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キューレの革鎧を女性陣に外させた後、邪生の心臓の効果とその危険性について女性陣が教えている。特に同じ女性にバレると洒落にならない事、王族だろうと拷問してでも聞きだそうとする事を説明すると、顔が真っ青だ。
同じ女性だからこそ分かる怖さというものがあるのは間違い無い。とはいえ魔力や闘気の増強効果や肉体の強化を考えると、食べないという選択肢は無いし、リンデやリヴィも食べている。
ここでキューレが食べないと2人との差がずっと出てしまう事になり、4人のお荷物になるのも事実だ。食べていない者が、食べている者に勝つのは難しい。それほどの差となる。
そういう説明の後に残りの2つを食べさせたのだが、変化は特に無かった。どうやらAからCへの変化だけだったらしい。魔力と闘気の強化はされているが、本人的にも違いが分かりやすい方が嬉しいのだろう。
邪生の心臓3つでお腹一杯らしく、俺達が昼食を食べていても欲しがる事は無かった。コップに神水を入れてやったので、今は飲みながらゆったりと寛いでいる。鎧は既に手直ししたのだが、今はまだ着ける気が無いらしい。
「気持ちは分からなくもないけどさ、胸を触りながらニヤケるのはどうなんだい? 王族のしていい顔じゃないと思うけどねぇ……」
「い、いえ! そんな事はしておりません! ……し、していませんよね!?」
「無意識でやっているのでしょうかね? リンデやリヴィも喜んでいましたし、私も気持ちは分かりますが……。外でその様な事をするのは止めておきなさい」
「う……はい、分かりました」
「まあ、いきなり大きくなったから嬉しいのは分かるけれども、3日もすれば普通になるわ。それよりも魔力と闘気が増大した事の方が重要よ。アルド、身体強化を教えるのでしょう?」
「ああ。移動の事も考えて身体強化を教えておきたい。キューレは後4日宿に泊まれるから、その日数で何とか移動だけなら教えられると思う。魔力と闘気の感じ方は今の内に教えるけどな」
そう言って昼食を終えた俺は、キューレに魔力と闘気の感じ方を教えていく。少なくとも多少の魔法が使えるからか、そこまで苦労する事もなく魔力と闘気の2つを感じとった。
後は循環させるのだが、そこも特には問題も無くサラっとやったので、ダンジョンの中では循環をし続ける様に言っておいた。途中で途切れても繰り返し行い続け、循環を維持し続けるのが目標だ。
全員の昼食が終わり、後片付けを終えたら出発する。次は西なので森の中を進んで行き、転移紋を探していく。ディルも【探知】を使っているので2重チェックが出来ており、不意打ちは殆ど受けない状態になっている。
そもそも【気配察知】が使えるので不意打ちは受けないのだが、警戒態勢がより強化されたのは間違い無い。見えていない魔物をあっさり倒していく俺達に驚いているので、そんな説明をキューレにしておいた。
16層~18層、19~21層、22~24層を攻略し、次は25層目なのだが、そろそろ夕方が迫っている。まだ続くようなら一旦脱出して、身体強化を教えた後に再び挑戦という形にしよう。
既にキューレを背負って走り抜けて来ているので、これ以上のスピードアップは最初から身体強化で走り抜けるしかない。そんな事を考えながら転移紋に乗り25層へと進む。
光が止むと、目の前には草原が広がっていた。【探知】には1つしか反応がなく、【空間把握】ではそれが王角竜だとハッキリ認識出来ている。久しぶりの竜だが、敢えてリューとエリアにだけ戦わせよう。
「皆、ここが最奥だ! 敵は王角竜1頭。リューとエリアが前で戦え! 残りはサポート!!」
「「「「「「「「了解!」」」」」」」」
素早くリューとエリアが前に出る。2人の装備は決して悪い物じゃないが、王角竜の攻撃は絶対に回避する様に言っておく。体重差でどんな装備をしていようが潰される。なので防御を選択するのは死と同じだ。全力で回避するしかない。
俺が初めて戦った時に助かったのは、神様から与えられた肉体だった事と、派手に吹き飛んだからだ。防御して耐えようとしていたら、間違いなく体重で轢き殺されている。とにかく大きい奴の攻撃はかわすしかない。
リューとエリアが戦っているが、エリアが斧で顔の横を攻撃した隙を狙って、右前足をリューが半分ほど剣で切り裂いた。物凄い絶叫を上げたが、効いている証拠なので更に攻める。
身体強化と武器強化を全力で使って何度も斧で攻撃した結果、左前足も切り裂かれ身動きが殆ど出来なくなった。最後にリューが王角竜の頭に剣を突き刺したのが決め手となり、無事に倒せた様だ。血抜きをしてバッグに収納しよう。
「凄いですけど、何故皆さんで戦わなかったのですか? 皆さんで戦えば、もっと安全に勝つ事も出来たでしょうに……」
「そりゃ出来たけどねぇ、竜と戦うなんて貴重な経験なんだよ。ダンジョン最奥に来たからといって、必ず竜が出てくる訳じゃないんだ。アタシ達は何度も戦った事があるけど、それでも貴重な事に変わりはないのさ」
「そもそも勝てないならばアルドがさせませんよ。アルドがリューとエリアで戦うように言ったという事は、2人の実力で勝てるという事です。現に勝ったでしょう?」
「それに、私達の中で最初に竜に勝ったのはアルドだし、その時は1対1で勝利したのよ? しかも今よりも装備が悪い時に。アレだけ良い装備を持って、そのうえ実力もよく分かってるのなら、2人で勝てるから言ったという事になるわ」
「………」
「納得は出来ないのだろうけど、それは君と私達の強さが違うからさ。君の実力では全員で団結すべきなんだろうけど、私達の実力では2人で十分となる。その認識の違いは仕方がない」
「少なくとも、文句を言える立場ではない。私達は私達であり、キューレはキューレだ。1人の傭兵である以上は、私達に何かを命じる事は出来ない」
「そんな事は考えていません!」
「それじゃあ、納得出来ないって顔を止めようか? 僕達の事を決めるのは僕達であってキミじゃない。僕達のサポートだって、いつでも入れるようにしてたしね」
「そうですね。だからこそ2人で勝てて良かったです。勝てないと実力不足という事になりますから、そうならずに済んでホッとしていますよ」
「そうだね。最初は竜って事でちょっとビビってたけど、リューが右の前足をやってくれてからは特に怖く感じなくなったね。竜って特別な感じしてたけど、勝てない訳じゃないって分かったし。ただ、物凄く硬かったけどね」
そうそう、そうやって勝てるんだと思える事が重要なんだ。調子に乗るようだったら引き締めるけど、成功体験は思っているより大事だからな。皆で倒しても、そこまでの成功体験は得られない。
今回は2人だけで倒したから、より大きなものになっただろう。上手く2人が交互に気を引いていたし、チャンスと思ったら一気に攻めた。そういう意味でも上手くいった戦いだったな。
後は向こうの方に置いてある中型のアイテムバッグだけ取ってこよう。俺は皆に一声掛けてからアイテムバッグを取りに行く。皆の所に戻る前に調べると、中には長めの柄の鉞が入っていた。
何故か神銅で出来ているが、コレはエリアに持たせろって事ですね、分かります。中型のアイテムバッグはキューレに渡した分が戻ってきたと考えれば、俺が持っていっても問題あるまい。
皆の元に戻り、アイテムバッグの中にあった鉞をエリアに渡す。エリアは柄が1メートルある鉞を片手で振りながら、盾を構えて動かしている。一言も発さないが、どうやら気に入ったらしい。
さて、そろそろ脱出しようと思うんだが、キューレはいつまで拗ねているんだ。心配したのは分かるが、余計なお世話というものも世の中にはあるんだぞ? もちろん声に出しては言わないが。
言うと余計に臍を曲げそうだし。
▽▽▽▽▽
1027終了時点
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白金貨114枚
大金貨851枚
金貨973枚
大銀貨975枚
銀貨1185枚
大銅貨1872枚
銅貨291枚
神木石の浄化槍
神石の浄化剣
神木の浄化棍棒
神木の浄化盾
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




