0101
貴族の屋敷の勝手口から侵入した。食堂の隣にあるキッチンだ。この時代だから竈だし冷蔵庫とかは無いので、現代人がイメージするようなキッチンじゃないけど。
【無音動作】を使っているが、防音の魔道具を使えばいいと思ったら大間違いである。あの魔道具は動いている状態では使えないもので、今の状況では役に立たない。
防音の魔道具は安定した場所に設置し、魔道具本体も安定していて初めて効果を発揮する。似たような効果の技はあって【止音】というのだが、かなり面倒な技なので使いたくない。
いちいち自分で音の波が広がらないようにしなければならず、使わなくても大丈夫だろう。凄く大変な修行だったにも関わらず、あんまり使えないという腹立たしい技なのだ。
思い出してムカつきながらも【空間把握】で調べていく。屋敷の中に入った奴等は1階の奥にある部屋に入った。扉の近くに行き、【空間把握】で中を窺う。
「で、ワシを愚弄したクズどもの首はどうした!?」
「今はまだ監視にとどめています。直ぐに殺害した方が良いので?」
「当たり前だ、さっさと始末してこい! キサマ等はそれしか出来んのだろうが!!」
「……かしこまりました」
「ふんっ! 所詮王都に巣食ってるだけのウジ虫どもが! 何が<死神の手>だ、名前だけの役立たずどもめ!」
んー? こいつって確か……。思い出した! こいつ伯爵家の先代じゃないか!? という事は、ここは伯爵家の屋敷なのか。……で、このゴミが暗殺組織か何かに依頼したってワケね。
さっきの暗殺者達は出て行ったな、だったらこのゴミはとっとと始末するか。俺はナイフを抜いて部屋に侵入し、相手が認識するよりも早く首を刺して捻った。
「グボッ!? ……ゴッ……ガッ!」
「どうだ? 自分を愚弄したとか抜かしてた奴に殺される気分は?」
「!? ……グッ……ブッ……ガヒュ」
「心配すんな、お前の首なんぞ金に換える価値も無い。適当に【粉砕】して捨ててやるから感謝しろよ?」
「!? ……ゥ………ェ………」
死んだな。さっさとアイテムバッグに入れて屋敷から離れよう。血の跡は浄化して綺麗にし、あのゴミは居なかった事にしておく。さーて、さっきの奴等はドコ行った?。
俺は屋敷を出て先程の2人を追っていく。どうやら王都のスラム街に拠点があるようだ……おっと、随分と念入りに追跡者を確認するんだな。
ふ~ん、あそこが入り口か……丁度良い、入る前にあのゴミの死体を捨てて行こう。俺はゴミの死体を取り出して裸にした後、丁寧に【破砕】して【粉砕】し穴に埋めて浄化した。
侵入を開始するんだが、驚いた事に王都の暗殺組織は地下に拠点を作っている。建物の中に地下に続くハシゴがあって、それを下りると拠点に続いている道がある。
1本道だが左右に小部屋が多くあり、そこに常駐している奴が5人ずつ居る。多分、拠点を守っている奴等で、この道を塞ぐ役目もあるんだろう。
右手に小烏丸、左手に戦斧という変則二刀流で暗殺者を殺していく。首を斬り、頭をカチ割りながら進んで行き、50人以上殺害してやっと最奥に辿り着いた。
最奥の部屋には、その後ろに脱出用の通路がある。あそこから逃げられると面倒だな、一気に行って殲滅が1番良い。俺は前回と同じくドアを蹴り破って中に入る。
1人ドアの下敷きになったが後でいい。1番奥に居る組織のボスっぽい奴の足を刺し、残り2人の頭を戦斧でカチ割る。ドアごと倒れた奴を刺し殺たので、ボスと話を始めよう。
「お前さんが<死神の手>とかいう暗殺組織のボスか?」
「テ……テメェ、何者だ!? ……グゥッ!」
「俺の質問に答えろよ。ここにはお前しか生き残ってないんだからさ?」
「は!? ま……まさか……。ドコの者だテメェッ!? グァッ!」
「人の話は聞けよ? 余計な傷を負うだけだぜ?」
「テメェ……何が目的だ? こんな事をしてどうなるか分かってんのか? グゥッ!!」
「人の話を聞けよ。お前が暗殺組織のボスか? と聞いてるんだがな?」
「クソがっ!! そうだ、俺が死神の手のボスをやってる! それがどうしたっ!」
「お前等は伯爵家の先代から仕事を請けたな?」
「クソッ! テメェが標的か!? しくじったのかバカどもは!?」
「しくじったも何も、あのアホ伯爵も、お前等も、皆殺しに決まってるだろ?」
「はぁ? 正気かテメェ!? ここに居る奴等だけだと思ってんのか? 俺等の組織を舐めるんじゃねえぞ!」
「舐めるも何も、次に手を出してきたら、また皆殺しにすれば済むだろうが。そもそも誰を標的にしたか分かってるのか?」
「あぁ? 男1人と女3人、後はよく分からねぇペットだろうが?」
「マジでバカだな、お前等? <剣の踊り子>と<血狂い>を標的にしておいて、本気で勝てると思っているのか?」
「は?」
「は、じゃねーよ。本気で勝てると思っていたのか? あまりに頭が悪過ぎるぞ」
「<剣の踊り子>と<血狂い>だと!? ふ、ふざけんじゃねー! 皆殺しにされちまうだろーが!?」
「お前しか残ってないし、そこの裏に隠し部屋と逃げ道があるのは分かってるからな?」
「なっ!?」
「な、じゃねーんだよ。最初から分かって踏み込んで来てるんだよ、俺は」
「ク、クソッタレ……。何でこんな事に。あのクソ貴族の所為で……」
「そうだな。まぁ、心配すんな。あのゴミはとっくに始末して、ここの入り口近くに捨ててきたからな」
「テ、テメェ! 俺達におっ被せる気か!?」
「いーや。死体は【粉砕】して穴に埋めたから、誰にも気付かれないままだ。あのゴミに相応しい末路だろ?」
「………ま、まさか。俺もか?」
「お前も、じゃなくて。お前等全員がそうなる。少し前に<死の影>とかホザいてる奴等も皆殺しにしたが、バカどもは同じ反応だな」
「な!? アイツ等が潰されたってのは本当だったのか!?」
「俺達の組織を舐めるな、とか言ってたが<死の影>とか言う奴等の事だったのか?」
「ゥ………グ……」
「アホらし。とっくに潰したぞ、あんなザコども。俺達に手を出して生きていられる筈が無いだろうに」
「クソッ、クッソーッ! テメェだけでも……」
「死ね」
他に仲間が居ない事が確認できたので、さっさと始末した。隠し部屋を調べると金の入った袋と隠し金庫の中の物、更に仕事内容を書き記した木札があったので全て回収する。
手前に戻り、死体を【粉砕】しながら装備品などを回収。一部屋ずつ丁寧に浄化していき、痕跡と邪気を消していく。最後に隠し通路から脱出して、宿に帰還した。
それにしても、今日1日は特に長く感じるな。回収してきた物を調べるとするか……えーっと、何でこんな物があるんだ? これ王城の見取り図だろ? アイツ等は何を考えてたんだ。
侵入するだけじゃ……? 何だこのマーク? 宝物庫? 成る程、盗みに入る予定だったのか。盗みに入って……? 何で呪われた物を盗もうとしてたんだろうな? 訳が分からん。
盗むリスト6点の内、4点は呪われた物だ。呪剣、呪槍、呪杖、呪鎧。他の2つは……、金塊と宝石? 普通だな……。呪物だけが明らかに浮いている。
何かの仕事なのか、何かの仕事に必要なのか……。殺した以上もう分からないが、ライブルに会ったら渡しておくか。金の入った袋は大金貨7枚と金貨16枚だった。
隠し金庫の中に入っていた袋の中には、短剣と木札が入っていた。木札の内容は呪いの短剣の使い方が書いてある。簡単に言うと、傷つけた相手を呪い殺す短剣らしい。
俺は【呪術】を使えないが、明らかに強い呪力を感じる。このまま放置は出来ないので全力で浄化しよう。【浄化】の権能5つをフルに使い、全力で浄化する。
集中して浄化し続けると、ドス黒い色が抜け落ちて黄金色に……? これオリハルコンじゃないか!? ……マジかー。……うん、見なかった事にして寝よう。
おやすみー。
▽▽▽▽▽
0101終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨7枚
金貨46枚
大銀貨35枚
銀貨15枚
大銅貨13枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
剣熊の爪のサバイバルナイフ
風鹿の角の十手
二角の角の戦斧
二角の革の帽子
剣熊と銅亀の革鎧
剣熊の骨の半篭手
剣熊の革の指貫グローブ
剣熊の革の剣帯
剣熊の骨の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
剣熊と銅亀のブーツ
大型のアイテムバッグ