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2021年12月14日放送 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#14 絵本

掲載日:2023/10/19


 サクソフォン奏者八巻和行(やまきかずゆき)さんのラジオ番組

 こうのすFM フラワーラジオ

 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)

   八巻和行の七転び八巻

 

 というラジオ番組の投稿コーナー

  妄想【愛の劇場】

 毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。


 小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。

 そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。


 妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!! 

 こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです! 

 《番組への参加方法》

 ①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadio(リスラジ)のアプリをダウンロード

 フラワーラジオを選局して、お気に入り登録

 ②パーソナリティ八巻さんのX(旧Twitter)をフォロー

 ③毎週日曜日の夜に、八巻さんのX(旧Twitter)から【作品のテーマ】が発表

 ④八巻さんのX(旧Twitter)のダイレクトメールから投稿

 ※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。

 ※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。


 小説の書き方を意識しながら文字おこしをしています。

 文章はできるだけ、投稿当時のままにしています。

 言葉が二重になるのが気になるところは、手直しをしています。


 サイト投稿回数 第14回目の今回は………

 2021年12月14日放送。

 妄想【愛の劇場】#14 絵本


 昔とある山の奥に、五郎(ごろう)じいさんと奏(かなで)ばあさんが住んでいました。

 五郎じいさんと奏ばあさんは、とても仲の良い夫婦でしたが、子どもがありませんでした。

 子どもに老後の世話をしてもらえる事ができないと考えた老夫婦は、老後の蓄えは自分たちでなんとかしようと貯蓄を趣味に生きていました。


 ある日のこと。五郎じいさんと奏ばあさんが、川で藍染(あいぞ)めにした木綿(もめん)を洗っていました。

 すると川上から、ごろり〜ん、どんぶらこ。ゴロリ〜ン、ドンブラコ。大きな桃が流れて来ました。

 ふたりはその桃の存在にビックリしながらも、仕事の邪魔になるので、桃を川から出すことにしました。

 川から出した桃は、突然ピカーン!と輝き出したかと思うと、パーーーーーーーーンッ!と、弾けて割れました。

 その様子を近くで見ていた五郎じいさんと奏ばあさんは、割れて弾け飛んだ桃の果汁で全身がベチャベチャになりました。

 ふたりはこの状況を大変に不快に思いました。

 割れてグチャグチャになった桃を川に捨てることにしました。

「ホンギャー!ホンギャー!」

 甲高(かんだか)い赤ちゃんの様な鳴き声が聞こえました。

 覗き込んで見ると、桃の果肉と果汁まみれでベチャベチャになっている赤ちゃんの鳴き声でした。

 さすがに赤ちゃんを川に捨てる事はできないので、とりあえずふたりは赤ちゃんを家に連れて帰ることにしました。

 しかしその前に、ベチャベチャの自分たちの体を洗うのと一緒に、ベチャベチャの赤ちゃんの体も川の水で洗う事にしました。

 家に戻った五郎じいさんと奏ばあさんは話し合いの結果、この桃から出てきた赤ちゃんを育てる事にしました。

 赤ちゃんの名前は、『八巻(やまき)』と名付けられました。


 五郎じいさんと奏ばあさんの愛情を、一身(いっしん)に注がれた八巻はすくすくと育ちました。

 八巻は、五郎じいさんと奏ばあさんの藍染めの仕事もよく手伝っていました。

 しかし、山の奥で育った八巻は、成長するにつれて町への憧れも大きくなっていきました。

 ある日、八巻は『求む!鬼退治人(おにたいじにん)!』という求人を目にしました。

「鬼退治をやりに行くフリをして、町に行ける!」

 八巻は、五郎じいさんと奏ばあさんにこの求人を見せて、鬼退治のアルバイトがやりたいと鬼の暴れる村に行く事を話しました。

「社会勉強は大事な事だ。頑張って来なさい」

 五郎じいさんは、激励(げきれい)してくれました。

「きびだんごを持って行きなさい。役に立ちますよ」

 奏ばあさんは、きびだんごを2万2,000個持たせてくれました。

 数日後ふたりに見送られた八巻は、ルンルン気分でアルバイトへ行(い)くフリをして、町へと出かけて行(ゆ)きました。


 道すがら、犬、さる、キジに会いました。彼らも『鬼退治人!』の求人を見たと言いました。

 やる気満々で鬼退治に向かう様子の犬、さる、キジと出会ってしまい、面倒くさい気分になった八巻でしたが、自分は町に着いたら彼らから離れて町に残ればいいと思いました。

 それまでは楽しい旅になればいいなあと、四人で行動する事に決めました。

 しかし、犬、さる、キジ、そして八巻も協調性が全く無かったので、早い内から各々(おのおの)個別に行動しようという事になりました。

 犬、さる、キジと別れた八巻は、山を超え谷を超えて町へと辿(たど)り着きました。


 憧れの町に着いた八巻は、見るもの全てが新鮮で、キョロキョロと上に下に町の様子を見回していました。

「お兄さん、見ない顔だね」

 突然声をかけられました。亀でした。

「鬼退治に行く途中なんだけど、ご飯食べられるお店とか知らない?」

「イイとこ知ってますよ!」

 ニヤリと笑う亀に八巻は着いて行きました。


 亀に連れられて行ったのは『龍宮城』という名前のお店でした。

「いらっしゃいませ」

 店内に入ると、かわいい女の子が八巻に満面の笑みを向けてきました。

 八巻は気分を良くしました。

 亀とかわいい女の子に席へと案内されながら、店の中をぐるりと見回すと八巻は少し慄(おのの)きました。

「ココ、高いんじゃ……」

「良心的なお店ですよ」

 八巻の呟(つぶや)きが聞こえたのか、亀は八巻の肩を軽く叩き、ニヤリと笑いながら答えました。

 八巻が席に着くと、ドレスで着飾った美しい女性たちが2、3人やって来ました。

 そして、八巻を囲うように座りました。

 テーブルに並べられた、たくさんのごちそうと美味しいお酒を堪能(たんのう)した八巻は、気分が大きくなっていました。

 八巻は美しい女性たちに、自分がこれから鬼退治に行く事を自慢げに語りました。

 美しい女性たちは、そんな八巻を褒めちぎり、はやしたてました。

 本当は、八巻には鬼退治になど行くつもりは微塵(みじん)もありませんでしたが、美しい女性たちに褒められて気分が良くなっていました。

 気が付くと、八巻はお店で一番高いお酒を何本も空けていました。

 そしてお店の女性たちと、めくるめく大人の世界へどっぷりとはまっていきました。


「八巻様、お会計です」

 どれくらい時間が過ぎた頃でしょうか。亀に声をかけられ、領収書を見せられた八巻はその金額の大きさに目を覚ましました。

「きびだんご180万8,000個!?そんなに持ってないよ!!」

「それでは困りますね。食べて飲んで、お店の女の子にまで手を出して……。きびだんごが無いですって?」

 亀は鬼の形相になりながら、八巻の胸ぐらを力づくで掴みました。

「テメェ!ナメた事言いやがって!!耳揃えて、全きびだんごキッチリ払ってもらうからなツ!!!」

「お……鬼退治っ!鬼退治をしたら、きびだんごが手に入るから……あ……!!」

 八巻は慌てながら必死に亀に頭を下げて、一目散(いちもくさん)に鬼退治に出かけて行きました。


 八巻は町を出て、山を超え谷を超えひたすら走りました。

 鬼が暴れるという村にやって来た八巻は、目(ま)の当(あ)たりにした光景に愕然(がくぜん)としました。

 犬、さる、キジの3人が、鬼たちを地面にひれ伏せさせて、鬼たちから巻き上げたきびだんごで、きびだんごパーティーを開き狂喜乱舞する姿でした。

「おい、お前たち。鬼退治は終わってしまったのか?」

「八巻じゃないかワン。今更着いたワンか?」「遅いさる。」

「全て終わったキジ」

 八巻の問いに、犬、さる、キジがきびだんごをむしゃむしゃ食べながら答えました。

「終わっただって……?」

 八巻はお店の支払いに必要なきびだんごを、一刻(いっこく)も早く用立(ようだ)てしなくてはなりません。

「このままでは、こいつらに全部きびだんごが食われてしまう……」

 焦りと恐怖で気が立っていた八巻は、目の前で美味しそうにきびだんごを食べている犬、さる、キジに向かって突然襲いかかりました。

 不意を突かれた犬、さる、キジを一網打尽(いちもうだじん)にして、八巻はきびだんごを全て奪(うば)い去りました。


「これで足りるはずだ!」

 意気揚々(いきようよう)と『龍宮城』に戻った八巻は、亀にきびだんごを渡しました。

 亀は厳しい表情できびだんごをひとつひとつ丁寧に数えました。

「八巻様、丁度ですね。ありがとうございました」

 亀は満足そうに、ニンマリと八巻に微笑みました。


 全てを終えた八巻は、五郎じいさんと奏ばあさんの住む山の奥へと帰りました。

 五郎じいさんと奏ばあさんは、無事に戻った八巻の姿に安堵しました。

 しかし、八巻に笑顔はありませんでした。

 それからというもの、五郎じいさんと奏ばあさんの心配をよそに、八巻は部屋に引きこもるようになりました。

 五郎じいさんと奏ばあさんの藍染めの仕事も、手伝わなくなりました。


 憧れは憧れのままがいい。

 鬼よりも怖いものがあるのだと、八巻は知りました。

 八巻はもう二度と町には行かないと心に決めました。


めでたし、めでたし。


 ありがとうございました。

 次回もラジオ番組の投稿コーナー

 妄想【愛の劇場】へ投稿した作品の投稿になります。


 妄想【愛の劇場】#15「大掃除」

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