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1045




 食堂に入り大銅貨10枚を支払って朝食を注文し席に座って待っていると、入り口から皇女が入ってきた。今日は鎧を着ておらず、普通の服装をしているらしい。元々、皇女が何故鎧姿なのか理解出来なかったが、脱いでいても問題無いみたいだ。


 その皇女は俺達を見つけると近付いてきて隣のテーブル席に座った。服装は近衛騎士の制服と変わらない動きやすい服装だが、皇女がその格好って良いのかね? まあ、周りの騎士が何も言ってない以上は良いんだろうけど……。



 「おはよう。昨日の事もあるので、今日は朝食も街の方でとる事になってな。子爵が下らぬ事をしかねん以上は、何かがあってからでは遅い。……ところで、昨夜何も無かったか?」


 「おはよう。特に問題のある事は無かったが……皆は何かあったか?」


 「特に無いねえ。朝までグッスリ寝てたし、何かあったら夜中に起きてるだろうけど、それも全く無かったよ。だから何も無かったと思ってる」


 「私も朝まで寝ていましたよ。ダナが言う通り何かあれば起きるでしょうから、朝まで寝ていたという事は何も無かったという事でしょう」



 他の皆も無かったと伝え、皇女はホッと胸を撫で下ろした様だ。俺は”問題のある事は”と言ったのであって、何も無かったとは言っていない。皆も朝まで寝ていたと言っているだけだ。


 ズルい言い方かもしれないが、少なくとも嘘は言っていない。皇女は気付いたのか気付いていないのか分からないが、少なくとも指摘してくる事は無かった。仮に指摘されても適当に言い逃れるだけなんだが。


 朝食が終わり部屋へと戻ると、皇女と女性騎士もついてきた。送風機と冷房を設置して起動したら、キンキンに冷えた神水を入れて後は放っておく。皇女達も当たり前のように部屋で寛いでるなー。良いのかね?。



 「皇女だから云々というのは聞き飽きるほど聞いてきた。周りの者も数年前から言わなくなったし肩の荷が下りたというところか。私を祭り上げる愚か者が出かねんのでな」


 「しっかし第2皇女だろう? という事は上の姉が居る筈だし、担ぎ上げるならそっちじゃないのか?」


 「姉上は既に嫁いでいて居ないのだ。その家はヴェクリオ侯爵家なのだが……ウェルク、ゴホン! ……リューと呼ばせてもらう。リューから聞いているかもしれんが、ヴェクリオ侯爵家というのは3派閥の1つでな……その……」


 「既にお教えしていますよ。ヴェクリオ侯爵家は3派閥の1つで反対派のトップです。陛下も派閥のトップと言えますので、3派閥は常にこの形です。良い意味でも悪い意味でも固まってしまっていますね」


 「そうなのだ。ヴェクリオ侯爵家は常に野心を隠そうともせぬし、クロンヴァル侯爵家は常に日和見で金儲けにしか興味が無い。真面目に政治に関わろうとするものが本当に居らぬ」


 「その反対派のトップに嫁ぐって大丈夫なのかい? 相当な目に遭っている可能性は否定出来ないと思うけどね。ただでさえ貴族どもは碌な事をしない生き物だ、良からぬ事をされてなきゃいいけど」


 「それも覚悟の上であろう。望むも望まざるも関係なく婚姻は成されるのが貴族の結婚だ。そこに当事者の意見なぞ無い。籠の鳥でも非道な目に遭うよりはマシなのが現実であり、少なくとも姉上が非道な目に遭っているという事はあるまい」


 「仮にそれをすれば帝国を割った戦争になりかねませんし、そうなれば間違いなくヴェクリオ侯爵家は滅ぶでしょう。仮に日和見のクロンヴァル侯爵家が、ヴェクリオ侯爵家の味方をしても無理です」


 「もう2つの派閥が味方をするからですか? リューが言うには軍部の派閥と商人の派閥もあるそうですね。そっちが味方をすれば確かに勝てるでしょうが……」



 そんな話をしているとドアがノックされたので入室を許可すると、宿の従業員が皇女の客が来ている事を告げてきた。皇女と女性騎士2人が部屋の外に出たので【空間把握】で確認すると、男性騎士が何かを耳打ちしている。


 …………成る程。ようやく皇女に情報が下りてきた訳だ。<死の番人>と子爵、それに侯爵家当主の行方不明。昨日子爵が俺に絡んでいて、次の日には行方不明になっている。更に俺は<凄腕の斥候>。


 それらを繋ぎ合わせると簡単に見えてくるよな。とはいえ、何の証拠も無しに捕縛する事は出来ない。俺が関わったであろう証拠ぐらいは提示しないと、残念ながら捕縛する事すら不可能だ。傭兵相手に好き勝手が出来る訳じゃない。


 そんな事を話すとリンデ達が呆れた顔を向けてきた。まあ、呆れるだけで上手く話してくれるだろう。リンデ達も王族だ。話のはぐらかし方とかは良く知っているだろうしな。


 おっと、そろそろ部屋に戻ってくるから、その辺りの事は宜しく頼む。



 「済まぬな、私に用がある騎士が宿までやってきていた。聞くとデルオール子爵、ヴェクリオ侯爵、クロンヴァル侯爵が行方不明らしい。昨夜は確かに居た筈なのだが、屋敷の者が朝起こしに行った時には居なかったそうだ」


 「奇妙な事もあるものね? 朝起きたら貴族家の当主が行方不明って……。恨んでいたり憎んでいる人に心当たりはないの? そういう人が手下にやらせたとか、怪しい組織にやらせたとかは?」


 「………はぁ。帝国には<死の番人>という厄介な裏組織がある。これは貴族どもと結託して悪事を重ねていてな、なかなか尻尾が掴めんのだ。その所為で好き勝手をされてしまっている」


 「つまり……アレかい? 恨み憎む人は多く居て、厄介な裏組織まである。誰かが子爵や侯爵を排除しようとしたとしても、それが誰かは分からないという事だね?」


 「そうだ、心当たりが多過ぎてどうにもならん。この事で私も戻らなくてはならなくなったので、申し訳ないが一旦失礼する。この宿に居ればおかしな者が絡んでくる事も無いだろう。では」



 そう言って皇女と女性騎士は部屋を出て行った。部屋を出た途端、俺以外の全員が安堵の溜息を吐いた。堂々としていればバレる事は無いし、そんなに緊張する事も無い筈なんだが……。


 まあ、いいや。それよりもここに居る全員にお金を数えるのを手伝ってもらおう。暗殺組織、子爵、侯爵2家の屋敷から奪った金銭が結構な量あって、1人で数えるのは面倒臭いんだ。回収するのは簡単なんだがなぁ。


 俺は手伝ってくれるなら少し分ける事を説明し、皆に数える作業をお願いした。皆も暇だったのか受けてくれ、静かな中に貨幣の音だけが現在響いている。黙々と数えてくれた結果を集計すると驚きの金額だった。


 大白金貨24枚、白金貨63枚、大金貨112枚、金貨231枚、大銀貨103枚、銀貨291枚、大銅貨439枚、銅貨211枚。これで全部だったのだが、大白金貨の量に驚いた。どんだけ持ってんだよ。


 皆に渡すお金は悩んだが、皆は使い勝手の悪い金貨から上の貨幣は断ってきたので金貨で渡す事にした。13人に金貨10枚ずつ、合わせて130枚を渡してお礼とした。驚いていたが、口を噤んでおく金額も兼ねている。


 それが理解できたのか普通に受け取ってくれた。もともと言う気も無いだろうけど、一応の建前みたいなものだ。


 ちょうど終わった時に昼が近かったので、食堂に昼食を食べに行く事にする。中に入り大銅貨10枚を渡して昼食を注文すると、席に座って雑談をしながら待つ。運ばれてきた昼食を食べていると、傭兵がゾロゾロと入ってきた。


 彼等も昼食なのか大声で話し始め、一気に店内が騒がしくなったがしょうがない。俺達がゆっくり食べていると、近くの傭兵が面白い話を始めた。



 「今日のダンジョンアタックは失敗だったな。まさか湿地というか沼地の地形が出てくるとは思わなかったぜ。あれで随分疲れちまったんで途中で引き上げる事になったけど、どうにかなると思うか?」


 「無理だな。地形だから突破するしかないが、泥で足をとられて疲れるのは避けようがないだろ。馬でも連れて行くか?」



 沼地は一般の傭兵には厳しいだろうな。



 ▽▽▽▽▽


 1045終了時点


 大白金貨44枚

 白金貨177枚

 大金貨963枚

 金貨1069枚

 大銀貨1078枚

 銀貨1458枚

 大銅貨2028枚

 銅貨462枚


 神木石の浄化槍

 神石の浄化剣

 神木の浄化棍棒

 神木の浄化盾

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 神石の勾玉

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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