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第31話天の国のダンジョンと生命の木

黄色いふわふわが…


天の国の視察旅行もいよいよ最終日となった。


もえとロベルト組は時計塔がある広場に居た。

心休まる穏やかな風景だ。ロベルトはそう思った。

ベビーカーを押したお母さん天使が広場のベンチに腰掛けると赤ちゃんをあやした。


可愛いのが大好きなもえは親子を発見すると髪をたなびかせて駆けて行った。

『赤ちゃん可愛いねー。ナデナデしていい?』もえは赤ん坊の母親を振り返って見上げた。

おねだりする時の可愛いポーズを知ってやっているのか、素なのか?

「ah,◯×…」天使の母親が答えたが、もえには何を言っているのか解らなかった。

「いいそうだよ」ロベルトが通訳した。

『わーい!』もえはベビーカーに頭を突っ込んで赤ちゃんをあやしている。

『きゃー!笑った!この子笑ったよー。うふふふ』もえはテンションが上がった。

ひとしきり赤ちゃんをあやすとロベルトが声を掛けた。

「さあ、そろそろ行くよ」ロベルトがもえに声を掛けた。

『もうちょっと〜』

「ダンジョンに行く時間がなくなってしまうよ」

『ん〜』

再びベビーカーに頭を突っ込むともえは言った『可愛いにしゅくふくあれー!』

「しゅっふ??」ロベルト

『行こっ♪』もえはロベルトの手を握って2人は歩き出した。


その時だった、

キツネ顔の男が歩いて来る。天の国に珍しいキツネ顔

ロベルトはゾクッとして警戒した。

その男が歩いた足跡が黒く残っている。

何か不気味だ。


バタッ!


それに気が付いたもえがロベルトから離れて駆け出す。

ロベルトは咄嗟に、もえを捕まえようと腕を伸ばしたが僅かに届かず空を切った。

もえはその男の傍に行きポンと触った。

『だいじょぶ?』

「Aa……」


ざわざわ…周りの天使達も心配そうに覗き込む。

ふくよかなおばちゃん天使が心配そうに手を伸ばした。

ダカカッ!ダカカッ! 羽根の生えた真っ白な馬に乗った騎士が現れて叫んだ!

「オイ!触るな!」

「倒れている人を放っておけと言うの!?」おばちゃん天使が怒った。

「そうじゃない、ヴァイオスは触ると増え……」


ロベルトは近寄ってその様子を見ていた。横を見ると、もえは赤ちゃんの所に戻って赤ちゃんにお別れのキスをしている。


ファーォン♪ファーォン♪


変わったサイレンの音がしたかと思うと

目の前にギリシャの神殿の柱を横にしたような車が到着した。

車体には白で横一本に赤線が入っている。

運転席と思しき前部は透明のカプセル状になっていた。

どうやらこの世界の救急車のようだ。


ロベルトは(昔と比べて随分デザインが変わったものだな)と思った。

プシュー!箱の側面が上下に開いて

完全防備の宇宙服みたいな装備を来た隊員が出てきた。


防護服の隊員は杖を取り出して何か呪文を唱えると

倒れていた人をふわりと浮かせて救急車に収めた。

ロベルトは心配そうに瞶みつめた。


ファーォン♪ファーォン♪

スー!ビュン!


来た時と同じようにサイレンを鳴らして行ってしまった。

天使達は心配そうに様子を伺っていたが

すぐに街は平静を取り戻した。


気を取り直したロベルトはもえに声を掛けた

「さあ行こうか」

『うん!』


天の国のダンジョンは大きなキャラクターの顔だった。

目玉が飛び出て、赤い鼻、黄色のアヒル口、

兜に矢が刺さっていた。


天の国の文字で何かデカデカと書かれていたがもえには読めなかった。

大きく開かれた口がダンジョンの入口になっていた。


ロベルトが受付でチケットを買っている。

もえは入口の横にあったふわふわ揺れる大きい人形の風船を触っていた。


「行くよ」

『うん!』

ロベルトともえはダンジョンのゲートを通ると階段を降りていった。


少し広い円形の部屋では何人かの冒険者がすでに来ていて

壁に並べられている様々な[武器]を見繕っていた。


ワイワイガヤガヤ……


武器は

剣、弓、斧、鞭、槍、魔法の杖

防具は

盾、鎧、兜、道着、ローブ


もえは剣にしようとしたがロベルトに子供でも扱える魔法の杖に換えられてしまった。

ロベルトは剣と盾、それと中距離武器として鞭を選択した。

ロベルトは子供用の兜を取ると、もえに被せた。


列に並んで出発を待った。

もえとロベルトの番が来てゲートを潜り階段を降りた。


洞窟の中だ。


ガー!と音がして右手から魔物が襲いかかって来た!

ロベルトが盾で突進を止めると、軽く剣で魔物の頭を叩いた。

パコン!魔物と思われていたのは機械仕掛けの人形だった。

魔物風人形は頭のランプが赤く光るとズズズと元に戻っていった。


今度は小さい魔物風人形(小)がもえ目掛けて突進してきて

もえの前でぴたっと止まってぎゃあぎゃあと音を出している。

どうやら攻撃待ちのようだ。


もえは魔法の杖でポカリと殴った。

魔物風人形(小)はぎゃーと声を出すと元の位置に戻った。

「魔法の杖なんだから魔法を使わないと」ロベルトが笑った。

『そっか、忘れてた』もえも笑った。


何度か機械仕掛けの魔物を撃退すると

パンパカパーン♫˚✧₊と音が鳴って「レベルアップ--!」と機械の声がした。


パッと洞窟が開けて広い空間が現れた。

冒険者達が魚の魔物を追い回していたり

薬草を採取しているのが見えた。


道なりに進むと木製の道案内のプレートがあった。

左のプレートには大きくBと書かれており、小さくeefと続いていた。

右のプレートには大きくCと書かれていた。小さくhickenと続いていた。


『びー?』

「ビーフだね」

『ビーフ?』

「牛さんだね」

『しー?』

「チキ…」

『シーフ?』もえが遮って言った。

「鳥さんだね」

『ウシさんと戦うかトリさんと戦うかだね!』

ダッ!もえは左の道(牛)に走り出そうとしたが止まった。

ロベルトがもえの服を掴んでいた。

「こっちね」

右の道に進んだ。


暫くすると柵が見えてきた。

柵の中で黄色いサッカーボールぐらいの塊が歩いている。

『わっ!なにあれ?』

ダッ!もえは駆け出して近付いて柵を掴んだ。

「ふふっ」ロベルトは微笑んだ。

「ピヨッ」

「ピヨッ」「ビヨッ」

『ひよこだー!』

大小様々な黄色くてフワフワした毛並みのひよこが居た。

大きさはサッカーボールぐらいから野球ボールぐらいまで様々だ。


ダッ!もえは入口に駆け出そうとしたがロベルトが留めた。

「まずは手を洗ってから」

入口の付近に箱が置いてあった。箱には穴が2ヶ所空いていたが中は見えなかった。

他のお客さん達はその箱の中に手を入れては直ぐ出していた。

『なにしてるの?』もえは首を傾けた。

列に並んでもえの順番になった。

「手を入れてごらん」ロベルトは言った。

もえは両手を箱に突っ込んだ。

モコモコ、しゃー!、ぶぉおおおー!

『わっ!』もえは驚いた。

「手洗い完了」


中に入ると大小様々な“もふもふ”が歩き回っていた。

もえは大きいひよこを抱えるとロベルトに見せにきた。

どうやら此処は[動物との触れ合いコーナー]のようだ。


よく見ると他にも家族連れが来ており、小さい子供が小さいひよこを撫でたりしていた。


ロベルトがふと足元を見ると1〜2歳ぐらいのボサボサの髪の子(おそらく女の子)が野球ボールぐらいの黄色の塊をジッと見詰めていた。

ロベルトが微笑ましく見ているとその子はいきなり黄色の塊を鷲掴みしてブン!と水平やや下方向に投げた。

「ピイ!」パタタッ

ひよこは必死に小さい羽根で羽ばたいて足から着地して倒れたが直ぐに起き上がった。

地面に叩きつけられる事だけは回避できたようだ。


ロベルトは肝が冷えた。

子供は時に残酷な行動を起こす。

善悪をまだ理解していないのだから。

子供は『天使』では無く「無色」だと誰かが言っていたのを思い出していた。


もえとロベルトは[触れ合い広場]を後にすると[卵採りチャレンジコーナー]に向かった。

この世界では鶏も牛も豚も兎に角、巨大だった。

お肉を得るのは命懸けのミッションだった。

その中でも巨大鶏の「卵採り」は比較的安全で大人と同伴すれば子供でも採取ができる子供用の[仕事]であった。

卵を見事持ち帰ると「報酬が払われる」とパンフレットに書かれていた。

ロベルトともえは昨日、この[仕事]に挑戦すると話し合っていた。


入口の看板には天の国の言葉で「Ahea…◯×*…」と書かれていた。

『あふぇ??』

「これより先は地獄の怪鳥の巣。覚悟はいいか?」だそうだ。

『うん!』


入口の門を潜ると中は生垣で囲まれた迷路になっていた。

入って道沿いに行くと分岐点に着いたがもえは迷わず道を決めて進んだ。

左右(二又)で左、前右では右、道沿いに進み、左前右(三叉)で左……道沿いに進むと少し開けた場所に出た。右に路があり、正面に橋があり右前(二俣)から登って橋を通って左の路に行けるようだ。


ロベルトは「どっちに…」ともえに問い掛けようとしたら、もえは橋に向かって歩いて行く。橋の麓には岩が正面にあって、もえは岩の影に入った。

ロベルトが小走りで追いついたら、もえが橋の下の空洞を進んでいた。大人は屈まないと通れないトンネルだ。ロベルトは従業員通路か?と思ったがもえに続いて橋の下の小さなトンネルを潜った。


トンネルの先には路があり先客の親子が居た。親子が二枚の紙を持っていたのでチラッと覗いたら、それぞれの紙には天の国語で「潜れ」と「橋」と書いてあった。


もえはノーヒントで一切迷わず正しい道を通ったのだ。


C0000k !! GoroGrooo !!


パッと開けた場所に出たと思ったら、けたたましい爆音が響いた。どうやら巨大な鶏の巣に着いたようだ。右前方には大きな白い鶏、左手前にはやや小振りだがこれも充分巨体な茶色の鶏が座っていた。その背後には大きな卵が見えていた。


どうやらここが採取場所らしい。


《採取場所》

ロベルトが観察すると奥に行けば行く程、鶏は巨大になり卵も大きくなるようだ。

周囲には鉄格子があり、人間は通れるが鶏の巨体は通れない幅になっていた。その奥にどうやら卵を置く篭があり、横にはレバーが付いていた。

「もえ、どうやらあの篭に卵を置いて完了するようだよ」

『そうなんだ。取ってくるね』

「待って。他の人のを見て取る方法を参考にしよう」

ロベルトは親子の方を見て観察する事にした。


巨大な鶏の背後には生みたての卵があり、それを採取して妨害する鶏の攻撃を防ぎ、鉄格子の中の篭に置いて安全に納品する。そんな感じか。

先に着いていた親子が「行くか」「うん」天の国語で会話した。

ロベルトは横を向いたら、もえは消えていた。慌てて周りを見渡した。幸いこちらの鶏は大人しい。小走りで奥の岩陰に探しに行くともえが黒に近い茶色の卵を抱えて戻ってくる所だった。


親子を見ると子供が卵を運び、父親が茶鶏の攻撃を盾で防ぎながら剣を振り回りして叫んでいた。

「ゲラッアーウ!」父親「わぁぁ、わぁー」子供

親子は何とか茶鶏の攻撃を防ぎながら鉄格子を抜けた。

「プットゥ◯×…」父親「Uha△口…」子供

子供が卵を篭にセットした。

「Let’sトゥギャー」父親「シュあー」

親子は一緒にレバーを降ろした。

ガコガコガコ……カラン!

卵は吸い込まれて、代わりに木の札が落ちてきた。

もえは天の国語が理解できなかったが、この時はなんとなく何を言っているのか理解できた。

「やったな!」「お父さん格好いい!」と言っているようだ。

もえは『ロベルトの方が格好いいもん」とボソッと呟いた。


「卵を置いて」とロベルトに促されると、もえは『よいしょ』と卵をセットしてレバーを降ろした。

ガコン!ゴロゴロ…、カラン!木札が落ちてきた。

ロベルトが木札を取ると、2人はすぐ横の階段を降った。EXIT



階段を降りると入口と同じような部屋があり、カウンターがあったので武具を返し、別のカウンターで木札を渡して精算をした。成功報酬の天の国のお金を貰ったがもえは落ち込んだままだった。

「よかったよかった」ロベルトはもえを励ましたが

『うん…』と返事が返ってくるだけだった。



《生命の木広場》

ゲート出ると地下広場に出た。中央にはずんぐりムックリとした木があり、

その木には果物や野菜のオブジェクトが幾つか嵌まっていたが所々空いていた。


ロベルトは木の前の立札を読んだ「Tree of Life…」

『どうゆう意味なの?』

「生活の…いや生きる木かな?」

『イキルキー??」


ここで仙やひかる達と合流した。

暫くしてもえの機嫌が戻ったのでロベルトはホッとした。


木には「この木を完成させてはならない。皆が生命力を吸い取られ高齢者に成るだろう」

と言う言葉が天の国の文字で刻まれていた。


見学を終えて全員で階段を登って大学の門を出ると

街の様子は一変していた。


「きゃー!」

「OHー!」

「助けてー!」

ガシャーーーーn!

空には黒い雲が渦を巻いていて、まるで人の悪意を具現化したようだった。



……続く


ヴァイオスとの闘いが始まる

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