1009
「国家を馬鹿にされない為に王族や貴族として振舞う事と、何も考えず横暴に振舞う事は同じでは無いんですけどね。その辺りが分かってない方は、それなりに居ましたよ」
「居まし”た”……って事は今は居ないのかい? それは羨ましいとは思うんだけど、ああいう輩は一定数必ず居るよ? 流石に居なくなるって事はないと思うけど……」
「リヴィの言う通り居なくなった訳ではありませんが、動き難くはなっています。狂し……の方々が見張っていますので、そう簡単に悪い事は出来なくなったんですよ」
ああ、アイツ等に見張られたら、そりゃ悪い事は出来ないだろうさ。「始祖様が滞在している国が悪しき国であるなど許せない」とか言い出しそうだし、勝手に綺麗にしてそうだもんな。
本当に色んな意味で怖ろしいんだよなー、狂信者って……。知ってる俺達は微妙な顔をしているが、リューやエリアにザラやエイルズなどは会った事が無いからかイマイチ分からない様だ。
世の中には分からない方が幸せな事もあるから、そのままでいいんだ。そうそう、本当に知らない方が良い事ってあるんだよ。それに……口に出したくない事もな。
夕食も終わったので家に帰り部屋に戻ろうとしたら、何故か皆が付いて来たので話し合いは続行らしい。ちょっと人数が多過ぎる所為で、狭くて大変なんですけど? いや、我慢は出来るけどさー……。
「話が逸れたけど、情報収集を終了して、帰って報告するかい? それとも、もう少し情報収集を続けるかい? アタシはどっちでも良いと思うよ」
「私は帰るのに賛成です。このまま居ても、おそらく新しい情報は出てこないでしょう。既にヴェスティオンの軍は退いて行ってますし、明日にでもラグナンドの軍が町に来てしまいます」
「兵士が大量に居る町で聞き込みなんてしたら怪しまれるだけよ。その度にいちいち身分を明かすのも面倒だし、私も帰るのに賛成」
「私もそうだね。少なくとも戦争の推移は分かってる訳だし、他の諜報員だって似たような情報しか入手出来てないだろう。今回は上の方の話し合いで決着してる以上、調べられる事にも限度がある」
「流石に王太子殿下も、そこまで調べろとは仰るまい。仮に宰相に聞きに行っても教えてくれないだろうしな。突っ込むと余計な事にしかならないし、ここは素直に退くべきだ」
「おそらくヴェスティオンに行っても新情報は手に入らないと思うから、このまま帰った方がいいよ。継続的に調べる人員は残してあるだろうし、今回の戦争における情報収集は終わりで良いと思う」
「ですね。これ以上探ると間違いなく面倒な事になると思います。これから先の事も考えると、今の内に退いておくのが1番良いでしょう。強引に情報を入手する技を使わないと、本来はこれぐらいです」
「という事で、明日から帰ろう。はい、決定! さーて、お酒飲もうっと……」
送風機と冷房を起動しているとはいえ、ここまで部屋に人数が多いと碌に効いていない気がしてくるな。【冷風】も使ってたから汗が出るような事にはなってないが、火の季節でも1番暑い時期に入っているから結構厳しい。
この辺りはガイアルム王国より北だけど、そこまで変わる訳でも無い。それに王都ラグマイアから更に北へと進まないと、火の季節でも涼しい場所には行く事が出来ないんだが……そこまで行く気にはならないな。
やっとウチのメンバーだけになったので、これから徐々にだけど部屋の温度は涼しくなるだろう。まずは【微風】を使って部屋の空気を窓から全て出して、それから冷房を効かせれば早く涼しくなる。
冷房の中の神水はキンキンに冷やし直しておいたので、部屋の中を十分に涼しくしてくれるだろう。何処かに川がなかったかと聞いたら、南西の森の中に小さな小川があったらしいので行く事にした。
神水の残りが少ないので、そろそろ補充しておきたかったんだ。部屋の窓から隠密の4つの技を使い外に出たら、聞いていた南西の森の中に進んで行く。少し進むと確かに小川が流れていた。
川の水を【念動】で持ち上げて【浄化】し、樽に詰めた後で強力に【浄化】したら神水の完成だ。最初に一度【浄化】しているのは、小川の水があまり綺麗ではないからなんだよなー。
どうせ神水にする際に強烈なほど【浄化】されるのだが、何となく気分的に宜しくないので綺麗にしたんだ。天然水と言えば聞こえは良いかもしれないが、何が含まれてるか分からない水は怖すぎる。
全ての樽に水を補充し、余っていた神水は川に流したんだが……下流の水が浄化されてませんかね? 夜中だけど【空間把握】には見えてるんだよ。何かスッゴイ浄化されていってるのがさ。
アレだ、何も見なかった事にしておこう。そもそも悪い事なんて何も無いんだし、水が綺麗になってるだけで誰も損をしていないんだから気にする事は無い。そう自分に言い聞かせて、さっさと帰る事にした。
家の窓から部屋に入ると、既に酔っ払いは敷いた革や布団の上で寝ていたので、起きていたディルとエリアを大満足させて寝かせる。部屋と体を綺麗に【浄化】したら、他の部屋も確認しておこう。
どちらの部屋も既に就寝していたので、部屋と体を綺麗に【浄化】した。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界471日目>
おはようございます。今日はガイアルム王国へ帰る日です。練習が終わったら急に別れる事になったが、ここの親子ならこれから頑張っていけるだろう。餞別も与えたし、狩りに関しては慢心しなければ問題無い。
いつもと違い、朝の内に家の全てを【浄化】して綺麗にしたので時間が掛かったが、皆が起きてくる前には終わらせる事が出来た。汚したまま出て行くというのは流石になぁ……汚い奴等だったとか言われたくないし。
それはともかくとして、そろそろ起こそうかな? と思っていたら丁度起きてきた。タイミングが良いのか悪いのか……何と言うか出鼻を挫かれた気がする。
「「「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャー」 「ガォ」
「今日でこの町とはお別れだけど、特にたいした事は無かったね。強いて言えば……ここの親子と出会った事と、バカが来た事ぐらいかい?」
「そうですね。私達が請けた依頼でも大した事はありませんでしたし、昔みたいに戦地に近いからと犯罪を犯す者も多くなかったですから、特に大きな事は何もありませんでした」
「昔って、そんな人達まで居たのね。私が若い頃にも居たけれど、直ぐに殴られて連れて行かれてたぐらいよ? 多くはなかったわ」
「昔と言っても300~400年ぐらい前までじゃないかな? それ以降は戦争時の犯罪は減った感じがするけど……どうだっただろう? 私自身が戦争には関わらなかったから、詳細はちょっと分からないね」
「まあ、歴史学者でもないのだし、詳しく知る必要も無いだろう。別に良いのではないか? 知らなくても」
「片付いたから、そろそろ移動しようか? 他の部屋の子も動いてるみたいだし」
部屋の中をもう1度見渡して忘れ物が無いか確認したら部屋を出る。玄関に移動していると別の部屋からリンデ達が出てきたので、そちらの部屋に忘れ物が無いか確認しておく。
特に無かったので、そろそろ出ようかと思ったら2階から2人が下りて来た。どうやら町の門まで見送りたいらしい。まあ、いいかと思いながら、食堂へと一緒に移動する事にした。
中に入り大銅貨12枚を支払って朝食を注文したら席に座る。少しすると総長と副長に王女がやって来て、俺達の隣のテーブルに座った。副長は朝食を注文している。
「多分まだこの町に居ると思ってたけど、会えて良かったわ。貴方達に話しておかなければならない事があるの。貴方達はガイアルムの王太子から依頼を請けているのよね?」
「そうだけど……何かあったのかい?」
わざわざ俺達に伝える事ねぇ……何だか嫌な予感がするぞ?。
▽▽▽▽▽
1009終了時点
大白金貨17枚
白金貨72枚
大金貨771枚
金貨876枚
大銀貨928枚
銀貨1121枚
大銅貨1245枚
銅貨291枚
神木石の浄化槍
神石の浄化剣
神木の浄化棍棒
神木の浄化盾
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




