前へ目次 次へ 7/13 直角石の化石 暮れる/ 長い雨が晴れて 湖水は静まり 夕ぐれの風が吹いてきた 湖上の楠にある 大皿のような青鷺の巣では 大きな雛たちが その大きな翼を 伸ばしたり広げたりしながら 西の空に向かって 短く何度も鳴いている 陽炎/ 夢の中に 祈りはない ただ 陽炎のように 歪んで透けている みっつ/ 風の吹き抜ける 清楚なまでの路地裏に 乾いてしまった泥団子がみっつ 雨に濡れたら 割れて崩れていくだろう 夜明けと日没/ 浮き沈みを 繰り返す夜明けと日没に 言葉たちは 時から零れた迷路を解いている 短いのよっつ。