表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/23

第23話 召喚曲

 その日、俺たちは、王都トルリラの街で、第14代アーサー・マクシリア・サラマンドへの謁見をしていた。公の場での謁見はこれが初めてだ。王妃の席には、ルピア=ラ=フルタク妃の姿も見える。こうしてみると、ただの美しいお妃様なんだけど。と俺は思わず思っていた。

「貴公らに、『勇者』の称号を授ける」

 国王陛下から、授かる勲章。

 5人は粛々と、それを受け取り、周囲を見に来た大観衆の歓声を受けた。


 あれから1週間後、俺たちは聖地マークーシーから、リリィのロック鳥で凱旋していた。

 悪魔を倒し、3人の魔術師を滅し、聖戦も終わらせた。

 俺たちの使命は、終わったのだ。

「そして、ゲート、壊れちゃったな」

 フゥの顔は、そういった割には、晴れやかだ。

 この世界のことが好きになっていたからだ。

 

 こうやって、無事、聖戦を終わらせ、使命も果たしたし、これからしばらくは、この平和の時代が続くだろう。最後にユズポンが『ふぁいやー』で、ゲートを壊してしまった事実は変わらない。つまり、帰りたくても、もう俺たちは、元の世界には帰れない。

「あら、しんみりとした顔しちゃって、どうしたのよ?」

 そこにいたのは、さっさとドレスを脱いで、巫女の姿に戻ったルピア。

「あ、ロリババア」とルークがいうと。

「その言葉、今度行ったら殺すよ♡」

 笑顔で、神をも恐れぬ 残虐な言葉を返された。


 ため息をついて、俺がみんなの気持ちを代弁する。

「俺たち、悪魔を退治をしたものの、マークーシーのゲートを壊したじゃないですか。もう、元の世界に帰れないなぁ、と思って」

「ああ、そのこと、気にしなくていいわよ」

「気にしますよ、そりゃあ」

「あなたたちに、この国に残ってもらっちゃ、こっちとしても困るのよ。きちんと、帰還してもらうわよ」

 また、始まった。ロリババアの無理ゲーである。

「ルピアの言ったことは本当だ。お前たちは、元の世界に帰れる」

 俺たちの謁見に同行していたフルタクがこたえた。

「ルピア、例の楽譜をもってきなさい」

 フルタクの言葉に、一冊の楽譜を持ってくるルピア。

 そこに書かれたのは、

「アヒルのワルツ?」

 5人が一斉に吹いた。「これ、、、なんだ?」

「神獣がうちょの召喚曲。バロバッサのゲートを守る神獣よ」

「?」

「あなたたちが、持って帰った天叢雲剣の力を使って、一方通行だったバロバッサの森のゲートを拡張したの。そのゲートで、あなたたちの世界と私たちのこの世界をつなげたのよ」

「つまり・・・帰れる?」

 俺たちは顔を見合わせた。

 少しずつ、感動が戻ってきた。

「ふっふっふ」

 不敵な笑みを浮かべる、一同。嬉しさのあまり、にやにやが止まらない。

「どうしたのよ。あなたたち。えっ、まさか?」

 悩むこともなく行動を移した。我慢していた欲求に打って出る。


 5分後、ルピアは簀巻きにされて、天井にぶら下がっていた。



 ひといきついたところで、フゥが、ミスリルの笛で曲を奏でる。

 神獣がうちょの召喚曲。

 軽快なメロディが流れて、空間に大きなゲートが開き、大きな白い神獣が現れた。

「さて、戻ろうか。放課後の異世界へ」

 俺たちは、魔曲を鳴らすフゥとともに、神獣の背に乗ったのだった。

はじめまして。はるのぱせりです。放課後の異世界旅行第1章を読んでいただきありがとうございます。

この物語の発端は中学1年生の頃、執筆した作品。それを4年ほど前に加筆したものになります。もともとがTRPGのゲームシナリオとして、宿題の合間をぬって書いたものです。

日の目をみるきっかけになったのは、先ごろのステイホーム。安価で楽しい娯楽を、と家族にこの物語を読みきかせしたところ、なかなかの好評。ならば、と調子に乗って、友人に公開して、ホームページを作り、と発展していきました。


大人になっての習作としての意味も強いので、みなさん、温かい目でみまもっていただいたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ