1015
気を取り直して16層を進んで行く。16層は海になっていたので、この層で昼食をとる事を皆で決めた。どうもこの層では砂浜は無く、崖ばかりになっていて海に近づけない地形になっている様だ。
俺は気にせずに海産物をゲットしているが、普通の傭兵は海に近づけないならさっさと進むだろう。そもそもこの層まで来れている傭兵がどれだけ居るのか謎で、この層に他の人間種を感じない。
俺達しか居ないと思える程ダンジョンモンスターしか感知しないので、おそらく居ないかここは通り過ぎるのだと思う。……良し、海産物が集まった。凍らせて持っていた海産物は捨てて、新しいのをアイテムバッグに保管する。
最後に小樽を出して中の神水を捨て、新たに水を入れたら神水に変える。これでやるべき事は終えたので、皆の下に戻りバーベキューをやろう。
椅子と焼き場を設置し、焼き網を置いたら準備は完了。残っていたデスボーアの肉も焼きながら、新鮮な海産物をどんどん焼いて食べていく。やはり新鮮な海産物は塩か醤油だけでいい。手持ちには魚醤しかないが、これで十分だ。
肉も魚介類も非常に美味しく、皆は堪能した様だ。俺は途中で食事を終えて海の近くに行き、同じ種類の魚を10匹ほど捕まえて絞める。腹を裂いて【浄化】したら、壺の中に魚と神水と塩を入れて蓋を閉じる。
後は全力で【発酵】を使うだけなんだが、上手くいく様に【生命活性】も使っておこう。2つの技を使って前回魚醤を作ったのと同じほど発酵させたら蓋をとって確認する。見た目にも完成しているように思えるので、さっそく処理を始めよう。
中身を【念動】で浮かせて、必要の無い部分を全て掘った穴に捨てる。中身の無い壺を綺麗に【浄化】したら、残った魚醤部分を壺に入れて保管する。試しに少しだけ取り出して、神水で薄めてから味わってみると臭味が一切無かった。
処理している最中も臭いが無かったので、恐らくは発酵させる前に多少入れた神水が影響しているんだと思う。臭味の無い魚醤が完成したものの、やっぱり俺以外作れないので再現性が無い。
作れない物を伝える訳にもいかないので、これからも俺達だけで楽しむ物になりそうだ。魚醤自体は当然この世界にも存在しているが、昔ながらの凄い臭いの物しかない。
皆の所に戻り魚醤の匂いを嗅がせると、殆ど無い事に驚いていた。凍る寸前の温度でアイテムバッグに収納し、全て片付けたら椅子と焼き場を壊して先へと進む。次は南西だろうからと進むと、予想通りに転移紋があった。
17、18層と進んで行き、19層への転移紋に乗った。光が止んで見えたのは、前回にもあった鬱蒼とした森だった。密度が濃すぎて木々が隣接するように立っているという、移動するのが面倒なだけの地形だ。
方角は北西だと分かっているので木に足を掛けて登ったり、木々の間を強引に抜けたりしながら進み、やっとの事で転移紋へと辿り着いた。20、21層と大変な思いをしながら進み、22層への転移紋に乗る。
次はマシな地形をと思ったら、密度が薄い森が多少広がるだけの草原だった。最奥でもない様だし、戦える魔物は居るけども地形が変だ。19~21層に比べて簡単すぎる地形な事が引っ掛かる。
そう思っていると、「ブブブブブブブ」という独特な羽音が聞こえてきた。ああ……。どうやらこの層に魔豊蜂が出るらしいし、今までとは逆に見晴らしが良くなっている。
「魔豊蜂には近寄るな! 冷却系の魔法で足止めをして、手の空いている者が仕留めろ!!」
前回はそれでも森の中だったから見なくて済んだけど、今回は見晴らしが良いのでハッキリと見える。そのうえ魔豊蜂も縦横無尽に動けるので、今回の方がヤバい気がするんだが気の所為か?。
俺を含めてメルやアルメアにフォルが強力にした【冷風】や【冷嵐】を使い、魔豊蜂を一気に行動不能にしていく。魔豊蜂を近くで見たリューとエリアは腰が引けているが、それでも必死に武器を振り下ろして倒している。
倒せていなくて不意打ちを喰らう等というマヌケを晒す訳にもいかないので、キッチリと止めを刺してもらった。虫系の殆どは冷気に弱いので、それさえ扱えるならば虫の魔物はそこまで強くはないと言える。
冷気系の魔法の難易度が高いとか、そんなに連発出来ないとかは言ってはいけない。下手だと消費魔力も高くなり余計に大変なので、何度も練習して制御を身に着ければいいだけだ。上手い者は普通の人間種でも戦闘で使える。
蜂自体は大して役にも立たない素材なので穴を掘って燃やすとして、魔豊蜂の蜂蜜を手に入れるなら奴等の巣を探さないとな。何処にあるのか分からないが、おそらく森の中だろうから【空間把握】で調べよう。
あっさりと巣は見つかったので皆と相談する。巣を殲滅に行くか、それとも面倒なので諦めるか。まあ、誰も諦めるとは言わなかったので、俺達は魔豊蜂の巣をゲットする為に巣を強襲する。
巣の方向に向かって移動するだけで魔豊蜂が襲ってくるが、全て寒さで動けなくして始末していく。リューとエリアも慣れてきたのか、黙々と倒す事に専念している様だ。近くの森に踏み込む頃には大半の魔豊蜂は死んでいた。
巣の中に残っている蜂や蜂の子も含めて完全に凍らせてしまってから、【念動】で一気に持ち上げる。余っていた樽を【浄化】してから蜂蜜を【抽出】して入れていく。中樽が半分以上蜂蜜で埋まったが、これでも普通ぐらいだ。
やはり前回ほど大量に採れる訳じゃないな。前は攻略者が何百年も出ていない状態だったが、1度出るとここまで量が減るんだという事は覚えておこう。蜂蜜をどうするか考えていると、後で女性陣は小樽を買ってきて均等に分けるらしい。
使い道があるのなら気にしなくてもいいか、俺は既に蜂蜜を持っているし作ったミードも無くなってない。余らせている有様だからなぁ、何だか申し訳ない気分になってくる。
もう魔豊蜂の巣は他に見当たらないので、さっさと先に進む事にした。魔豊蜂以外はソードグリズリーとかアサルトタイガーが居るだけなので、適当に狩りながら北東へと進み転移紋に乗る。
23層、24層で魔豊蜂の巣を1つずつ強襲して蜂蜜をゲットした。中樽1つが満杯になり、もう1つも半分溜まったが食べるのは帰ってからな。ここで手を出されても困るからさ。早く帰りたいのは分かるが少し待ってくれ。
ここまで来たらという事で皆と相談し、全員一致でこの先の25層に進む事になった。どうせ次が最奥だろうというのと、折角なら攻略していこうという考えからだ。北西の転移紋から進み、光が止むと密度の薄い森だった。
俺達が居る所は円形に開けている。どんな魔物か竜が相手なんだと思ったら、出てきたのは蟷螂の魔物の集団だ。どうやら今回は蟷螂ラッシュみたいで、一気に攻めて来る。
「蟷螂系の魔物のラッシュだ! 円陣を組んで対処するぞ! とにかく目の前の敵に魔法を撃ち続けろ!」
大蟷螂などは初級魔法1発で倒せるのだが、多くいる鉄蟷螂が邪魔だ。鉄蟷螂も魔法1発で沈むが数が多く、そのうえ他の連中の盾になるので面倒な事になっている。
後、この乱戦の最中ちょこちょことハリガネムシが出てきて悲鳴が聞こえてくる。ちなみに悲鳴を挙げているのはエリアだ。他のメンバーは聖王国のダンジョンで慣れているのと、リューは特に問題無いらしく動揺が見られない。
俺達は円陣を組んで対処しているが、俺が弾幕の薄い所の援護もしている。死力を尽くすには都合が良い状況なので頑張ってもらおう。
様々な魔法を使っては敵を倒し、燃やし、敵が死体を踏み潰して前進してくる。それらを魔法で倒していると、後ろからドンドンと押し寄せてくる。相変わらず厄介極まりないが、それでもいつかは終わる時が来る。
赤蟷螂や青蟷螂、あるいは4本蟷螂や鋼鉄蟷螂などが出てきたが、【探知】で確認してもそろそろ終わりだ。そう思っていたら、此方を中心に斜め方向に4体が新たに現れた。
どうやら、まだ終わらないらしい。
▽▽▽▽▽
1015終了時点
大白金貨17枚
白金貨72枚
大金貨771枚
金貨876枚
大銀貨928枚
銀貨1116枚
大銅貨1126枚
銅貨291枚
神木石の浄化槍
神石の浄化剣
神木の浄化棍棒
神木の浄化盾
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




