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僕の麗しき箱庭  作者: まくのゆうき


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材料の確保と修繕作業

しばらくナイフ作りをしていた僕だけど、ちゃんと次に作るもののことも考えている。

自分専用の使いやすいナイフを完成させて正直浮かれていないわけではないが、道具を作って満足してしまったらこの生活を改善することはできないのだ。

僕はその鞄の中に自分で作ったナイフと武器、そして母親が持たせてくれるパンを入れ、できるだけ中身を少なくして森に出かけていくことにした。

それは帰りに少しでも鞄の中に多くのものを入れられるようにと考えてのことである。

残念なことにまだ子供である僕は大きな台車を一人で引いて歩くことができない。

台車が木材でできており、それだけでかなりの重量があるのだ。

それに台車は一台しかない。

父親が仕事で使っている時に使うことはできない。

だから大人になってからも個人で借りられる見込みは薄い。

そのため僕が森へ行く時に使えるのは自分の鞄だけである。



最初は鞄に枝を突っ込んでいたが、たくさんの枝を持ち変えるには限界がある。

そうして考え付いたのがツルをひも代わりにして持ち帰るという方法だった。

だから森に言ったらまず丈夫なツルのあるところに行き、一本か二本採取してから落ちている木を拾い始める。

そうして集めた木をツルで縛って持ち帰るのだ。

少し大きいものは家の修理に使えるだろうし、木ならば不要になっても薪として使える。

だからどんなにたくさん持ち帰っても余すことがないはずだ。

だったら、手当たりしだい落ちている木の枝を拾っていけばいい。

数日この作業を繰り返した末、そういう結論に至った。

それにそう都合よく、板のようなものが森に落ちていることはない。

落ちているのは折れやすい細い枝ばかりだ。

それでも少し幅の広い物や、時には何かのはずみで折れたであろう大きな枝を見つけられることもある。

僕は大きいものを見つけた時もできるだけまっすぐになるよう枝を分解して持って帰るようにした。



ちなみにこの世界では接着剤のようなものはまだ見つけられていない。

職人のところにはあるのかもしれないが、少なくとも自分で簡単に入手できるものではない。

仮にコメやイモが簡単に手に入るのなら、煮込んででんぷんのりでも作れるのではないかと思うのだが、コメはまだ見ていないし、イモはここでも貴重な食料である。

もちろんでんぷんのりで作った物の耐久性など知れているだろうが、一時的にでも接着できるのとできないのでは加工する際に全然違う。

だから本当は使ってみたい。

しかし、イモは食料として売られているものを買うことになるし、今後コメが手に入ったとしても食べ物として利用できるとわかれば、食料として扱われるに違いない。

生きていくために食べられるのものならば、まずは食料として優先する必要があるのだ。

僕の実験工作のために生きるのに必要な食料を犠牲にはできない。



工作程度の知識だが、直さないよりはと端材を使って屋根や壁の修理を試みることにした。

継ぎ接ぎが見えても、穴が空いていても、家がみすぼらしく見えることには変わりない。

ただ、うちにあるのは工具のみ、木材や釘などを買う経済的な余裕がないことを僕は理解していた。

まずは拾ってきた比較的大きな木の中から板のように使えるものを持って屋根に上った。

僕が一番気になっていたのは雨漏りだ。

ベッドの布なら濡れても干せば乾かして使えるし、手間はかかるが修理をするより安上がりだ。

そうはいっても、そんな使い方をしているからか、布もかなり劣化している。

そもそも雨にぬれた布を長くかぶっていたら風邪を引いてしまう。

もちろん今まで我慢できたのだから、これからもできないことはないのだろうが、この先ずっと風邪を引いたり熱を出したりするリスクを負う必要はない。

今の僕はベッドの上に雨が落ちてくると、掛け布団だけを持って、できるだけ雨の落ちない場所に移動したり、テーブルの下などにもぐって雨をしのいだりしているのだ。

せめてベッドの上に水が落ちないようになれば、安眠できると思っている。

しかしこの雨漏りは不思議なところがあって、なぜか水の落ちてくる場所が毎回違うのだ。

だからベッドが安全なこともある。

僕が屋根に上ったのは、修理をしたいというのもあるが、雨漏りの場所が毎回違う理由が知りたいというのもある。

できれば家が水浸しになるのを避けたい。

雨上がりの掃除は楽じゃないのだ。



身軽な僕はその軽さを利用して一枚の板っぽいものを抱えて屋根に上った。

屋根はところどころに穴がある。

雨漏りしているのだから穴があるのは分かっていたのだが、その穴が非常に細かくたくさんある。

そしてその穴に向かって水の流れた後も残っていた。

さらに僕が屋根の板の部分に足をかけると、所々がへこんだ。

これは大人が乗ったらそのまま抜け落ちるのではないかという感じである。

これは僕の力では無理だ。

そう判断して木を持って一度屋根から降りて修繕方法を考え直すことにした。

とりあえず、なぜそうなったのかの想像はついた。

仮説ではあるが、僕が考えていたように穴のあいているところを板でふさげばいいという問題ではない。



とりあえず僕は屋根の修理を諦めて、屋根に使う予定だった大きな板のようなもので壁をふさぐことにした。

くっつけるものも、打ちつけて固定するものもないので、壁に立てかける感じである。

縦かけている場所を固定するために、とりあえず家にある家具などでその場所を押さえてみた。

一番大きな穴のあいているところをふさいだので、部屋の中が少し暗くなった。

同時に家の中を吹き抜けていた風が遮断されたのも感じる。

どちらがいいかは正直分からないが、他にも隙間はたくさんあるのだ。

とりあえず大きな穴は横殴りの雨の際、家の中を水浸しにする原因になる。

固定しているわけではないから、もし家族が暗いのを嫌がるようなら雨の時だけこうしてふさぐようにすればいい。

子供の力でできたのだ。

両親がいれば、こんな作業、雨戸を閉めるくらいの手間だろう。



とりあえず大きい木の使い道は決まった。

あとは残りをどう使うかである。

僕は持ち帰って使われていない枝と、持ち帰るために使ったツルを眺めながら、ふと簾のようなものが作れないかと思い付いた。

毎日ツルを持ち帰っているので、ツルの本数もそれなりにある。

そのまま使うには太いのでツルは縦に裂いて細くしてから使うことにした。

その分、枝と枝の隙間を埋めることもできるだろう。

枝の方は一つ一つ出っ張った部分をカッターで削って平らにしていくつもりだ。

当然枝の太さも長さも違うが、そこまで合わせて削っていくほど今回考えている簾は時間をかけるものでもない。

そもそも簾は風通しがよい。

夏はいいかもしれないが、冬の寒さを凌ぐには心もとない。

だから窓に使うにしても、ないよりは良いという程度の物だし、本当に役に立つのかどうかも不明である。

ただ、僕は直感的にこういうものを作っておけば何かに使えるに違いない、そう感じるものがあり、その直感だけを頼りに僕はひたすら簾の丈を長くしていくのだった。


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