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カサンドラ症候群の行方

「S子さん、もう限界を超えている様に思います。」

「はい、、でも、どうしたら良いのか分かりません。」


「以前、ご主人に首を絞められた事ありましたよね?」

「確かに有りました、、。」S子さんは下を向いた。

「このままでは貴方に危険が及ばないとも限りませんよ!思い切って家を出て、離婚しませんか?」

「私は専業主婦だったので、蓄えも殆ど有りません、、そして両親も既に他界してますし、、。」


そこでしおりはある提案を持ち出した。


「私個人の持ち物なんですが、カサンドラ症候群で苦しんでいる女性のために部屋を提供しています。3ヶ月は費用は一切掛かりません。そしてその後1年までは食費のみ負担頂く事にしています。その間に自立の準備をしていただけたらと思います。」

「えっ、それって、、、其処に私も住んで良い、と言う事ですか?」

「はい、貴方さえ良ければ。」

そう言って私が微笑むと、S子さんは今日初めて表情を和らげ、ほっとした様子を見せた。


しおりは、自分の経験を話した。そして同じ苦しみを味わっている人を少しでも救いたくてカウンセリングルームを開いた事。その中でもS子さんの様に、特に深刻な状況にいる女性には、個人的な援助もしている事。そして離婚に際し、知り合いの弁護士さんに相談も出来るという事。などなど。


S子さんは「是非お願いします、私、 離婚出来るなら、、新しくやり直したい。」と真剣な目をしおりに向けた。

「大丈夫ですよ。皆さんそうしていますから。」


本来ではしおりがしている、クライアントに対する個人的ケアは、カウンセラーの仕事とは言えない。が、今のしおりにはそれこそが生き甲斐なのである。

自分は運良く自立して新しい人生をやり直している。

だからこれからも「カサンドラ症候群」になり、悩みながら生きたいる女性を助けていきたいと心から思うのである。



※ S子さんのご主人の怪我は、幸い軽傷で済みました。

S子さんは、今現在、「しおり部屋」で自立を目指し日々検討中です。

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