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 斜め方向、つまり北東、北西、南東、南西から此方に向かってくる。


 最後の鋼鉄蟷螂を倒しても油断無く構えていると、それぞれの方向から姿を現したのは6本腕の蟷螂だった。そのうえ高さは2メートルほどもある。


 足が太くノシノシと歩いてくるが、コイツもしかして今までで1番弱いのでは? ……俺達は互いに頷き合うと、一斉に魔法を撃ち込んでいく。ノシノシとしか歩けず回避も出来ない。そのうえ、飛ぶ事も当然出来ない。


 つまり6本の腕を生かす方法が無いのだ。鈍重な奴は、余程の防御力がないとボコられて死ぬだけである。それが戦いなんだが、体が大きく腕が増えれば強い訳じゃないという事をシステムは知らなかったんだろうか?。


 皆は見た事が無いって言うし、腕が6本もあるからか重さが前に寄ってるし、でもノシノシとしか歩けない。なんと言うか、失敗作が出てきた感じがするんだよなー……。うん、皆も同じ気持ちの様だ。


 今回の蟷螂が失敗作なのはいいんだが、もしかしてシステムは新たな魔物を作り出そうとしている? ミノタウロスやケンタウロスなどダンジョン固有のモンスターは居るが、新たに作るなら美味しいヤツを期待したい。


 その方が傭兵も喜ぶだろうし、沢山入って持って帰るだろう。美味い物が食べたいのは人の性だからなあ。やはり欲望を刺激する形で煽っていくのが1番だ。いつの世もそれは変わらない。


 鈍重な6本腕も始末した結果、戦闘は終わったのだが死体が酷い事になっている。皆には近寄らない様に言い、【浄炎】で焼却処分をしていく。たまに生きていたハリガネムシが暴れるが、気にせずドンドン焼いていこう。


 その御蔭で15分ほどで全ての焼却が終わった。やれやれ、少しでも邪気を減らすにはコレが1番なんだけど、無駄に魔力も精神力も消費するんだよな。元気が残っているメンバーに話し、この層に落ちている物を取ってきてもらう。


 もちろん俺も分かっている物を取りに行き、手に入れたら戻る。リューとエリアに取りに行ってもらったんだが、2人とも言った通りの物を取ってきてくれた様だ。2人に頼んだのはアイテムバッグだ。


 中型が1つと大型が1つ。それぞれ取ってきてもらったんだが、大型はエリアに使わせて、今使っている中型を回収する。俺が取って来たのは盾なんだが、何故かポツンと置いてあった。


 木に立てかける様にして置いてあったんだが、完全にタワーシールドだ。でも、何故か浮木のみで作られている。浮木というのはとても軽い木の事で、強度は普通の木と変わらないのに、それに反して非常に軽いという変わった性質の木だ。


 その浮木で作られている為、非常に軽いタワーシールドとなっているが、どう考えてもこれは素材だと思うんだ。つまり、ここに手を加えて軽くて優秀な盾を作れという風に神様が、



 「あたしのアイテムバッグから出して新しいのに入れてたんだけど、新品のヤツにこんなのが入ってたんだけど?」



 エリアから見せられたのは、なんと神鉄のインゴットだった。……コレは、そういう事なんだろう。きっと。


 俺はエリアから神鉄の杖と神鉄のトンファーを受け取り、素材に戻した後、インゴットと共にタワーシールドを完成させる。表面は神鉄、それ以外は浮木と革というタワーシールドが完成した。その大きさは縦に2メートルもある。


 エリアの身長と同じほどの盾が気に入ったのか、エリアは先ほどからタワーシールドと戦斧を構えて御満悦だ。盗賊時代も手斧などを使っており、元々斧の扱いには慣れていたらしく1番しっくりくるらしい。


 これからは斧オンリーでもいいだろう。タワーシールドを持ったので、どちらかと言うと前衛でタンクをさせた方がいいかな? 後で本人の好みをもう1度聞いておこう。


 よし! それじゃあ休憩も終わりにして、そろそろ帰るぞー。


 地面に座っていた皆もゆっくりと立ち上がり、脱出紋に向かって歩いて行く。リューとエリア以外は魔力を振り絞る結果になったので大変だっただろう。それでもラッシュ時でなければ得られない経験もあるからなぁ。


 今回の蟷螂ラッシュも良い経験になったろう。あれが兵士や騎士と考えれば、間違いなく経験しておいて良かった。妙な奴等に襲われてからじゃ遅いし、どこまでの敵なら相手に出来るか分かったからな。


 今回の結果を踏まえて無理な事はしないだろう。何となく自分なら大丈夫だろう、なんていうのが1番怖い。それも蓄積したデータから言っているならまだしも、大抵は根拠の無い妄想だ。それに命を懸けるなんて正気の沙汰じゃない。


 だからこそ、今回の事を踏まえて正しく対処してくれると思う。自惚れている訳じゃないが、俺が居ない時に何かあると危険だからな。出来るだけ逃げてもらいたいのが本心なんだが、ウチの女性陣は血気盛んだから手を出す側なんだよ。


 解体所で皆が獲物を売るのをボーっと見ながら考え事をしていたが、イマイチ上手く纏まらない。皆が冷静に対処してくれたらいいなー……というぐらいか。皆が無理に戦わない事を祈るしかないな、これは。どうせ届かないだろうけど。


 解体所での売却を終え、傭兵ギルドに行き手続きを行う。リューとエリアだけ別にしてもらったが、そのおかげか2人の傭兵ランクは1つずつ上がった。


 エリアは実力とランクが合ってないと受付嬢に言われたが、そんな事を言われても困ると返しておく。そもそも実力者が登録し直す事もあるんだから、実力とランクが合わない事もあるだろうよ。


 納得がいかないまま、傭兵ギルドを出て食堂へと向かう。中に入り大銅貨10枚を支払ったら、席に座り神水の小樽を出してダリアの水皿に入れてあげた。それが終わったら中身をキンキンに冷やしてテーブルの上に置く。


 皆で飲みながら雑談をしていると、ちょっとした反省会になってきた。どうしても近接に偏ってるからな、ウチの女性陣は。



 「思ってるよりもアタシは役に立たなかったね。魔法も使えるんだけど、そこまで練習してないんだよ。囲まれて数の暴力に晒されると、やっぱり押されてしまうねぇ」


 「私も浄化魔法だけではなく、せめて初級魔法ぐらいは練習しておくべきですね。同時発動が5個ぐらい出来ないと、ラッシュを凌ぐ際には足手纏いにしかなりません」


 「そうね。2つや3つじゃ無いよりはマシとしか言えないわ。皆の場合、篭められる魔力は多く出来るのだから、後は同時発動数を増やすだけなのよ。まあ、それが大変なのだけど……」


 「それはね。でも、どこかで練習しないと駄目だよ。いきなりやってみても成功なんてしないし、仮に成功したって1度じゃ意味が無い。連続で成功し続けないといけないからね」


 「安定して5個同時展開か……。私も初級魔法ぐらいは使えるが、同時発動数を増やすような練習はしていないな。【念術】も一段落してきたし、今の内に弱点を無くしておくとするか」


 「僕は問題無いけど、5個以上出来て悪い事も無いから練習しようっと。【清潔】とか【微風】で練習しても問題無いところがありがたいよね。被害が出る様な魔法は練習し辛いからさ」


 「私はそれ以前の問題です。1つしか使えないと言うか、それが普通だと思ってましたので、見ていて凄いなと思っても自分が使える立場になろうとは思いもしませんでした。あそこまでお役に立てないとは……」


 「あたしなんて禄に魔法が使えないんだから、まだマシだよ。多少の魔法は教えてもらったけど、せめてもうちょっと何かを学んどくんだったね。殆ど役に立たなかったよ」


 「今までのラッシュに比べて、リューとエリアが居たからか魔物の数も多かったな。今回だけかもしれないが、最奥に辿り着いた人数でラッシュの数が変わるのかもしれない」


 「そうだとすると多数と戦う手段を確保しておかないとマズいね。知り合いを連れて行く可能性は十分にあるからさ。最奥が竜なら2頭以上は出ないけど、ラッシュは本当にマズい」



 確かにな。最悪、誰かが死ぬかもしれない。



 ▽▽▽▽▽


 1016終了時点


 大白金貨17枚

 白金貨72枚

 大金貨771枚

 金貨876枚

 大銀貨928枚

 銀貨1116枚

 大銅貨1116枚

 銅貨291枚


 神木石の浄化槍

 神石の浄化剣

 神木の浄化棍棒

 神木の浄化盾

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 神石の勾玉

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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