1024
傭兵にとって音の鳴る鎧は厳禁であり、どうしても音の鳴る鎧を着る場合には必ずそれをフォローする人員を配置する事。
魔物やダンジョンモンスターは音を聞きつけると襲ってくる可能性が高く、騎士や兵士ならばともかく少数で戦う傭兵にとっては何も良い事など無い。
そういった傭兵にとっては覚えておくべき事を1つ1つ丁寧に教えていく。そもそも大量の兵士で敵を叩き潰せるし、音を立てても大量の人数が居て魔物があまり近寄ってこない軍と同じじゃない。
傭兵は少数で戦う以上、音を立てるというのはエサの場所を知らせる事にしかならない。魔物やモンスターに襲って下さいと言っている様なものであり、だから命を狙われてるのかと言った訳だ。
そこまで説明すると、初めて自分が着けている鎧に危機感を抱いたらしい。そもそもソードグリズリーを筆頭に鉄を容易く切り裂く魔物が居る以上は、重くて五月蝿い鎧に価値などあまり無い。
それなら革鎧を着て、身を守る為の盾を持った方が遥かにマシだ。回避に自信が無いなら守ると言うより、いなして流す為に盾の技術を磨いた方が良い。その方が命は守れる。
それらの説明を4~6層の間に教えていたんだが、俺達と違って体力が無いのもあって段々と呼吸が荒くなってきた。特に王妹の呼吸が荒く、体力が無いのがよく分かる。鉄の鎧なんか着てるからだ。
体力が無くなれば逃げる事も出来ずに喰い殺されるだけだぞ。そう言うと、王妹は真剣な表情で聞いているが、騎士は鬱陶しそうにしている。駄目だなコイツ等は、何の役にも立たない。
皆と【念話】で話し、コイツ等を連れて深層まで行く事に決めた。如何に自分たちが役に立たないか教えてやろう。
俺達は王妹に鎧を脱ぐように言い、それが終わるまで待つ。そんな重い鎧を着けたままでは体力が直ぐに無くなる等と説明し、それを王妹が認めた。何だかんだと言って重かったのだろう、脱いだ後は晴れやかにしている。
そのまま7層へと進むと、そこは海だった。まだ昼ではないので無視して南東へ。7~9層も過ぎて、次は10層だ。今度は疎らに森がある層だったが、ここも気にせず南へと進む。途中で出てくる魔物は全て魔法の練習台だ。
同時発動の魔法を連発しているからだろう、バカ騎士どもは押し黙ってしまったが今さら遅い。自分達の無様さを精々知ってもらおうか。その前に昼食だけどな。
脱出紋から少し離れた所で椅子とテーブルと焼き場を作り、リューとエリアに手伝ってもらってチャパティを作る。メルとフォルはスープと具作りだ。具はいつもと変わらずミンチと冷凍野菜になる。
チャパティを作りながらダナ達に焼き場で焼いていってもらい、焼きあがったチャパティに具を挟んで食べる。いつものタコスモドキだが、今日は味噌味のミンチ肉にしてある。
王妹は食べ方が分からなかったが、ダナ達が食べて見せた事で同じ食べ方をし始めた。それに大して騎士がゴチャゴチャと言っていたが、もはや王妹でさえ無視している程だ。さすがにバカ共だと理解できたらしい。
そいつ等は昼食を持って来ていなかったので驚いたが、俺達の食料を与える気は無い。そもそも何があるか分からないのだから、1食分くらいは保存食を持ち歩くのが当たり前だ。危機感も無いのか。
「グッ、グヌヌヌヌヌ……」
「気に入らんというのは分からなくもないが、王妹殿下を危険に晒していたという反省も無いのかよ。コイツ等は本当に近衛の騎士か? 王族より自分達のプライドが先かよ」
3人の内2人はハッとした顔で王妹を見たが、ずっとこっちを睨んでいる男だけは変わっていない。原因はコイツか? 選民主義というかエリート主義というか、それしか縋るものが無いんだろうな。
その言葉を聞いて、王妹も冷めた目を向けている。他の騎士2人は女性なんだが、その2人も冷めた目を向け始めた。更に俺を強く睨んでくるが、たかがその程度で怯えるとでも思っているのだろうか?。
鼻で笑いそうになったが、昼食が不味くなるので止めておく。仕方ないので女性騎士2人には焼いた海産物とかを振舞ったのだが、猛烈に喜んでいる。王妹も。
……お前さん、まだ食うのか?。
「その王妹と言うのを止めてもらえませんか? 私は既に傭兵になっているのですからキューレと名前で呼んで下さい。そもそもリンデリア王女の事を名前で呼んでいませんでしたか?」
「リンデに関しては本人が強く言ってきたからなぁ……。俺としては面倒なんで王女とか呼んでたんだが、妙に嫌がるんだよ。王女なのは事実だろうに」
「それはそうですが、王妹と呼ばれても、それは私ではなく別の誰かだとしか思えないのです。兄上が王となられた以上は、私が居ては邪魔にしかなりませんし、1人の者として扱って下さい」
「それは良いけどさ。リンデもリヴィもアンタも、どうして王族の女は傭兵になるんだろうね? 気持ちは分からなくもないけど、政略結婚だって必要な事なんだろう?」
「ええ。それは、そうなんですが……私は亡くなった兄に狙われた事もありますし、隣は蛮族国家であるバロッサです。私が残れば国の弱点になりかねない……そう思うのです」
「分からなくもありませんが、よく王が許しましたね。いえ、香辛料の事もありますし、一本化した方が良かったという事ですか……」
「ええ。そういえばシャローは元気でしょうか? 彼女が去った後の魔法士団も頑張ってはいるのですが、なかなか上手くいかない様で……」
「元気と言えば元気なのかしら? 子供を作るのに家を建てたのだけれど、ミレイアよりは一歩引いてるわ。たぶん魔女族だから子供が出来難いと思っているのでしょうね。色々使ったり食べれば確率は上がるんだけど……」
「そ、そうですか……。シャローの居たディーザル家は長女が継ぐ事で纏まった様ですが、香辛料の利権関係でまだ微妙に揉めているらしいと聞きました。本当にシャローは家を出て正解だったと思います」
そんな話をしながら椅子やテーブルに焼き場を壊して綺麗にしておく。バカ騎士だけは何も食べていないが、完全に自業自得なので誰も気にしていない。嫌なら帰ればいいのだが、それでは職務が果たせない。なので必死に我慢している。
俺達はそんなバカ騎士を無視して先へと進んで行く。現在は10層に着いて直ぐだ。食事をしている最中に何人か近寄って来たが、こちらを見た後に直ぐに離れたので危険な奴等ではなかったのだろう。
ここからは南の筈なので南に向かって進み、転移門を発見したので11層へと進む。11層、12層と進んで行くも、未だ狩りらしい狩りをしていない。キューレと女騎士2人はその事に疑問を持っている様だが黙々と進む。
13層は再びの草原だったが、出てくるモンスターはスマッシュボーアにブラウンベアとなっている。この辺りなら魔法の的にしやすいだろう。
「ようやく魔法の練習がしやすそうな層に着いたな。あまりにも的が脆弱だと役に立たないから、ここに出てくる程度の耐久力は無いと困る」
「あの……あれはスマッシュボーアだと思うのですが……? あの魔物はそう簡単に勝てる様な魔物ではないような……」
「アタシ達にとっては大した事ないね。そもそも大森林の近くにあるルーデル村がホームだけど、近くにある山にはスマッシュボーアが普通に出るしね」
「あそこはそもそもレッドパンサーやウィンドディアーにソードグリズリーまで出ますからね。並の傭兵では近付かない場所です」
「ソードグリズリー……」
「ええ。アレの爪は鉄の鎧を簡単に引き裂くわ。アルドが鉄の鎧に意味が無いと言う理由ね。近くの森だと鉄蟷螂も出るし、音が鳴って防げもしない鎧に意味は無いのよ」
ま、当たり前の事だ。
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氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
神石の勾玉
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王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
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