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予想外からのストレートパンチ




 その顔は悪巧みをしようとしている子供のようで、なにか仕掛けてくるのかドキドキして落ち着かなかった。


 「どうしたんですか?」


 恐る恐る聞いてみる。


 「仲良くやってそうだから見に来たんだよ」


 「それだけですか?」


 「いいじゃないか少年。今暇だったんだからさ」


 「悪くはないですけど……」


 流川さんに迷惑かけたら僕の首が危ないんです。なんて本人の目の前で言えないが、言わないとどのみち危ないことには変わりないのが最悪の葛藤だ。


 「美奈さん……」


 ふと声を発したのは僕の後ろにいる流川さんだった。それは聞き間違いでなければ鳳凰院さんの下の名前で、接したことのない2人と思っていたので驚く。


 「ふふーん何?蘭ちゃん」


 やはり面識があるようだ。お互いにお互いのことを知っているやり取りをするが、僕には相変わらず?が無数に出ていて整理することができていない。


 「2人って知り合いだったんですか?」


 遮るのは場違いだが、そんなことを頭に入れれるほど容量は大きくない。


 「知り合いも何も、私は蘭ちゃんを小さい頃から見てきたから言うなら幼馴染みたいなものだよ」


 「え!そうなんですか?」


 これまた驚かされる。幼馴染なんて深い仲ならなおさら。


 「じゃ、なんで最初流川さんのこと知らないふりを?」


 「それはそうしたほうが少年をイジれるからだよ。蘭ちゃんはなんで知らないふりしたかわからないけど」


 「……なんだ、そういうことだったんですか」


 だからあんなに確信してぬいぐるみ好きとか言えたのか……。


 これまで気にしていたことは何だったのか、まさに杞憂。精神的に疲れるからこういうことはやめてほしいものだ。


 にしてもあそこで2人知らないふりをするなんてすごいと思う。阿吽の呼吸だ。お互いお互いのことを察しての行動だったのだろうか。


 知るのは過去の2人だけなのでこの件はどこかに置いておく。


 「いやーそれにしても2人とも仲良くなれたみたいで何よりだよ」


 「え、いや、それは……」


 友達でもないから返答に困る。はい!と答えたなら違うと否定される、いいえ!と答えたならこの状況を説明しろと言われるからどう答えることもできない。


 結果、濁らせて答えるのが最善の策というわけだ。


 「あれれ、そうでもない感じ?」


 追い打ちをかけてきた。本当にこの人はイジワルが好きらしい。困ったものだ。


 「神代が困ってるじゃん。そこまでにしてあげなよ」


 助け舟流川蘭号により何とか救われることになった。今の僕は目をキラキラさせて流川さんを見ているだろうな。それにしても流川さんがこうして助けてくれるとは思っていなかった。


 「えー、蘭ちゃんも知ればハマると思うけどなー」


 「ハマらないし知りたいとも思わないから」


 ハマらないのはいいんだけど知りたいとも思わないって今日1心に刺さる言葉ですよ流川さん。漫画やアニメであるハートが矢で射抜かれるシーン、よく恋をしてる女子に刺さるところを見るが、今は男子にただただ普通の矢が刺さっている感じだ。あれ、ホントに痛みを感じるぞ?


 「で?結局どうなの?」


 諦めない。鳳凰院美奈は絶対に諦めなかった。ここまでくればストーカーの域だな。でも今回は僕にじゃなくて流川さんに聞いていた。助かったと思う反面なんて答えるのかソワソワしている。


 「……そこらの男子よりかはましってだけ。ただそれだけだよ」


 「ほうほう。なかなかの距離だね」


 なかなかの距離が遠いのか近いのか分からないのがこれまたズルくてイジワルだ。なぜ楽しいだけでこんなにイジワルができるのか、シンプルに知りたいな。


 でも流川さんの口から他の男子よりましと聞けて僕は嬉しかった。


 見たか男子ども、お前らより上だぞ俺は!とまではならないが、少しは優越感を持つ。だってこんな美少女でいつも男子嫌いって態度取る人が他の人とは違うって言うんだからもうテンション上がらないわけがない。


 「それで、あのハチは取ってもらったの?」


 「っ……った」


 「ん?聞こえなかった、もう一回言ってー?」


 「もらったよ!」


 「おー!良かったね!」


 なんて思ってないんだろうな。流川さんをイジっているのが伝わってくる。雫以外に流川さんをイジれる人がいるとは……。


 答えない選択肢を選べば良かったと思うが、鳳凰院さんの前ではそうもいかないのか。


 流川さんはバツが悪そうだ。ゲームセンターというとこが味方してくれているので声がかき消され揉め事とかに勘違いされていないものの、外でやったなら間違いなく、何やってるん?という目で見られること間違いなし。


 「今度は猫のクッションを取ってもらったのかー。いいねー」


 はい、ダメ押し。もうこれ以上流川さんのことをイジらないであげてと心では思う。心では。実際はこんなとこ見られないし、何より今の流川さんは死ぬほど可愛い。最低だけどごめん、この可愛さには勝てない。


 「鳳凰院さん、そこまでにしないと」


 でもさすがに限界が来た。さっき流川さんは僕を助けてくれたからいい加減このぐらいで助け舟を出さないと。後でグーパンチが飛んでくるから。


 「あはは、そうだね。満足したからやめます!」


 この人にはいつか仕返しをしなければ。


 一応鳳凰院さんの欠点というか、弱点は知っているので次は反撃できたらいいのだが。

 少しでも面白い、続きが読みたい、期待できると思っていただけましたら評価をしていただけると嬉しいです

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