ?』。そう【念話】で伝えてやると、面白いほど簡単に怯えた。この程度で怯えるなら最初から下らない事をしなければいい。伝えた通り、調子に乗るからこういう目に遭うんだ。



 「ゴホンッ! 皆さんに聞くべき事は終わったから、丁重にお帰り願うように」


 「「「「「かしこまりました」」」」」



 そう言って執事とメイドが俺達を案内する。どうも何がしかの事を俺達にさせたかったか、それとも何かを手に入れようとしたんだろう。相手が悪過ぎる事を理解したか? ま、出来ていなければ死ぬだけなので、どうでもいいか。


 話し合いをしていた大きな部屋で、それぞれのアイテムバッグはリンデ達から受け取っていた。もしかしたらアイテムバッグを狙ってしたのかもしれない。普通に売ってくれと言ってきたら売ったかもしれないが、あの態度だからな。話す気すら無くなった。


 宿への帰り道を歩きながら、そういえば辺境伯は昼食を出す事すらしなかったなと気付いた。俺達を相手にするだけならともかく、皇女であるカイリ相手には些かマズいんじゃないのか? そう思ってリンデに聞いたら、完全にアウトらしい。


 その程度の気遣いすら出来ない程度と見做されるらしく、不名誉になるんだそうな。あの辺境伯はその事に気付いてるのかね? ……今ごろ悶絶してたりして。


 食堂に入った俺達は、大銅貨10枚を支払い昼食を注文する。今は丁度昼時なので、お客さんもそれなりに多い。また相席のようなので案内されたが、今度は女傭兵5人組と同じ席だった。女性陣の視線が痛い。


 俺は5人組を気にする事も無く食事が運ばれてくるまでダリアの相手をしていたのだが、女傭兵5人組が急に話しかけてきた。目的はダリアであり、撫でさせて欲しいという理由だった。


 俺は「ダリアが許可するなら」と言ったのだが良いと思ったのだろう、いきなり手を出してきてダリアに叩かれていた。他の女傭兵も触ろうとするが、ダリアは高速で相手の手に猫パンチを叩き込んでいる。触られたくないらしい。


 ダリアが興奮してきたので、俺が抱っこして興奮を冷ましてやる。俺の手で抱かれているからか徐々に落ち着きを取り戻し、腕や胸に顔を擦りつけ始めた。それを見て女傭兵達が喜んでいるが、ダリアは一切関心が無い。


 昼食が終わるまで無関心であり、昼食後は俺の首に巻きつく始末である。よほど嫌だったんだなと思うが、多分原因は汚れと臭いだ。俺達は【浄化】の権能で綺麗にしているが、あの女傭兵達は俺でも分かるくらいだった。


 幾ら傭兵とはいえ、もうちょっと身奇麗にした方が良いと思う。



 ▽▽▽▽▽


 1064終了時点


 大白金貨44枚

 白金貨177枚

 大金貨963枚

 金貨1069枚

 大銀貨1078枚

 銀貨1451枚

 大銅貨1858枚

 銅貨442枚


 神木石の浄化槍

 神石の浄化剣

 神木の浄化棍棒

 神木の浄化盾

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 神石の勾玉

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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