四日目
「きゃかぁーーー」
なんでか俺は落ちていた。なんか落下してる。なんでじゃぁーーー。まだ三日あるのに、三日あるのにーーー死ぬ。
と思ったけどなんか生きてました。へへラッキー。
さてさてさーて。今日はどこに行かましょうか。そんなことを思いながら俺は歩く今日はどんな楽しいことが待っているのか、さまざまなことを想像しながら。
「ぶれのふょかせろー」
「なにごと!?」
「すみませんすみません。くしゃみでます」
「ああ、くしゃみですか。てかでましたか」
癖強すぎだろ。
「あはは。すみませんね〜最近冷えてますしね」
「あ〜少し寒いかもしれないですね。でも今八月ですよ?」
「そうだね〜でもさ、人間関係凍ると心も凍っちゃうんだよ。まさに絶対零度。ぎゃはは」
「それって笑い事ですか?お兄さんの関係が零度ってことじゃ?」
「おう少年。わかっても口に出しちゃダメなこともあるんだぜ。覚えとけよ」
「あ、すみません」
「あっはは。いいさいいさ。君は面白いね。ところでなんで上から落ちてきたの?」
「わかりませんね。足踏み外して落ちて、って感じです。運良く生きてました」
「君は本当に面白い。あ〜ここからの景色もなかなかいいものだろう」
「そうですね。普通に生きてたら見えない景色だと思いますよ」
「そこらしいね〜私が作ったこと家もいいだろう。今なお君を支えれてる時点でね」
「よくよく考えたら本当ですね。まだ崖の途中ですし」
あぁ、そうだ。この家?は崖にくっついている。壊れでましたら、真っ逆さまだ。
「こんなところに住んでて落ちたことないんですか?」
「子供の頃はよく落とされてたな。今は落ちることはない」
「ほぇ〜厳しい親御さんだったんですね」
「それが自立の第一歩だと、そう教わっていたからな。それにしてもこんなところってなんだよ?馬鹿にしてるのか?」
「いえいえ、してませんって素晴らしい景色でとてもいいと思います」
「ぎゃっははそうだろそうだろ。馬が合うな。仲良くしようや」
そういいお兄さんは手を差し伸べてくる。五本の指が重なるわけではないが、それはそこに自分の手のひらを押し付けるのだった。
それから俺はいろんなことを話した。もちろん余命のことも。お兄さんは少し頑張ったな。と言ってくれた。
「おう。ちょっくら息抜きでもしないか?ほらついてきなされ」
「え?」
言われるがままにそれは引っ張り出される。そして当然のように…
「落ちたーーー」
「まって君どこに行くきだ。ちょっと待ちなさい」
「と言われましても〜ぎゃー」
「は、は、どうにか、追いついて救助成功。助かったな君」
「落としたのもあなたですけどね」
「それもそうだな。悪かったよ」
「そんなこと子供の頃にされたんですか?」
「当たり前のことさ」
当たり前だと思っているのが本当にすごいと感じてしまう。いや実際すごいのだろう。
でも、やれるかもしれない。チャレンジはしたい。これはこれで楽しいから。落ちてもこのお兄さんが助けてくれるという確証もあった。だから俺は飛ぶ努力をした。何百回何十回とミスだかけど続けた。
「おいおい。もう無理だ。きっと種族が違う」
「意味わからないこといわないでくださいよ。あなたにも子供ができたらこうするんでしょ」
「…そうだな」
それから数時間が俺はやっとちょっと飛んだ。飛んだというよりは壁を駆け上がったという方が正しいだろう。でも絶対昨日の俺ならできない芸統をした。誇らしく、とても嬉しいことだった。チャレンジっていいな。
「じゃ本当にありがとうございました。今からこの崖駆け降りれる気がするで、俺はもう行きますね。今日という日を楽しくしてくれてありがとうございました」
それじゃっと付け足し、俺は足早に崖を降る。なかなか命の危機を感じたが、まー生きてるんだしいいだろう。
「………あれ?」
もう行ってしまった。ずっと努力を続けて成功させて、楽しい方に足を進めていった。俺はそれをじっと見ていることしかできなかった。人間関係が凍る?俺溶かす努力なんてしてないよな。あの少年を見て俺は一つ大きなものを学んだ気がした。出会いがなくても話せなくても挑戦してみよう。
ーー俺にその度胸がなくてもーー
今日の成果は多かった。ここまで崖に耐性がつくだなんて、もう死ぬことなんてないんじゃないか?と思ってしまう。こんなことを俺がしていると知ったらあの時の両親はなんでいうだろうか?俺に夢を見ることを諦めさせたあの時の顔を思い出すことすらできない。きっと驚くんだろうな。
「もう会う気はないけどね。ニシシ」