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第23話天空バトル、天の国到着

何かを成そうとする時に妨害がある。

『へックション!ヘックション!』

「花粉か?」

『あぁ、もう4月だってのにまだ少し花粉が残っているな』

「ふ〜ん」

『鼻水が出るくらいならまだマシだけど、酷い時は眼が痛いからな』

「そんなに!?今年は例年以上の飛散率らしいね」

『花粉症は無いのか?』

「俺は花粉症じゃないよ」

『俺も昔は花粉症じゃ無かったのにな。いきなり成るんだよ』

「そうなのか?」

『お前も成るよ』

「ひえ〜」

『あ、信じてないだろう?』

「俺は大丈夫だよ」

『毎年、春先は辛いよ。いい加減、日本の超技術とやらで何とかして欲しいものだ』

「ははっ、そうだな」

『他人事だと思って……』

「花粉が少ない杉に植え替えたりしてるみたいだけどな」

『全然ダメ。杉の木が多過ぎて手が回っていない』

「そうか、早く良くなるといいな」


仕事を終え家に帰ると今日も異世界行きの無双のお酒を飲んでダイブした。



〜異世界にて〜


本日も晴天ヨーソロ。

大きな魚の船は紫色の空を航海する。

大きな白い鮫が前を行き、道案内をしている。


船室で眼が覚める。

この世界には花粉は無いらしい。

花粉マスクも花粉メガネも要らない。

鼻詰まりも無い。清々しい朝だ。


子供達は2人とも凄く寝相が悪い。

部屋の隅に真っ白な白いふわふわした綿花が大量に積まれていたが、

もえちゃんはその綿毛に埋もれて寝ていた。

綿毛は羽毛布団の材料にでもするのだろうか?布団にしたら温かそうだ。

ん?綿花では無く羽毛か?

そもそも季節は春か?年中、快適な気候みたいだが……。


ひかる君は水夫と一緒のハンモックで寝ていて、水夫を寝惚けて蹴っている。

ひかる君の下の水夫が悪夢を見ているみたいでギリギリと歯軋りしている。


子供達を起こし、朝の支度を済ませ、食堂で優雅にカプチーノとビュッフェの朝食を取った。

毎日こうだと良いんだがな。ホテル住まいの富裕層が羨ましい。でも我々庶民でも(こだわ)れば最高に美味い珈琲を淹れる事が出来る。厳選した牛乳とそれに合う珈琲豆と沸かしたミネラルウォーター、サトウキビのミネラル豊富な茶色の砂糖、牛乳に豆乳を隠し味で少し入れるのがコツだ。


自分の生活の何処にお金を掛けるかで、その人の豊かさが変わってくるのだと思う。

音の良いスピーカーで音楽を楽しんだり、美味い珈琲に拘ったり、心地良い睡眠に拘ったり、スポーツ武道道具に拘ったり、洒落た服装に拘ったり、靴に拘ったり、乗り物に拘ったり、人生を豊かにしてくれるのは一つじゃない。お金持ちの方が多く選べるが、庶民にも手が届くものだ。

そう食堂でカプチーノを飲みながらボンヤリしていた。

サラッと背筋に心地良い風が吹いた気がした。



甲板に出るとエリィンタが居た。この男、真面目だな。

『おはよう、今日も良い天気だな』

「おはよう、そりゃ雲の上だからな」

『船室に羽毛があったけど羽毛布団でも作るのか?」

「羽毛は仕入れてないよ」

『じゃあ綿花か?』

「あぁ、綿花は取引材料として船倉に大量に詰めてある。綿花を売って外貨に替える予定だ」

『そうか外の世界だから貨幣も違うのか』

「あぁ、でも我々の金貨と銅貨は両替してもらえるよ。(きん)と銀は世界共通だからな」

『そうなのか?それなら安心した』

「特に(きん)は戦争をした時の賠償金として、負けた国が勝った国に支払うのが世界の一般的(?)だからな」


『ん?』エリィンタと雑談をしていると一瞬、日陰になった。頭の上を何かが横切った気がした。

魚の船は天井があるので真上は見えない造りだ。斜め上の空は見える。

スンスン「何か悪意の匂いがする」エリィンタが鼻を嗅いでボソッと言った。


ヒュー、、、ヒューーーン


ビチャ!

ビチャ!


空から甲板に魚が数十匹降ってきた。

口には小さいが牙が見えていて凶悪そうな顔をしている。

全体的にボディは青っぽい灰色で腹部はオレンジ色だ。

ほんのりと青白く発光している。

異世界のピラニアだな。大きさは膨らませた風船ぐらいだ。


しかし元気が無い。


元気が無さそうに見えた異世界ピラニアが甲板でグッタリしていると思ったが、、、

ビチャ!!いきなり元気に跳ねて、飛び掛かって来た。油断させるフリだったか。


バッ!バッ!


エリィンタと仙は甲板に身を伏せて凶悪な牙から逃れた。


「うわ〜〜〜!!」近くの水夫から悲鳴が上がった。

別のピラニアに腕を噛み付かれて、もがいている。


いつでも抜刀が出来る様に刀を握り締めた。

水夫を足で蹴って倒すと、そのまま右足で暴れる水夫を抑え付けた。

暴れているから押さえ付けないと、下手すると手元が狂う。


刀を横に寝かせ、居合斬りの要領で抜きざまに異世界ピラニアを斬り付けた。


パアン!


風船が弾けるが如く、異世界ピラニアは破裂した。驚いた!

今度からこの魚モンスターを風船ピラニアと密かに心の中で呼ぼう。


いつ如何なる時でも刀を離さない習慣が役に立った。刀は武士の魂だな。


彼方此方(あちらこちら)で風船ピラニアと戦いが始まった。

パアン!ある水夫は杖を取り出し魔法で倒し、

パアン!ある水夫は剣で斬り付けて倒し、

パアン!ある水夫は槍で串刺しにして倒した。


風船ピラニアは強く無いみたいだ。拍子抜けだが、現実世界ではギリギリの戦いなんて怖ろしくてやってられんから、これぐらいで良い。

エリィンタは水夫達に的確な指示を出して風船ピラニアを殲滅(せんめつ)させようとしていた。


ガチャリ

『ん〜、何の音ー?』朝食の後に二度寝をしていた、もえちゃんが眠たそうに目を擦りながら船室から出て来た。

続いて、ひかる君とマンジーロも船室から出て来た。『何?何が起こってるの?』「な、何だ!?」

『危ないから船室に戻ってなさい』仙

そう言った直後に背後から轟音が響いた。ゴガァーーーン!!


グラッ


振り返ると今迄(いままで)の10倍はあろうかと思われる高さ5m級の大きなピラニアが魚の船の横っ腹にシャクれた(あご)をぶつけていた。


バキバキ、船体の(うろこ)の一部がバリバリ剥がれて手摺りがひん曲がってしまった。

グググ、船体が傾いていく。巨大なピラニアが口を開けた

どうやら船体を傾けて丸呑みにしようとしているみたいだ。


『何かに掴まれ!』エリィンタが叫んだ


ひかる君をエリィンタが捕まえたが、もえちゃんは掴みきれなかった。

もえちゃんがコロコロ転がってくる。仙の頭の中で(鋭利な長い刀、危険、幼女、怪我)を一瞬で計算した結果、大事な刀を投げ捨てていた。もえちゃんを間一髪で受け止めた。マンジーロは『ぅわわわぁ〜〜〜……』と小さく悲鳴をあげて甲板を滑り落ちて(ふち)から消えた。


もえちゃんを受け止めたものの、そこに留まる事は出来なかった。

ロープに右腕を伸ばす、、、しかし届かない。


ズズズ……


バシッ!ガリガリ、甲板の床に爪を立てるものの滑り台の落下速度は増していく。


ズザーーー!バン!


もえちゃんを抱えたまま落下し、ひしゃげた手摺りに後頭部を打ち付けた。しかも、そこで止まらなかった。


パッ


そのままピラニアキングの口の中へ落ちた。


パクッ!!


視界が全方向真っ黒になった。

首から背中にかけて鋭利な刃物で切られたような鈍痛がした。


背中からゾワゾワと[恐怖]が背中を這い上がってきて、仙は叫んだ『ウワー、、』


ボコン!!叫び終わらない内に暗闇の中で光が差し込んだ。

ピラニアの口腔内に大きな穴が空いた。ピラニアキングが驚いて魚体をビクッと震わせた。


小さくロベルトが深緑色の飛竜に乗っているのが見えた。

左脇にはマンジーロを抱えている。

(あぁ、助けに来てくれたのか……)頭を打って朦朧(もうろう)としながら、そう思った。


バササッ


珍しく感情を前面に出した怖い表情のロベルト。

ロベルトの飛竜がピラニアキングの頭上に回り込むと、マンジーロを飛竜に残して

ピラニアキングに飛び降りざまに大鉈で巨大な頭部を斬り付けた。ザシュッ!


ボシュ!と音を立てて空気が漏れた。シュ〜〜。

傷口から赤紫の煙がどんどん空気中に流れていく。


ピラニアキングが絶命して、その巨体を力無く浮かばせている。次第に風に任せて空に流れだした。


「銛を撃ち込め!」エリィンタが水夫に命じると、バシュ!バシュ!

大魚の船の側面からロープの付いた銛が4つ撃ち出されて、その2つがピラニアの巨体を捉えた。


グググ、暗闇から光が漏れてピラニアの口が開けられ、後光が差す老騎士の姿が見えた。

「∴∵∴∵……」ロベルトが何か言っていたが朦朧としていて聞き取れなかった。


朦朧としながら夢現(ゆめうつつ)に多くの人の手に掴まれて引き揚げられる感触だけが残っている。

神話の怒れる戦女神が父王のゼウスに(たしな)められている絵が刹那の時、脳裏を過ぎったのは夢か?幻か?

気が付いたら甲板に胡座をかいて座っていた。


ズキズキ、、ピラニアの口腔内のギザギザした歯で身体中、怪我をして痛む。

エリィンタが仙の服を剥ぎ取ると透明な液体をぶっ掛けた。

「0.1%の食塩水だ」

『痛たたた』

もえちゃんが心配そうに見ている。

エリィンタは何かのメモを見て確認しながら治療を続けた。

次にエリィンタは赤色の液体を掛けた。

すると出血が収まった。

次にエリィンタは黄土色のクリーム状の瓶詰めを取り出した。

ふと頭の中で声がした(本当は水色にしたかったんだけどな……)

臭いピーナッツバターをヘラで塗り込む。すると、みるみる傷口が癒えていく。正確には細胞分裂が加速していると言った方が正しいのだろう。

隣りで何故かもえちゃんが変な歌を低音で歌っている。呑気なものだ。

『そーーーらーーー、そーーーーらーーーー』

(はいはい。空が綺麗ですね)口に出す元気が無く、心の中でツッコム。

「これは2種類のポーションだ。しかし、凄いな。こんなに早く治るとは、体質か?」


包帯を巻いてもらっていると大鮫の方の船が目に入った。

魚の船の少し下を飛行していた。

どうやらアチラも風船ピラニアに襲われたらしい。

トルコ風の船員達が喜びの奇声をあげている。


(あの小さめの風船ピラニアだけなら楽勝だっただろうな……)そう思っていると水夫から声があがった!

「第2波だ!!」


バラバラバラ……ベチャ、ベチャ


今度は真っ赤なタコが数匹落ちて来た。大きさはピラニアと同じぐらいの風船ぐらいだ。

「美味そうだな」エリィンタがボソッと言った。

多くの船員は同意して頷いたが、1人の船員は「ウワ〜〜〜!悪魔の遣いだーー!!」と腰を抜かしてしまった。

「大丈夫だ」エリィンタが安心させようとしたがダメだった。

「せ、生理的にダメなんです〜」水夫



ウワー!ぎゃー!ひぇぇえー!大鮫の船から悲鳴があがった。

只事では無い。もしやタコにもキングが出たのか!?


ひしゃげた手摺りがあった場所の直ぐ下から射出された銛とロープの1つが偶然、大鮫に繋がっていた。

エリィンタはそのロープにグローブで両手で捕まると、ロープで下降して行った。


ここからは後日にエリィンタから聞いたのだが

エリィンタが大鮫の甲板に着くと船内はパニックに陥っていた。

タコを1つずつ処理していくともの凄く感謝されたそうだ。


だが大きな大きな吸盤が付いた白い手足が船体に絡み付くと再びパニックに陥った。

中には諦めて祈り出す者まで現れた。


仙と船員達は巨大な吸盤を持った怪物が大鮫を襲うのを只々見る事しか出来なかった。

行動出来ないのは弱さか、脳の処理が追い付いていないからか?どうすれば良いのか見当も付かなかった。


そんな絶体絶命の場面の大鮫の船内で子供の声がしたそうだ。

『皆、タコはダメなんだね。でもこれイカじゃない?』

どこか妖精の囁きがしたと思った。

トルコ風の船員が言った「イカ?スクエード!?」

すると「スクエード?」「スクエード?」船員達は冷静を取り戻し、目には闘志が蘇った様子だとエリィンタは語った。


巨大生物が全体の姿を表すと大きなイカだった。クラーケンってやつだ。


仙と水夫とエリィンタは信じられない戦いを目撃した。

大鮫の周りから炎の塊が次々と発射され、クラーケンにダメージを与えていく。

瀕死になったクラーケンを大鮫がガブリと噛み付いたのだ。

天の国の戦力の底強さに唖然とした。それと同時に我が国の戦力の脆弱さが身に沁みた。


何としてもこの武力を取り込まないと国の滅亡は火を見るより明らかだった。

世界は乱暴に出来ており、お花畑はいつ野生生物に蹂躙(じゅうりん)されるか分からない状態だった。


胸の奥から悔しさが込み上げるのをグッと堪えた。


ピラニアキングとクラーケン、其々の戦利品をロープで牽引しながら暫く紫色の空の航海をすると天の国が見えてきた。

「おぉ〜!」「お〜!」「おぉお〜」水夫から歓喜の歓声があがった。

天の国に相応しい佇まいだった。

多くの島々が天高く浮いており、バロック調の神殿が幾つも見える。

キラキラ輝く建物が乱立していた。


「うおっ!」「うおー!」「おぉおぉーーー!」「うわー凄いな!」


空の港と思しき所は大鮫の船が幾つも幾つも停泊しており、国力の高さをまざまざと見せ付けられた。


誰1人として欠ける事無く無事に辿り付けた船内は明るかった。だがマンジーロだけは違った。

「けっ!」ピラニアキングに襲われた時にひかるはエリィンタが、もえは仙が助けたが、

自分だけは助けてくれなかったと思ったマンジーロはグレた。


〜海洋(天空)冒険3日目はまだ続く〜

王との謁見

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