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学年に一人はいる代名詞下ネタの人




 日本で探してもこの空間はかなりハイレベルなものではないだろうか。美少女3人の部屋に1人でいるという至福の時間だ。


 「閃くん、このままここに泊まっていけば?」


 ニヤニヤしながら雫は誘ってくる。


 「僕がいても気まずいだけだから遠慮するよ」


 「えぇーでもこっちには蘭ちゃんも陽菜ちゃんもいるんだよ?」


 「……確かにここに残りたいとは思うけど、さすがにそれはいろいろとダメだから」


 正直に残りたいと伝える。逆にこんな空間に下心無しで残れる人はいるのか?いないだろ。なんなら男子を全員閉じ込めて1人で満喫したいぐらいなのに。


 でもそれができないのが僕。良心が痛む。


 「ちぇー、せっかく閃くんをたくさんいじれると思ったのになー」


 やはり雫は僕で遊ぶことしか考えていない。いつもそうで2人で遊ぶときも何かしらで僕をいじる。


 「例えば蘭ちゃんと閃くんが仲いいこととか」


 「え!?」


 いつバレたのか、それは知ることはない。どこからバレたのかは気になるがそれはそのうちわかる。今は条件反射として驚いたにすぎない。


 「あ、これは蘭ちゃんから直接聞いたから安心して」


 「え、流川さんが?」


 僕に忠告するぐらいだから自分も言わないのかと思っていたが、信頼してる2人になら言ってもいいと判断したみたいだ。


 「ごめん神代」


 「あーうん。大丈夫」


 僕も彼方くんに言っても良いのかもしれないが、男子なら流川さんについてってなると何でもするので言わないでおく。いや、なにより独り占めできないから言いたくないだけだ。


 「そろそろ帰らなないと森くんたちにいろいろ言われるから帰るね」


 長居するのは危険だ。


 「そうだね。また後でー閃くん」


 「うん」


 雫と陽菜さんは、またね、と手を振ってくれたが、流川さんは手を振るだけだった。まだ距離があるみたいだ。雫と陽菜さんと同じ距離になるためには、何をすれば……。


 丁寧に扉を閉めて少し足早に戻る。走ってる音は立てないように注意して。


 戻ってくると3人の視線が集まる。


 「荷物届けるのそんなかかるか?」


 真っ先に詰めてきたのは彼方くん。女子の話になるとグイグイくるようになるのはやめてもらいたい。


 「ちょっと止められたから。別に何もしてきてないよ、ただ雫と話してきただけ」


 「それはしてきたって言うんだぜ神代」


 「森くん……」


 話し始めたら止まらない、限界を知らない男が参戦してくる。これだけでも大変で疲れるのにさらに加わる。


 「何の話だ?まさかみんなが寝たら2人でこっそり二人部屋に行こうとか約束してたりしないよな?」


 「鞍馬くんまで……」


 正直この中で1番めんどくさいのは鞍馬くんだ。1番クールそうなんだが、それは見た目だけで、ホントは口を開けば下ネタばかり言う問題児だ。それに女子のことになると深くまで探ってきて、なにか答えるまで諦めないという変態ぶり。


 人は見かけによらないの権化だ。


 「僕はただ――」


 一から十まで全てを話した。もちろん嘘は1つもついてない。


 自分の頭の中で整理して話すのは得意じゃないので長々と説明したこの時間は僕にとって疲労感を残すには十分すぎた。


 はぁぁ、と一息吐く。深呼吸ではなくため息。呆れとダルさを含んだため息は3人誰にも届かず安心したわとか神代は女子に興味なさそうだもんなと言いたい放題言われる。


 間違いではないし、本当のことだからって嫌な気にもならない。友達だからってのもあるが、やめてとかいう力が無かったからだ。


 「とにかくそういうことだから」


 「やっぱり神代は俺らの味方だな!」


 「はははっ……」


 森くん、そういうのは都合のいい味方ってことだよね……僕泣きたいよ。


 冗談なので泣くことはない。これは森くんのいいところだから否定もしない。場を盛り上げることがどれだけ大変か分かってるから。


 「森、これから何するんだ」


 鞍馬くんが聞く。


 「んー薪集めに行くか?一応使えるのは揃ってるけど、自分たちの手で集めたやつがいいだろ?」


 「あーそれいいな。バカなりに考えたみたいだが結構いい案だと思うぞ」


 「智、お前1言多いって言われないか?言われるよな?な?」


 「いや、言われないぞ?ち◯こ頭」


 「それだよそれぇ!」


 マッシュヘアの森くんをバカにしている。しかもいつもの下ネタで。こういうクールぶってる人こそ変態なのは、そういう方程式があるからなのか?


 2人は楽しそうにじゃれ合っていて、その最中にも鞍馬くんから下ネタは出てくるし森くんからは愚痴が飛ばされる。


 いつも通り、仲のいい2人だからできることであって、決して初対面の人やそこまで関わりのない人に向かって、おいち◯こ頭、なんて言わない。そこはしっかりと区別されている。


 もしかしたら言いそうなのが鞍馬くんの怖いところ。なんなら男には下ネタで挨拶とか前言っていたような気がする。気がするだけで済んでくれたらいいのだが。


 「それじゃ女子にも伝えに行くか」


 ここでスマホを使わず直接部屋に行こうとするのが森くんらしい。


 「待てよ、薪集めるだけじゃつまんないだろ」


 「じゃ、楓斗が何か考えろよ」


 「え、嫌だ」


 「んだよ!お前らまじなんなんだよ!」


 この3人の話がまとまることはない。なんなんだよ!と言いたくなる気持ちは分かる。けど森くんもなかなかになんなんだよ!と思わせてくるので人に言えないと思う。


 これもこのメンバーでの楽しみ方1つだから、僕は3人を見て笑みを作っていた。

 少しでも面白い、続きが読みたい、期待できると思っていただけましたら評価をしていただけると嬉しいです

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