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いたずらに隣国への怒りや恨みを煽っても上手くはいかない。やるなら確固たる策の元にやるべきなのだが、こういうのは火を着けると勝手に燃え広がって制御不能になりやすい。だから策としては下策としか言えないタイプだ。
そうではなく何処かから情報が洩れただけなら、特に問題視する必要は無い。どうせ情報なんて何処かから洩れるもんだ。人の口に戸は立てられないしな。
そんな事を考えながら食事をし、終わったので宿の部屋へと戻る。皆は1日ゆっくりしていたからか、昨日の疲れは完全とは言えないが回復したらしい。昨日は道中で魔法の同時発動を練習し続けたからな。心の疲れは結構あった筈。
今日1日では完全に回復するのは無理か……。それでもリュー以外は殆ど5つ同時発動ができるようになったんだから、十分な結果だと思う。やはり実戦の方が成長するのは間違い無い。
皆は日中、買い物に行ったり解体所に獲物を持って行ったりしていたらしい。昨日は疲れていたのでさっさと寝たが、今日は時間があったので色々した様だ。そして、いつも通りに酒を作る流れになった。
別に悪いとは言わないが、いつも言っている通り飲み過ぎないようにな。聞いているような、聞いていないような返事で済ませやがって。毎回、俺がアルコールの影響を可能な限り【浄化】で消してるんだぞ。
酒作りをしながら心の中で愚痴を溢していると、ダリアがミードを欲しがったので水皿に入れてやる。ダリアが酒を欲しがるのは久々だが、これぐらいの頻度でいいんだよ。
とはいえ、女性陣も毎日飲んでいる訳じゃないから、そこまで注意する必要も無いか。ダリアに即席の干し肉やチーズを食べさせながら酒を作り、終わった頃にはダナとディル以外は酒で撃沈していた。
ダナも相当怪しいが、まだギリギリで踏ん張っているのでアルコールを半分ほど【浄化】し、皆を寝かせる手伝いをしてもらう。その後もフラフラしているので、先にディルを大満足させて寝かせた。
その後、ダナに近付くと半分は酔っている演技だったらしく、ベッドで自分のやりたい事をたっぷりやって大満足して寝た。まあ、満足したなら別に良いが、鬱憤が溜まってたんだろうか? 気を付けておいた方がいいな。
俺は再び隠密の4つの技を使い王都を出ると、今度は北西に向かって走り出す。ダンジョンがあるのは南だが、こちらは前回バロッサに行く際に来ただけで、それ以来こっち方面に行った事は無い。
【探知】で調べると、遠い所に邪生を感知したので急行し、【浄化】して血抜きをしたら収納する。こっちの方面にも邪生が生まれているのは、やはり小競り合いの影響だろう。
今のバロッサは帝国との争いで相当のダメージを受けているが、かといって致命傷を受けた訳じゃない。国民を犠牲にしてでも回復しようとしているので、隣国であるマールが余計に迷惑を受けている。
元々自分達で蛮族国家を標榜するぐらいの国だ。国民を犠牲にするなんて事を平気でする。普通は国民が立ち上がり蜂起したりするものだが、その国民がダメージを受けていてそれどころじゃない。
つまり、国家としてのダメージコントロールには成功している訳だ。それが難民を生み出している原因でもある訳だが、そもそも2方面と揉めている為に助けはどこからも来ない。その事をバロッサの上層部も理解している。
だから難民を押し付けるなんて発想をするんだろう。更に国家の規模が縮小しそうだが、バロッサの領土は小さくしていけばいいと思う。バロッサの国民を追い立てる形で国の規模を小さくできる筈だ。
マールと帝国が手を組んで、そういう方向で潰していく気がする。あくまでも俺の勝手な想像だが……。おっと、邪生が居たな。それもオークの邪生か……久しぶりだが、さっさと【浄化】しよう。
血抜きをして収納したら王都に帰る事にした。小競り合いがあった場所だから邪生が発生しているが、こんなものは発生しない方が良い。とはいえ莫大な量の邪気もあるし、それは無理な話か。
王都に入り宿の部屋に窓から入る。今夜は邪生の心臓2つか。向こうも勾玉で【浄化】したし、そろそろこの辺りの邪気も薄くなっただろう。バロッサは知らん、自分達で何とかしろ。
下らない事を考えてないで、そろそろ寝よう。今日も一日お疲れ様でした。
<異世界480日目>
おはようございます。今日は火の季節最後の日ですが、いつも通りの快適な室温です。今日でキューレの身体強化の練習は終わりそうだけど、その後はリンデ達を探さないといけない。変なところへ行ってなければ見つかると思うんだが……。
リンデ達もいろんな所へ行ったり出来るようになったからなぁ、何処に行ったか分からないって事も覚悟しておこう。
「「「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャ~」
「今日もアタシ達はゆっくり休もうか。適当に練習しながら休んでれば疲れも完全にとれるだろうしね。魔法の同時発動を連続で使うと、頭と心があそこまで疲れるとは思わなかったよ」
「正しくは脳と精神ですか? そこが疲れると、思っている以上に気分が上がらないんですよね。ボーッとする事も多いですし、午前中は大体そんな状態でした」
「そうね。私も慣れたとはいえ、限界まで振り絞るとそうなってしまうわ。だからこそ純魔の子には止めた方が良いとハッキリ言えるのよ。シャローは元々そうだったみたいだけど……」
「そういえば、あの子は元々そうだったね。主様が色々教えたし、本人も純魔に戻る気は無いだろうさ。手数が増えるのは良い事だし、やれる事が増えるのも良い事だよ」
俺は片付けを終えるとキューレを呼んで来ると言って部屋を出る。キューレの部屋に行きノックをして声を掛けると、中からキューレが出てきた。食堂に行く前に俺達の部屋に来るように言うと、そのまま部屋を出てついてくる。
準備は出来ていたようなので連れて行き、部屋に入るとアイテムバッグから邪生を取り出す。それを見た瞬間に何をするのか理解したらしく、ジト目で見られた。本人的には1回で十分だったのだろうが、そうはいかない。
キューレは長い溜息を吐いた後、諦めて黙々と心臓を食べ始めた。周りで見ている女性陣も何かしらの変化を期待していたのだろうが、キューレが2つの心臓を食べても魔力と闘気の増量以外に変化は無かった。残念。
2つの心臓でお腹いっぱいになったのか、「朝食は食べられません」と言って部屋に戻ってしまった。なので俺達だけで食堂に行き、大銅貨10枚を支払って朝食を注文する。
席に座ると直ぐに運ばれてきたので、落ち着く暇も無く朝食を食べて宿へ。皆とは玄関で別れ、俺はキューレの部屋に行って声を掛け、昨日と同じく中庭で練習を始める。
洗濯物の【乾燥】を行いながら練習を続け、昼になったので食堂に行く。皆にも【念話】で声を掛けていたので一緒に行くと、食堂に着いた辺りから雨が降り始めた。季節の変わり目だからしょうがないと言えるか。
大銅貨10枚を支払い朝食を注文したら、席に座ってゆっくりと待つ。今日の昼はカレーピザらしいので、ゆっくり味わいながら皆と雑談をする。
「……という事は、既に練習は終わりと言っていいのかい?」
「まあ、そうだな。朝のアレが効いているのか、走る事に関しては特に問題無いだろう。戦闘に関してはまだまだと言えるが、少なくともついて行く事が可能なんだから、後はゆっくり学んでいけばいい」
「あの子達に教える事が出来るのでしょうかね? 何と言いますか、フィーリングで教えそうな気がしてなりません。ザラがフォローしてくれれば良いのですが……」
「確かにあの子達、どちらかと言うと感覚派だもの……。エイルズは言うに及ばずリヴィも実は感覚派だし、困ったものねぇ」
教えるのに向かないなぁ……シュラじゃないが、ザラに期待しよう。
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1029終了時点
大白金貨20枚
白金貨114枚
大金貨851枚
金貨968枚
大銀貨975枚
銀貨1185枚
大銅貨1812枚
銅貨291枚
神木石の浄化槍
神石の浄化剣
神木の浄化棍棒
神木の浄化盾
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




