1036
シガードの町を出発し、歩きながら今日の予定を話す。女性陣が言うには、ロクド山の手前にあるシャルマの町の近くにダンジョンが在るらしい。そこに寄るかどうかを話したのだが、リンデ達はあっさりと拒否した。
理由は、帝国のダンジョン内にある邪気を、王国の王女である自分が浄化してやる義理は無いとの事らしい。気持ちは分かるので、次にロクド山を今日中に越えるかどうかを話す。
その事については色々悩んだ様だが、最終的に今日中に越える事になった。どうやら俺達の話を聞いて、面倒なのは今日中に終わらせたいとなった様だ。気持ちはよく分かる。
イラサの村、エットーの村、サルドンの村、シャルマの町に着いたので、ちょっと早い昼食にしようと町に入る。近くの男に銅貨を5枚渡し、おすすめの食堂の場所を聞くと少し入った所の食堂を紹介された。
行って中に入ると、小さい食堂ながら中は清潔に保たれている。大銅貨10枚を渡し昼食を注文して席に座ると直ぐに運ばれてきた。どうやら昼食の仕込みが終わったところだったらしい。
御蔭で出来たてを食べる事が出来てラッキーだった。こういう所は作り置きが基本だからな、そうしないと客が捌けないし。しかし思っていたより美味しいという事は、ここの料理人も目立たない店で優秀な人物かぁ。
やっぱり目を付けられるのが嫌なんだろう。職人として優秀なほど、よく聞く話なんだよな。それもどうかと思うけど、貴族はウザいし面倒だから無名なのは仕方ないか。
美味しい昼食を終えて町を出たら、ロクド山へと走って行く。麓から見上げても、季節が季節なので九十九折の道は見えない。俺達は分かっているので気合いを入れて走り始める。
右に行ったり左に行ったりを繰り返していると、後ろのチームの雰囲気があからさまに悪くなっているのが分かる。どうやらリンデ達もここの面倒臭さを理解したらしい。
少し上がっては真っ直ぐ、少し上がっては真っ直ぐを繰り返す。まるで苦行のような状況に嫌気が差してくるのは、誰もが同じだ。途中で追い越す傭兵だけが変化と言えるほど、変わり映えのしない道が続く。
いい加減にしろよと思う頃に終わり、向こう側に着いた後で今度は下りが待つ。それでも下りの方が楽な為、気分的には遥かにマシだ。前回もイライラしながら登ったが、下りはそこまでじゃなかったのか印象に無い。
登りもそうだったが、下りも何台か馬車を見かける。馬車にとっては下りの方が危険なので、こちらの方が気を付けなきゃいけない。馬車が横転、もしくは落ちる際に巻き込まれたら確実に死ぬ。
馬車の商人にとっても、それを守る傭兵にとっても下りの方が怖い。俺達のように護衛の仕事を請けてていない者でも、巻き込まれたくはないので気を付けなきゃいけないんだ。
そう考えている矢先に、目の前で傭兵が戦っている状況に出会ってしまった。
迂闊に近寄ると盗賊扱いされかねないので、こういう時のマナーは近付かないのが正解だ。助ける際には声を掛けるんだが、助ける必要は無さそうだな。
戦ってはいるものの優勢で、余裕を残したまま魔物を倒している。そろそろ終わりそうで弛緩している様だが、このままじゃ不意打ちを喰らうぞ? 気付いていない様だが、教えてやる義理も無い。
「あーあー、コボルトの噛み付きを喰らっちまったね。あれは肉が抉られたんじゃないかい? ……調子に乗ってるからああなるのさ。余裕を持って戦う事と、警戒もしない事は同じじゃ無いよ」
「余裕を持っていたが故に伏兵に気付かなかったのか、あのコボルト達がそうなるようにウルフを嗾けていたのか……果たしてどっちでしょうね? 今の体たらくを見ていると、コボルトの方が頭が良い気がしてきます」
「分かるわ。そもそも気配的に馬車の前方を警戒してないわよね? 馬を狙われたらどうする気なの……あらぁ~、コレは………」
「あー……。馬が暴れて速度が出たのもあるが、暴走した馬は止まれないし仕方がないのだろうな。まさか転落の瞬間を目撃するとは……」
「呆然としているみたいだけど、僕達は今の間に通過しちゃおうよ。そもそも関係ないし、立ち止まってても時間の無駄だからね」
そのフォルの一言を皮切りに、俺達は再び走り出す。呆然としている傭兵の横を通り過ぎるのだが、馬車に乗っていた商人も一緒に転落している。コイツ等は、この後どうなるんだろうな? ただの失敗じゃ済まないと思うんだが……。
俺達はその横を通り抜けてさっさと下って行った。麓まで下りたら東へと走って行き、メヘルの村へと到着。前にバカな傭兵に絡まれて10倍の値段で宿の部屋を譲ってやった事があったが、その事はちょっと懐かしい。
この村には大きな宿が無いのは知っているので、村の中に入り野菜を買っていく。農家と交渉し、銀貨2枚で結構な量の野菜を売ってもらえた。夏野菜の残りみたいな物だが十分だ。
村を出た俺達は、村の南に向かって走って行く。ある程度離れたらカマクラを2つ作り、その後テーブルや椅子に焼き場を作り座らせる。あそこの村には大きな部屋のある宿が無い事を話すと、リンデ達も納得していた。
もう夕方なので早速夕食を作っていくのだが、今日はサーサとスープだけで後はバ-ベキューにするつもりだ。面倒なのもあるが、せっかくの外なのでワイワイやりたい。
土鍋でサーサを炊き、メルにスープを頼んだ。野菜と干し肉のスープだが、マールで買った香辛料を渡したので美味い物が出来てるだろう。雑談しながらダリアの相手をしつつ土鍋の火加減を調整する。
俺も随分慣れたなぁ、と思いつつ炊き上がるまでは気を抜かない。例えダリアの相手をしていても最高の御飯を炊いてみせる、マズいのは嫌だからな。
サーサも蒸しあがり、竜肉やタレの用意も既に出来ているのでバーベキューの開始だ。リンデやリヴィにキューレは慣れていないが、エイルズやザラは当たり前の様に好きに焼いている。
俺達もどんどん焼いていき、ダリアの皿にも焼きあがった肉や野菜を入れていく。ダリアは知恵があるからか割と偏食をしないで何でも食うんだよな。元々魔物であり雑食だからかな?。
王女組は……ああ、キューレに竜の肉だと暴露したのか。美味しそうに食べていたキューレが固まっていて、それを他の4人がニヤニヤしながら見ている。気持ちは分かるが、お前さん達も最初は驚いてただろうに。
皆でワイワイと騒がしく食べていたんだが、予想通りに酒を出した奴が居る。そしてあっさり始まる宴会。食べ終わった俺はさっさとカマクラ内に退避して、送風機や冷房を設置し起動する。
流石に酒飲みどもに付き合う気も無いし、迷惑を掛けられるのも御免だ。ディルもカマクラに避難してきたが、残りの連中は酒を飲んでいる。酒飲みどもが撃沈してから片付けるか……。
ダリアをブラッシングしながらディルに指導していると、ダリアが眠りかけていたので革を敷いてやる。すると革の上に倒れこみ、そのまま寝てしまった。
ブラッシングの効果なのか、それとも満腹だったからかは分からないが、非常に気持ち良さそうに眠っている。そんなダリアを起こさないようにカマクラの外に出た俺とディルは、溜息を吐きながら後片付けを始めた。
片付け終わった後は、リンデを起こして送風機と冷房を出させる。リンデ達用のカマクラに設置して起動したら、5人を【念動】でカマクラの中に詰め込んだ。最後に入り口を閉じれば終了だ。
俺達の方もどんどんとカマクラ内に詰め込み、入り口を閉じてしまう。俺とディルはカマクラの外に居るが、【止音】を使えば音が漏れる事は無い。
外だったからかディルは早々に撃沈してしまったので、カマクラの中に入れて革の上に寝かせる。俺は適当な位置に寝転がり、全員の体を綺麗にしたら目を瞑る。明日も移動だから早く寝ないとな。
今日も一日お疲れ様でした。
▽▽▽▽▽
1036終了時点
大白金貨20枚
白金貨114枚
大金貨851枚
金貨968枚
大銀貨975枚
銀貨1177枚
大銅貨1654枚
銅貨281枚
神木石の浄化槍
神石の浄化剣
神木の浄化棍棒
神木の浄化盾
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




