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1012




 「着いて1日2日ではあんまり大した情報も集まらなかったな。ただ、3日目の夜だったか? 生きていた王女が呪いの短剣を持って総長と副長を暗殺しようとしたらしい」


 「なに!?」 「なんですと!?」


 「それに関しては俺が取り押さえた。呪いの短剣だとは知らずに持たされた事と、死んだと思われていたのは王女の影武者だった事が分かったんだ。その後、身柄は総長と副長に渡した」


 「影武者……ふむ、そっくりな身代わりの事をそう言うのか。つまり、その者を犠牲にして王女は助かったと……。元々身代わりとはいえ、何とも遣る瀬ない事だな……」


 「そうですな……」


 「その後、詳しい話を王女から聞いたが碌な事を教えられていなかった。分かりやすく言うと捨て駒だな。呪いの短剣もヴェスティオンの宝物庫に保管されていた物で間違い無いらしい」


 「何という事をするのだ。1国の王女を捨て駒にするなど、ヴェスティオンは何をしているか分かっているのか!? 確かに他人よりは自分の家族を犠牲にしたと言えるだろうが、呪いの品だぞ! 正気とは思えん!」


 「古来より負けている側は形振り構わぬとは言いますが、幾らなんでも此度のヴェスティオンの所業は……。呆れを通り越して、嫌悪を持ってしまいますな」


 「その少し前に、現場に出てきているのは王子2人と王女だとは分かってたんだけどね、単なる旗頭として出てきている訳では無い事が分かったんだ。王子2人は戦場でも反目していたんだよ」


 「ヴェスティオンは小競り合いをしながら自国の領土に引き込もうとしていたそうです。罠を仕掛け、伏兵で待ち構えていたそうなのですが、ラグナンドが乗らなかった為に不発が続いてました」


 「その罠と伏兵を担当しているのが、別々の王子だったんだってさ。呆れるだろ? 1つの策をわざわざ2つに分けたんだよ。バカバカし過ぎて呆れるしかない」


 「何も言う気にならんな……」


 「そうとしか申せませんな……これは」


 「で、その後は奇襲したラグナンドの側が伏兵の王子を倒し、その後に奇襲してきた罠の王子も倒した。邪魔な王子と王女が居なくなったからか、王太子はクーデターを起こしたって訳だ」


 「王と王妃と側妃は幽閉されたけど、次の日には自殺したという話が総長から齎されたのさ。どう考えても怪しいけど、王太子がやったのか不穏分子がやったのかは分かってなかったよ」


 「「………………」」



 どうやら王太子とライブルは長考に入ったらしい。まあ、そうだよな。王太子がクーデターを起こし王権を奪取した途端に、前王と妻達が自殺するなんて怪しすぎる。誰でも疑問を持って当然だ。


 新王の面目を潰す為にやったという事すら含めて、1つ1つ細かく調べ上げなければならない。相当の時間が掛かるし、バカは今後を考えて1度は反発するだろう。それを抑える事も必要だ。


 王なんて碌なもんじゃない。そう言いたくなる程の大変さだ。こちらは他国なうえに平民なんで、どうでもいい別世界の騒動としか思ってないけど。当事者や国民は本当に大変だろうから、今からご愁傷様と言っとこうっと。


 心の中で黙祷を奉げていたら、長考は終わったらしい。王太子はリンデに視線を向けて話し始めた。



 「我が国も他人事ではないが、今の所は下らぬ事も無い。狂し……文官の者達の良き仕事もあり、風通しは随分と良くなっている。他国の事だと笑っておらず、十分に注視する必要があるな」


 「ハッ! 場合によっては我が国に波及せぬとも限りませぬ。用心に越した事はないかと……。それと、傭兵ギルドは今後どうなるか知っておられますか?」


 「決まっている訳ではありませんが、総長は最前線の近くへ本部を移すと言っておられました。そこなら迷惑も掛かり辛いだろうと……」


 「ああ、成る程な。我が国でも、本部を受け入れた場合の傭兵の増加に対応できるかは分からない。むしろ国境近くの領都は短期間とはいえ、よく支えられたものだと感心する」


 「これで全ての情報は報告したと思うけど、何か聞きたい事はあるかい?」


 「いや、特に無いな。ライブルはどうだ?」


 「私も特にはありませぬ。強いて言えば、ヴェスティオンの王子2人と王女はどうなったのかぐらいでしょうか?」


 「え? ……王子2人は戦場で戦死。王女は傭兵ギルド預かりとなりました。王女本人は毒にも薬にもならぬからと」


 「聞いた話でも、確かにそうだろうな。簡単に他人の事を信じすぎるので、誰かが監視をしていなければ利用されるだろう。蝶よ花よと育てられた弊害だな」


 「良い人と言えば、そうなのですが……」


 「王族が良い人なんて、国民に流している嘘以外ありえないからね。王族が本当に良い人なら、そんな国家はとっくに滅びているよ」


 「違いない」


 「仰る通りですな」



 最後のオチの後、俺達は近衛の本部を出て宿へと戻る。いつの間にか夕方近くになっていたので、皆と話し食堂に行く事にした。


 大銅貨10枚を支払って夕食を注文し、席に座って先程の報告を振り返る。特に報告漏れとか話し忘れた事は無いかと、皆で確認しながらの雑談となった。


 夕食を食べ終わり、食堂を出て隣の宿へと戻る。5人部屋が2つなのだが、1つの部屋に全員が集まって狭いながらも酒を飲み始めた。ダリアとカエデもミードを欲しがったので入れてやると、美味しそうに飲み始める。


 干し肉だったりチーズだったりを出して、酒飲みは放っておく事にした。別の部屋にディルと逃げようと思ったら、メルとフォルにリューとエリアがついて来たのでキメて寝かせてしまう。


 部屋と体を綺麗に【浄化】したら、静かな部屋でゆっくりとする。休憩後、酒飲みの部屋を確認するとダリアとカエデは既に寝ている様だった。


 酒飲みの部屋に戻って残りの4人をキメて寝かせたら、部屋と体を綺麗に【浄化】する。部屋が2つだから2回せねばならず、無駄に時間と労力が掛かったな。今日はもう勾玉を使ったら寝るか。


 そう思い勾玉を使うと、思っていたより吸引されたので【浄化】に時間が掛かった。情報収集に行く前に立ち寄った時に勾玉を使っている筈なので、ここまで邪気を吸引するのは何か変だ。


 邪気が増える何かがあったのか、それとも俺達が居ない間に邪生が生まれたか? ……今のところ王都に邪生は居ないが、その名残が邪気として残っていたのかもしれない。


 王太子が作った浄化所もあるから普段の邪気は減ってはいるが……邪生が生まれる時は、生まれてしまうからなぁ。ただ、周りに邪気が少ないと生まれ難いし、仮に生まれてもそこまでの強さにならない。


 なので邪気を浄化しておく事は間違っていないし、邪生を生み出さない為にも重要だ。肉体の邪気を浄化しない、またはお金の関係で簡単には浄化出来ない人が邪生になってしまうのは避けられない。


 勾玉で吸引出来るのは漂っている邪気だけで、個々の肉体の邪気は吸引出来ないので仕方がない。俺1人が背負う話でもないので、そろそろ寝よう。おやすみなさい。



 <異世界473日目>



 おはようございます。今日はルーデル村まで帰る日ですが、王都でやらなければいけない事ってあったでしょうか? 何か忘れてる様な気がしないでもないんだよなー……。思い出せないって事は、きっとどうでもいい事なんだろう。


 朝の【浄化】も終わらせ1人でゆっくり神水を飲んでいたら、向こうの5人が目を覚ましたらしい。向こうは送風機しか置いてないから暑かったんだろう。こちらは冷房しかないが、寝る前に【冷風】で部屋を冷やしてから寝たからそこまで暑くない。


 おっと、メルが【冷風】を使って室内の温度を下げている様だ。フォルも使えるがアルメアはちょっと怪しく、リューとエリアは魔法陣を覚えようとしている。必要になってから覚えるとは……まあ、そんなもんか。


 俺も同じ立場なら、似た様なものだろうな。



 ▽▽▽▽▽


 1012終了時点


 大白金貨17枚

 白金貨72枚

 大金貨771枚

 金貨876枚

 大銀貨928枚

 銀貨1121枚

 大銅貨1176枚

 銅貨291枚


 神木石の浄化槍

 神石の浄化剣

 神木の浄化棍棒

 神木の浄化盾

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 神石の勾玉

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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