1014
<異世界474日目>
おはようございます。昨夜は邪生が出ましたが、朝起きたら居なかったので終わったのでしょう。そもそもあの邪生は勾玉で邪気を吸引した後に生まれたから、そこまで強い邪生ではなかった筈だ。それも分かっていたので昨夜はさっさと寝たんだよな。
あれぐらいに弱い邪生も珍しかった筈だし、昨夜の神官もさぞ楽だっただろう。拍子抜けしたんじゃないかね?。
いつも通りに部屋や体を【浄化】しながら昨夜の事を考えていると、妙に多い邪気を感知してしまった。昨夜、勾玉を使った筈だぞ?。
【空間把握】も使って調べると、そこは神殿で何人もが亡くなっていた。……どういう事だ? 昨夜の邪生は邪気を殆ど吸収出来なかった筈なので、そこまで強い邪生にはなれない。そこに間違いは無いんだが……もしかして、多くを殺して吸収した?。
最初のあの女が予想以上の邪気を抱えていたのなら、あの邪生の男が大幅に強化されたのも分からなくはない。とはいえ、そんな都合良く強化されるか? という思いもある。
運が悪いというか、邪生の運が良かったというか……。何だか妙な結果になったが、流石にそれは想像に無かったので仕方がない。更に言えば、俺が前に出て助けてやる義理も無いんだよ。
この町の事はこの町の者で何とかするべきだし、そもそも邪生が生まれたのは貴族の屋敷だ。領主の屋敷の近くにある貴族街で起きているので平民には全く被害が無い。それも合わせれば、やっぱり俺が関わる必要は無いな。
「「「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャア」
「アルドの表情と雰囲気が妙だね? ……昨夜、何かあったのかい?」
「鋭いな。まあ危ない事は全く無くて、単に邪生が出ただけなんだが……」
俺は昨夜の邪生と生まれたであろう原因。そして朝起きた時の神官の死体の数を皆に話す。それを聞いたウチの女性陣は、怒る者、呆れる者、溜息を吐く者、鼻で笑う者に分かれた。
「何と言うか、アルドの言う通りだね。運が悪いのか、邪生になった男の運が良かったのか……。どっちにしても、貴族が碌なもんじゃないのは本当に不変だねぇ……」
「本当に、頭が悪いとしか言い様がありません! 男の尻を女が掘って何が楽しいのですか!? 罰としてやるならともかく、自らの屋敷で抵抗出来ない様にしてやる事ではありませんよ! まったく」
「他者を虐める事に快楽を感じる者も居ない訳じゃないでしょうけど、邪生になるって事は拷問に近い事をやっていたという事でしょうね。何より、張り型が血だらけだったというのがね……」
「流石に私もそこまではやった事がないね。私が随分昔に使ったのは、お尻用の張り型だったし、怪我をしない様に気を付けてもいたんだよ。恥を掻かせるという罰だったから」
「言葉は悪いが、そこまでしなければ貴族の女も死ぬ事は無かったのだろうが、異常者がそんなところで治まる筈もないか……」
「無理でしょうね。どんどんとエスカレートしていくのが分かります。帝国でも、そういう貴族は秘密裏に消されていました。生かしていても得が無いからですが、そういう者は何故か後継ぎを作るのを嫌がるんです」
「後継ぎを作るのを嫌がるって、そんなおかしな話……ああ、そういう事か。後継ぎを作らなければ、自分の首を切れないだろうと思い込むんだね。……で、どっかから適当な奴を連れて来て継がせると……」
「ええ。帝国ではその一族の血に問題があったから、そういう風になるんだろうと考えられています。遠縁のまともな者を当主に据えて、一からやり直させるんですよ。だから後継者が変だと、”そういう事か”と思われるだけですね」
「血というより教育なんだけど、どういう風に歪むかは誰にも分からないからなぁ……。そこに関してはどうしようもない。貴族に平民の血が多く入るなら、それはそれで澱まないから良いんじゃないかな」
後片付けはとっくに終わってたんだが、ついダラダラと話してしまった。食堂に行き大銅貨10枚を支払って朝食を頼んだら席に座る。直ぐにカレーとパンが出てきたが、どうやらコレが朝食らしい。
朝からカレーかと思ったが、朝のカレーはマイルドで辛味は殆ど無かった。美味しく食べる事が出来たので、気分良く町を出て西にある木ダンジョンへと向かう。
ここで初めて魔豊蜂の蜂蜜を手に入れたんだっけ、懐かしいな。
今回はダンジョンの攻略に挑戦するものの、無理して攻略する気は無い。無理をした所で良い事は無いし、皆のストレス発散の為に来たようなものだ。必死になって攻略する事で逆にストレスを溜めたら本末転倒となってしまう。
迷宮紋に入り1層に転移すると、最初の層は平原だった。前回の木ダンジョンでも最初の方は疎らに木があるだけだったんだっけ? 周りを見ると木なんてどこにも無く、ただ平原が広がっているだけだ。
多くの新人傭兵や実力の無い傭兵達が、様々な魔物と戦っている様子が見える。その中を人の流れに乗り東へと進んで行く。ウサギ系の魔物は食べられるから戦うのは分かるのだが、ネズミ系と戦っているのは何故だろう?。
流石に食べる訳ではないだろうし、皮が目当てかな。そんな話を皆としながら移動し転移紋から2層へと進んだ。2層も平原で再び人の流れは東に向かっているので、東へと移動し転移紋から3層へ。
3層も同じで、東の転移紋から4層へと進む。4層は林が疎らにある草原だった。ここにも新人傭兵らしき者達がいっぱい居るが、どうやら採取している者と魔物と戦っている者に分かれる様だ。
この層ではウサギ系の魔物と小さい鹿の魔物などが出てくる様だが、危険な状況になっている傭兵のチームは見当たらない。この辺りの魔物の狩り方というのは、おそらく確立されているのだろう。危なげなく倒している。
それらを見ながら今度は南に向かって進んで行く。人の流れがまだあるので先に進むための転移紋の方向は分かりやすく、俺達はそれに乗ってどんどんと進んで行く。流石に魔物と戦うといっても、こんな浅い層では戦わない。血抜きも面倒だし。
新人や、実力の低い者達の獲物を横取りする訳にもいかないので、こちらとしては手出しをする気も無い。移動の際もマナーとして離れた場所を走るのだが、毎回警戒されるのは諦めている。彼等も生活が懸かっているしな。
そんな中を走り抜けて、現在は13層目まで来ている。1~3層が平原、4~6層が木が疎らな草原、7~9層が密度の低い森、10~12層が林が点在する山、そして13層からが、通常の森。
ここまで来ている傭兵もそれなりに居て、木を伐り出している者が斧を叩きつける音がしている。そんな中を南東へと進んでいき転移紋を探していくのだが、恐らくはこの方角で間違いが無い筈だ。
森なので通常よりは速度が出ないものの、それでも素早く転移紋へと辿り着き14層へと進む。14、15と進んで、南東の転移紋から16層へと進む。未だに俺達が戦おうと思う魔物が出てこない。これはちょっとマズいかも……。
前回クリアしているし、去年ここに来た時よりも俺達は強くなっている。つまり稼げる所が更に奥になっていしまっていて、移動するだけでも時間が掛かる様になってしまったようだ。
もちろん稼ぎ場に限度はあるだろうが、それでもミノタウロスやケンタウロスが出てくる程度の層まで進む必要がある。俺達の場合は適正な層というものが多分無いだろうから、最奥まで攻略するか、その手前で稼ぐかになってしまう。
地形的に稼げる場所なら良いんだが、地形が悪すぎて稼げないとなると難しい事になる。……あれ? もしかして俺達ってダンジョンでは稼げない……? いやいや、そんな事は無い筈。そりゃ悪党ぶっ殺して奪った時の実入りの方が大きいけどさ。
駄目なら弱い魔物を狙えば済むし、無理に歯応えのある魔物と戦う必要は無いんだ。だから問題無し。俺は健全だ。
▽▽▽▽▽
1014終了時点
大白金貨17枚
白金貨72枚
大金貨771枚
金貨876枚
大銀貨928枚
銀貨1116枚
大銅貨1126枚
銅貨291枚
神木石の浄化槍
神石の浄化剣
神木の浄化棍棒
神木の浄化盾
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




