0103
「し、しかし……やり過ぎではないのかね?」
「今も古い時代も変わらないぞ。怒った”平民”によって国は滅びるんだからな。……自覚したか?」
軍務卿のオッサンはハッとした顔をしたので、俺が言いたい事が理解できたらしい。兵務卿のオッサンもどうやら分かった様だな。本来なら貴族こそ知っておかなきゃいけない事だ。
「それにしても、何で奪おうと考えたんだ? 他にも方法は幾らでもあるだろうに」
「兵務卿は先程も仰っておられましたが、閑職として扱われております」
「軍務卿だけが味方な訳だな? 兵士の装備も輜重も、戦争の勝敗を分ける重要な部分だと理解してないのか」
「えっ!? 先程はあのように仰っておられたのに……」
「そりゃ奪おうとするからだ。それが無いなら、あんな事は言わないよ」
「そうですな。それよりも証拠はありませんか?」
「奴等の使ってた装備ぐらいだな。バレないように全て【粉砕】してきたからなぁ。死体も何もかも……あぁ、俺達の命を狙わせた伯爵家の先代は、始末して【粉砕】して捨てたよ」
「「「「えっ!?」」」」
「<死神の手>の拠点、その入り口近くに穴を掘って捨てたんだ。誰にも知られずに死んでいけばいい、そう思ってな。ここで喋っても証拠は無いし、そもそも賞金首だからどうでもいいか」
「「「「賞金首?」」」」
どうやら知らないようなので、ルタがくれた賞金首の書かれた紙を見せると、4人ともが微妙な顔をしていた。第三王女とライブルは、知っていてもその表情になってしまうらしい。
兵務卿と軍務卿は、伯爵家の恥が先代だとは知らなかったんだろう。思うところがあるみたいだ。
「まさか、伯爵家の先代が愚かな事をしておったとは……」
「貴族主義ですか……。その貴族主義の行きつく先が、アルドさんの仰っていた国の滅亡ですね」
「殿下の仰られる通りで御座います」
「ワシも変わらなかった……」
「暗殺を企まなかっただけマシだろ? 企んでたら秘密裏に始末してたけどな」
「まぁ、アルドならやるだろうね。暗殺者を暗殺するくらいだし。そもそも暗殺者が気付けないぐらいだからね」
「暗殺者に気付かれず暗殺する。よく考えればとんでもない事なんですよね。気付かれず、というのは私達でも無理です」
「私も無理ね。それに正面から潰す方が楽だもの」
「それは横に置いとこう。それより宝物庫の話はした?」
「宝物庫の呪物の話は、お聞きしました。ですが、アレをどうするのでしょうか?」
「このオリハルコンの短剣も、元々は死神の手が持っていた呪物だからな。もしかしたら浄化して使う気だったのか……そのまま使う気だったのか」
「「「「呪物!?」」」」
「ん? そんな驚く事か?」
「アルド……。王都に居る大神殿長クラスじゃないと、呪物の浄化なんて無理だよ?」
「出来る人が居るじゃないか」
「それでも出来ないから、宝物庫に封印されてるのさ!」
「ふ~ん。……ん? それを浄化すれば良いんじゃないか? そうしたら軍務卿も兵務卿も面目は立つんじゃないの?」
「「「「!?」」」」
「よ、宜しいのですかな!? ワシはあのような事をしてしまいましたが……」
「反省できるなら問題ないと俺は思う。伯爵家の先代なんて反省の欠片も無かったしな。アレと比べるのもどうかと思うけど、アレよりマシだからなぁ」
「すまぬ。兵務卿とは古くからの親友なのだ。この通り、お願い致す」
「お願い致します!」
「構わないよ。ただ、宝物庫の外にどうやって出すか……」
「出すのですか?」
「出さなきゃマズいだろう。平民が宝物庫に入る訳にもいかないし」
「封印されている呪物は触れても問題ない物ですぞ。危険な物は昔、迷宮の奥深くに捨てたそうですからな」
「俺は何時でも良いけど、どうする?」
「では、これから城に戻り詳細を話して参ります。恐らく明日になるでしょう」
「了解」
そう言って王女一行は帰って行った。俺は隣の食堂へ行き大銅貨3枚を払って、ダリアやカエデと一緒に昼飯を食う。ダナに2匹の朝飯代の大銅貨2枚を渡しておいた。
3人は食べた後だったが、一緒に居て色々な会話をしている。その中で分かったのだが、オリハルコンの事を喋ったのはシュラだった。本人も喋った事に気付いてなかったらしい。
気付いた時には遅く、先程の軍務卿と兵務卿に聞かれてしまったそうだ。面倒な事を俺に回すんじゃなく、自分で解決してくれないかな? 俺だって面倒臭いよ。
部屋に戻って話を続けていると、短剣を刺したのに何故生きているのか聞かれた。なので【生命活性】と【黄泉帰り】を説明する。
【生命活性】は生命の力を強くする技だ。生命の力は強くなる反面、急激に体力と精神力を消耗する。場合によっては体力と精神力を失って死ぬ事もあり得る危険な技でもある。
【黄泉帰り】はもっと危険で、生命の力を外部から強引にブーストする技だ。加減を間違えるとブーストし過ぎて破裂する。危険な技なので、助かったのは本当に運が良かっただけだ。
説明途中で明らかに落胆しているのが分かる。エロに関わる技じゃなきゃ駄目ですかねぇ? 普通の技だっていっぱいあるんだ、エロ技ばっかりじゃないんだよ?。
……単に休みだから昼間から抱かれたかっただけか。俺は3人に【房中術】【喜昇】【楽豊】を使い、完全にダメにしておいた。3人は帰ってこないが夕方なので食堂に行こう。
ダリアとカエデを連れて食堂へ行き、大銅貨3枚を支払い夕食を食べる。夕食後ゆっくりしていると、3人が足取り怪しくやってきた。どうやら余韻が残っているらしい。
それでも夕食を食べるようなので、大銅貨3枚を支払い夕食を頼む。3人はのそのそと夕食を食べているが、少し落ち着いてきたようだ。食べ終わるまで2匹と遊んで、皆で部屋に戻る
戻ったら3人には身体強化の運動をさせる。今日は何もしておらず体を動かしていないので、鍛錬ぐらいはするべきだ。極めて軽い身体強化と、体の動かし方を教えていく。
身体強化に集中しつつ、体重移動や重心の動きに注意を払って体を動かす。何度も何度も繰り返し、体に教え込んでいく。反復練習をひたすら続け、終わった頃には汗だくになっていた。
全て浄化して終わりを告げると、早速とばかりに酒を飲み始める。最近2匹も酒の味を覚えたのか、ミードを飲んでいるようだ。まぁ、量は少ないうえに、直ぐに寝てしまうんだけど。
2匹が眠った後、3人を【房中術】【極幸】【至天】で幸せにどっぷり漬けておいた。昼まで寝ていたが、全て浄化して俺も寝よう。今日も1日お疲れ様でした。
<異世界57日目>
おはようございます。今日は王城に呼ばれるかもしれません。アホ貴族が横槍を入れてくるだろうからな、果たしてどうなったのやら。丁寧に浄化していると2匹が起きて来た。
「おはよう。ダリア、カエデ」
「ニャオン!」 「ガルゥ!」
今日の2匹はテンション高めだ。この宿にも慣れてきたらしい。環境が変わってストレスが増えていただろうが、すっかり大丈夫になったようで良かった。浄化も効いているみたいだしな。
2匹をワシャワシャしながら念入りに浄化すると、直ぐにダラーンとして夢見心地の顔をしていた。猫はスライムなんて言われるが、本当によく分かる姿をしている。
「「「チュッ! おはよう。アルド、ダリア、カエデ」」」
「おはよう、3人とも」 「ニャア」 「グルッ」
「アルド、昨日はちょっとヤリ過ぎだよ///」
「ダナ。その言い方、嫌がってませんよ。私はスゴく良かったです///」
「私もよ。昼も夜も満たされて、とてもイイ日だったわ///」
3人から、「良いぞ、もっとヤレ」……という雰囲気を感じるんだが、スルーしよう。それの行き着く先は怠惰な人生……いや、退廃的な人生と言うべきものだ。それは流石になぁ……。
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0103終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨7枚
金貨46枚
大銀貨35枚
銀貨15枚
大銅貨2枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
剣熊の爪のサバイバルナイフ
オリハルコンの短剣
風鹿の角の十手
二角の角の戦斧
二角の革の帽子
剣熊と銅亀の革鎧
剣熊の骨の半篭手
剣熊の革の指貫グローブ
剣熊の革の剣帯
剣熊の骨の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
剣熊と銅亀のブーツ
大型のアイテムバッグ