1001
「そもそもヴェスティオンは、本気で総長と副長を殺害できると思っていたのかね? もし出来ると思っていたのなら、呪いの短剣に何か理由があるのかもしれない」
「呪い……いえ邪気を撒き散らすっていう呪いもありましたよね? それなら王女1人だけだった事は分かります。他の人員を送り込んでも邪生になってしまうでしょうから」
「仮にそうだとしたら、最悪のやり方ね。呪具で邪気を撒き散らし、周囲を邪生にしようだなんて……。それを防ぐ方法って無いの、アルド?」
「残念ながら1つしかない。呪いの品を完全に浄化するか、それともある程度を浄化するかだ。呪いを失くすと、当然呪具ではなくなる。もしくは発動に呪いが必要なタイプなら、それなりに浄化すれば停止出来る筈」
「どちらにしても、鍵は浄化魔法か……。それも呪いだから、おそらく生半可な浄化魔法では無理だろう。【聖浄四重浄化】か【神聖八重浄化】じゃないと難しいのだろうね」
「呪具は手元に無いのだし、これ以上話しても仕方がない。それよりもヴェスティオンの王女があっさり通された事や、近くに警備の人員が配置されていなかった事を考えると……」
「まだギルドの中にヴェスティオンの奴等が居るか、もしくは金に靡いた者が居るって事だね。どっちも碌でもないけど、総長と副長は何故そこまで膿を出せないんだろうね?」
「膿と言うより、長年の間に積もった埃なんでしょう。総長や副長以前からの埃でさえ積もりに積もっているんですから、そう簡単に全てを排除するのは難しいと言わざるを得ません」
「まあ、以前からの奴は偉そうにするし、新人はそれを見て反発するしで大変だよ? 誰が纏めるかによっても変わるし、力で押さえ込むのが間違ってる事もある。盗賊団ですら大変なんだ、ギルドなんてもっと大変だよ」
「とりあえず、俺達の仕事は情報収集とリンデ達を無事に帰らせる事だ。闇を暴くのが仕事じゃないし、そういうのは他の連中に任せればいいさ」
そう言うと、皆は頷いた後で俺を連行した。気付いたらダリアとカエデは寝ていたらしく、それで頷いたらしい。同意したんじゃ無かったんだな。
女性陣を【法悦】と【至天】のコンボでキメてさっさと寝かせたら、部屋と体を綺麗に【浄化】して俺も寝転がる。目を瞑り【空間把握】で確認すると、今日はリンデ達の部屋も大丈夫だったので家全体を綺麗に【浄化】した。
勾玉で吸引すると、普通の村や町と比べると多い邪気が吸引される。近くが戦場だと小競り合いが無くても、通常より多い邪気が生まれてしまうんだろう。それでも総量からすると、きっと微々たる量でしかない。
まあ考えてもしょうがないので、そろそろ寝よう。今日も一日お疲れ様でした。
<異世界468日目>
おはようございます。今日も親子に身体強化を教える日ですが、それなりに闘気に傾いている種族ですので大変です。邪生の心臓を食べていれば違うんだが、食べていないからな。それに才能は普通であり、可も無く不可も無くだ。
それなりに時間が掛かるのは仕方がない。それでも【集中】を使っている分、他の人よりも圧倒的に早いんだがな。高い集中力が長い時間発揮されるから、その分多くを身に付けやすくなる。
「「「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャー」 「ガウ」
「今日でここに来て4日目だけど、情報は殆ど集まってないね。適当な情報ならあるんだけど、肝心な情報に関しては碌に集まってないのが現状さ。アルドが言ってた通り、今日総長と副長に会えるなら聞いてみるかね?」
「向こうも話せる事しか話さないでしょうし良いのでは? 代わりに何か依頼をしてくるかもしれませんが、請けられるものなら請けても構いませんし」
「そうね。アルドが請けたような暗殺の依頼は困るけど、普通の依頼なら特に問題無いわ。でも、今そんなもので重要なのがあるかしら?」
「さて、まずは行ってみてからだね。それからじゃないと分からないよ」
部屋の片付けも終わったので家の玄関付近に出ると、丁度皆も出てきたところだった。全員で食堂に行き、大銅貨12枚を支払って朝食を注文する。席に座り神水を飲んでいると、また大きな声が聞こえてきた。
「昨日、前線でまた小競り合いがあったんだってな。何で小競り合いばっかりやってんだって思ったら、攻めようとするとヴェスティオンが退くんだってさ。それがあやしいってんで、いつまでも小競り合いらしい」
「あやしいって事は、もしかして退くのは罠って事か? ……まあ、追い駆けたら向こうの領土だもんな。罠なんて作り放題だろうし、迂闊に攻め込むような馬鹿が居なくて良かったぜ」
「そうは言ってもよー、罠が有るのか無いのか分かんねえんだろう? だったら少数で行ってみりゃいいじゃねえか。何で行かねえんだろうな?」
「だったらお前が行け。そう言われて、お前は行くのか? 俺なら絶対に行かない。何で罠に掛かって死ぬかもしれないトコに行くんだよ。そんなの誰だって嫌がるに決まってるだろ」
「いや、まあ。そりゃそうだけどよ……」
「お前の負けだ。誰だって行きたくないし、お前だって行きたくないんだろ? だったら言うなって話しだし、言うなら志願しろって話だ」
まあ、そうだな。志願しろって言われたら何人が志願するかって考えたらお察しだ。自分から危険に踏み込んで死んでいく馬鹿は殆どいない。という事で、この小競り合いは続きそうだな。
ヴェスティオンの狙いは、この膠着状態なのかもしれないな。その間に暗殺やら毒殺をしようとしているんだろう。昨日、王女を嗾けてきた事から考えても、そこまで遠くない推理だと思う。
裏の組織のまとめ役と諜報関係のトップを暗殺したんだが、裏の奴等を動員出来ている? ……いや、動員できていないからこそ、王女が暗殺者をやらなきゃならないんだろう。という事は……。
おっと、今考える様な事じゃなかったな。今は食事に集中しよう、料理に失礼だ。
朝食後、家の庭に戻り2人の練習を開始する。それなりに上手くはなっているものの、闘神直伝の体操は簡単なものではない。覚えるのは難しくないが、理想の動きが出来るようになるには時間が掛かる。
そのうえ、それが実戦で出来るようになるのは、長い長い修練の先でしかない。それでも理想の動きを体に叩き込んでおくのは大事な事だ。特に闘神直伝の体操は、基本中の基本を纏めたものであり極めて重要なんだよ。
戦闘以前の体の動かし方そのものなので、応用の幅が非常に広く生活にまで関わる。最小限の力で最大限の効果が出るように体を動かすので、生活そのものが楽になったりもするんだ。
いつも通り昼まで練習したが、そう簡単なものでもないので苦労をしているが仕方ない。そんな2人を綺麗に【浄化】して食堂に行き、大銅貨5枚を支払って昼食を注文する。席に座って待っていると、何故か総長と副長が来た。
2人は昼食を注文すると、何故か俺達の所に来て相席を頼んできたので了承する。3:2で座ったのは良いんだが、なぜ親子は俺の両隣に座るんだ? 別に良いけど、何かおかしくない?。
「お久しぶりと言うべきか、昨日ぶりと言うべきかは横に置いておくわ。それよりも、昨日の女性の事なんだけど……」
「尋問か拷問をして何か吐いたか? アレには吐かせないと駄目だぞ、立場を慮ってやる必要は無い。元々攻めてきたのは向こうであり、傭兵ギルドを牛耳ろうとしたのも向こうだ。何を言って来ても、お前が悪いで終わる話でしかない」
「ええ、仰る通りです。総長にはさせられませんので、私が尋問をしてきたのですが……。その、まるで抜け殻みたいになってまして……ブツブツ言っているだけなんです。それも、「もう終わりだ」と言っているぐらいで、他は何も……」
終わりねぇ……終わって良かったじゃないか。俺はそう思うがな。
▽▽▽▽▽
1001終了時点
大白金貨17枚
白金貨72枚
大金貨771枚
金貨876枚
大銀貨931枚
銀貨1121枚
大銅貨1327枚
銅貨291枚
神木石の浄化槍
神石の浄化剣
神木の浄化棍棒
神木の浄化盾
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




