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第30話もえのナイトメア

ノンアルコールでも酔えるハズさ。

ここは異世界の天の国のホテル。

部屋にはもえとロベルトが居た。


ロベルトがホテルの部屋で瞑想している。

胡座を組んで座り、目を閉じている。


上半身は裸で、鍛え抜かれた身体はとても100歳越えとは思えない。

大胸筋の張りとガッシリした上腕二頭筋が身体能力の高さを表している。

筋肉は実年齢とは関係無いらしい。


「ベーネ」ロベルトは独り(ごと)を言うと白いガウンを着て、部屋の隅にあるサイドテーブルに向かい、置いてある酒瓶を手に取った。それを積み木遊びをしていたもえが気が付いた。


『ぅん?』

「クエスト・エ・ベーネ、クエスト・エ・ベーネ」ロベルトは何やらぶつぶつ言いながらグラスにお酒を継いでいる。トクトクトク……

『ベーネっていいねって意味でしょ?』

「あぁ、もえは賢いな。でもここでのベーネはお酒って意味だよ」

『お酒?いつもロベルトが飲んでるやつ!もえも飲む!』

そう言うと積み木を崩しながら立ち上がった。ガラガラ……

「ん〜、まぁいいか」

もえはサイドテーブルの椅子に飛び乗り、お酒が入ったグラスを両手で持ってクイっと一口飲んだ。

『にがーい』んべと舌を出して見せた。

「はははは」お酒は人生と同じで苦いものさ。

もえは椅子からぴょんと飛び降りて、

くるりと回って片足で立ってグラグラしてみせた。

『酔っ払った〜』

「酔うか、アルコールフリーだよ」

『アルロールフリ〜?』

「酔っ払うにはアルコールが入ってないとダメなんだよ」

『ふーん、酔わないお酒があるんだね』

「厳密にはお酒じゃないんだけどね」


サイドテーブルには「酒の毒」と表紙に書かれた本が一冊置いてあった。

どうやらロベルトは普段からの飲み過ぎを誰かに注意されたらしい。

ロベルトの健康を考えれば、その人が正しいのだが。



その夜もえは夢を見た。


〜もえの夢の中〜


大人になって綺麗な服を着て机でバリバリ仕事をこなしている。

会社のオフィスだ。

『〇〇君、このしょ……を口口して〜』

「はい!」

『△△君、そこ間違ってるよ〜』

「はい!」

伸ばした髪を後ろで軽くまとめている。

ブローチがキラリと光る。

前髪は仕事の邪魔になるので髪留めで留めていた。


もえはチラリと上司の机を見た。

お髭がダンディーな銀髪のロベルトがスーツを着て真剣に書類を見ている。

『うふふ』もえの顔が緩んだ。


モワモワ〜


次の場面ではロベルト課長が定年退職する場面だった。

花屋で売っているような綺麗なお花を束にして持っている。

満面の笑みでオフィスの中を出口に向かって歩いて行く。

部下達は笑顔だ。

ガラスの自動ドアが開いてロベルト課長が一歩外に出て振り返った。

部下達はオフィスの中から見送りをしている。


「〇△口……」ロベルトが別れの挨拶をした。

右手を自分の胸に当てて軽く頭を下げるとスーと自動ドアのガラスが閉まった。

そのまま曇りガラスになってロベルトの姿は見えなくなった。


やがて定時になり他の会社員達が次々と帰っていく。

静かになったオフィスで、もえは綺麗に片付けられたディスクの前に居た。

ロベルトが仕事をしていた椅子に座り机にうな垂れてため息を吐いた『はぁ〜』

そのままウトウトした。


モワモワ〜


「こら!もえ!起きなさい」

呼ばれて起きるとそこは大学の教室の中だった。

ロベルト教授の授業を受けている最中に居眠りしてしまったようだ。

白衣を着て眼鏡を掛けているロベルトも素敵だなともえは思った。


教室内でクスクス笑う声がしたが不快ではなかった。


やがて、もえが卒業する日が来た。

もえはピンクの花束を抱えている。

お花の名前は分からなかったけど多分バラかな?と思った。


『みんな、ありがと〜!』

ロベルト教授と周りのみんなに手を振って門を出た。

みんなの顔は何故かもえが飼っている動物達の顔をしていた。


今度は見送られる番か……もえは思った。


桜の花びらが風に勢いよく散っている。


もえは違和感を覚えた。

もしかして夢を見ているのかな?


もあもあ〜


次の場面では左手に感触があった。

「もえお婆ちゃん!」

(お、お婆ちゃん?)


左下を見ると子供バージョンのロベルトが手を繋いで見上げてきた。

子供なのにお髭がしっかりある。



(コレは無いな……)そう、もえが思った瞬間に目が覚めた。



『ん……』

目覚めると神殿の中の一室だった。

横のベッドには大人の、いつものロベルトがスースーと寝息を立てている。


もえはロベルトの布団に潜り込むと、しがみついて小声で言った『ロベルト長生きしてね……』

もえは大好きなロベルトのエスニックで甘い香りに包まれて眠りについた。


ひとときの安らかな夢とともに。

10年前に亡くなった祖母が晩年お酒を飲んでいた事を思い出しました。

健康を考えると控えて欲しいが、

晩年の楽しみでもあり控えてとも言えなかった。


健康に害が無いぐらいで楽しむのがいいかな。

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