第24話支配者との会談
天の国上陸
天の国は想像以上の文明と規模を誇っていた。
島々が空に浮いており、大きな鮫の船が何層も桟橋に停泊している。
建物はクリスタルの塊が島に刺さっているかの如ごとく光を受けて反射して輝いている。
全滅ガラス張りの建物に芸術家が手を加えたかの如くだ。そんな建物だらけだった。
その中でギリシャ神殿風の大きな建物だけが時代と合わない感じだが存在感は一番大きかった。
大鮫の船の隣の桟橋に魚の船が接岸した。
大鮫にはクラーケンの死骸が、魚にはピラニアキングの死骸が戦利品でくっ付いていた。
無くしたと思っていた刀はピラニアに刺さっていて無事回収出来た。運が良い。
もえちゃんの運を貰ったのかもしれない。
桟橋には古代ギリシャ風の若い男とこれもギリシャ風の数名の女性達、周りにはトルコ風の野次馬が大勢居た。
船で一番偉いフォレストを先頭に桟橋から降りると女神様達からの大歓迎を受けた。
ガラスの花を女神様達が胸元に付けてくれた。空の島でしか手に入らない貴重な透明の薔薇らしい。
服装は古代ローマやギリシャで着られていた布の服で、白く清純で肩を出している。実にセクシーだ。
背中には真っ白な白い羽根がついていた。まるで天使か女神か。
整った顔立ちだが皆身長が高い。女神達から花を付けてもらいエリィンタも仙も、やさぐれていたマンジーロも嬉しそうだ。
マンジーロの時だけ何故か女神が一瞬、躊躇ちゅうちょしたみたいだ。
ひかる君を見た時には驚いて固まっていた。暫し躊躇した後に薔薇を付けた。
女神様達は皆大きい。マンジーロが子供だと思ったのかな?
女神達が笑顔で背中を向けて立ち去る時に、羽根の付け根はどうなっているのかジーと見たらエリィンタに肘で小突かれてしまった。余りジロジロ見てはいけないらしい。白人の透明感のある背中の肌と羽根は直接繋がっているみたいだ。1人だけ羽根の付け根が少しだけ黒くなっている子がいたけど影か判別は付かなかった。
もえちゃんはロベルトと一緒に濃厚な緑色の竜に乗って上陸した。
ロベルトの前に竜の背中に跨がってキラキラして笑顔を振り撒いている。
あの竜はもしかして温泉に行った時に見付けた卵の子だろうか?
一行は神殿に入った。
神殿の待合室の前室はこれでもかと豪華な宝石の飾りやステンドグラスで壁が張り巡らせられていた。
ソファーの椅子は凝り過ぎて逆に少々ダサかった。
床は大理石だ。天井には照明のクリスタルが幾つかぶら下がっている。
エリィンタが案内人の男と話すと戻って来た。
「東のに謁見の後、今日は神殿内に部屋を用意して頂けたので泊まります。明日からフォレスト一行は更に西の天の国の首都に向けて出発、我々は市街見物に出ましょう」と言った。
「ここが首都では無い!?」サトキチが言った。
存在感無い奴でサトキチの存在をすっかり忘れていた。
半刻、1時間以上待たされると案内人の若い男が呼びに来た。
前室の部屋を出て歩くと、廊下から小さな浮いている丸い神殿が見えた。
案内人が説明してくれた。
「彼方あそこは支配神が住まう居城です。と言ってもとうに隠居されて政治には一切関わりになりませんが。」案内人の男
「おぉ〜」と一行から感嘆の声が漏れた。
重厚な大きな扉の前に立たされると静かに2つの扉が開いた。
目の前には赤い絨毯が階段の上まで続いていて豪華な椅子が置いてあった。
いかにもなマントを羽織り、王冠を被った王様が現れた。
フォレストが口を開いた「お初にお目に掛かる火の国の執政官よ。水の国◯◻︎から空を越えて参りました。フォレストと申します」
(火の国!?そして我々側は水の国だと??)仙は改めて異世界に居る事を思い知らされた。
居心地が良過ぎて自分が異世界人だとすっかり忘れていた。
国名は横から声を掛けられて聞こえなかった。
「お前はこっちだ」
振り返ると西洋の鎧を纏った騎士が仙に声を掛けた。
(ドキドキ……まさか俺の正体がバレたのか?異世界人だと??排除されるのか?)不安が募った。
廊下に一ヶ所だけ壁の無い所があった。神殿が見える。
そこで立ち停まると騎士は何かを唱えて右手に小さい何かをカチッと押した。
自動車のキーみたいな物だと思った。
何も無い空間にスゥッとガラスの階段が浮かびあがった。
これは何か知っている気がする。異世界の家の階段と同じなのか?いつも見ている。
「ワタシはコレマデですノデ」ぎこちなくお辞儀をすると騎士は横に避けて見送った。
階段を登り、神殿の中に入るとセレブの金持ちの家にでも来たかの様だった。
「よく来たな」ソファーに座る老人が天の国語で声を掛けてきた。
老人の横には鎧を着た、逞しい騎士と大きな剣を持つ小柄な男児が居た。小姓みたいだな。
護衛の騎士の態度がなんだか悪い。支配神に招かれた仙が気に入らないみたいだった。
護衛が睨んできたので仙は睨み返した。
『あ゛』
それをみた老人が興味津々に
「セルモニーはうまくいったんだな」
『何の事だ?』
(セレモニター?儀式?召喚されて俺が憑依したとでも言うのか?情報が足りない、取り敢えずすっとぼけておくか)
老人が護衛に「おい」と人差し指を動かした。
大柄な護衛が小さい小姓の剣を右手で引き抜き、ゆっくり剣先を上に向ける(ゆっくり動いたように感覚的に見えた)、左手を添える。
ニタッと騎士が笑いやがった。
「フッ!」
渾身の力で仙に斬り掛かる。
右腕の手甲で受け止め、左拳で原にパンチをした。ボン!振動で体内に響く
『やはりな、その鎧は実践向きではないな』
アルミニウムの鎧がパームドラムみたいに響いた。ボワン、ボワン。
右手で押さえる「ぐぅ、、」
一歩踏み込んで両手で全身の力で相手を押した。
騎士は二歩下がって堪えた。
老人は目を輝かせて瞶みつめている。
仙は右手で頭上に抜刀し、左手を添えた。騎士と同じ動作だ。
騎士はまたもニタリとした。同じ様に左の手甲で防いで反撃するつもりだ。
右手の剣で突くつもりだ。
渾身の力を込めて袈裟斬り!ズバッ!
剣と刀の性能差がモロに出た。
腕が宙を飛んだ。
崩れ落ちる護衛騎士
「馬鹿な、、」
「おぉ!」立ち上がる老人
「あああぎゃ~」泣き叫ぶ騎士
「えぇい五月蝿いわ」老人は懐から白い玉を取り出すと護衛の騎士に投げ付けた。
バシャ「あれ?痛くない。あれ?あれ?」泣き顔の騎士が挙動不審になった。
「痛み止めじゃ、止血しろ」
「は、はい」
「おい治療してやれ」
気が付くと、いつの間に居た 白衣を着た医者が答えた
小姓が壁に手を置くと壁が開いて隣の部屋が現れた。
多くの手術台と様々な魔法機械が見えた。
仙は酷く興味を惹かれたが、騎士が診察台に寝かせられると壁が締まった。
「ハッハッハ素晴らしいものを見た、まぁ我が家でゆっくりすごしたまえ……」
老人のそう笑顔で声を掛けられると気が遠くなった。
話し声が小さくなりその後の記憶は無かった。
身体の元の人格と入れ替わるのだろう。
意識を失った。
気が付くと天外付の大きなベッドに寝ていた。
両脇には裸の白人美女と褐色の良い黄色人種の美女が裸で左右に挟むように寝ていた。
(ハーレム?3P?間違い?マズイ?なんだコレは??)頭の中があまりのシチュエーションでパニックになった。
どうやら過度な歓待を受けたらしい。美女を抱いた記憶が全く無いのが納得いかなかった。
美女2人を起こさないようにベッドから抜け出すと、部屋に置いてあった自分の私物を見付けると服を着て部屋から逃げ出した。
俺は小心者でチェリーボーイだった。
〜海洋(天空)冒険3日目終了、4日目スタート〜
パニックって損して、あとで後悔することって多いよね。




